クラウドITベンダーのジランソフトは、5月13日から15日まで東京ビッグサイトで開催された「第6回クラウドコンピューティングEXPO」に出展した。同社のブース内では、企業向けオンラインストレージサービス「DirectCloud-BOX」を中心に、データ資産の「共有」「活用」「コミュニケーション」を支援するオプション・サービスが、デモを交えながら紹介され、多くの来場者が足を止めていた。

ジランソフト展示ブース

クラウドコンピューティングEXPOで紹介されたのは、「DirectCloud-BOX」のほか、プレゼンテーションアプリの「DirectCloud-VIEW」、アンケートサービスである「DirectCloud-SURVEY」、業務連絡・情報共有に特化した企業向けメッセンジャーの「DirectCloud-TALK」、クラウド型ビデオ会議サービス機能を提供する「DirectCloud-VIDEOOFFICE」、社内データストレージをクラウド化する「DirectCloud-GATE」、NASのバックアップを支援する「DirectCloud-BACKUP」、そして手書きメモをクラウドへ保存する「DirectCloud-NOTE」である。

「DirectCloud-BOX」は、企業が保有するデータ資産を、安全かつ積極的に共有/活用し、スムーズなコミュニケーションを支援するものだ。多くの企業は、モバイルデバイスの普及に伴う業務の効率化や外部とのデータ共有を目的に、オンラインストレージサービスを利用している。しかし、ビジネスでの利用に特化していないサービスの中には、セキュリティや信頼性が担保されていなかったり、そのほかのコミュニケーションツールとの連携が不十分だったりするものが多い。

その点「DirectCloud-BOX」は、堅牢性を担保するセキュリティ機能や、管理者が詳細に設定できるポリシー制御機能などが備わっている。また、ビジネスに必要なコミュニケーション/コラボレーション機能もオプションとして提供されているので、複数のベンダーからツール(サービス)を購入する必要がない。

DirectCloudサービス群

ブース内でいちばん注目されていたデモンストレーションは、オンラインストレージとシームレスに連携するクラウド型ビデオ会議サービスの「DirectCloud-VIDEOOFFICE」である(2015年8月1日より発売開始予定)
本ソフトはチャットや音声メッセージングを通じたビデオ会議機能だけでなく、ドキュメントやWeb、動画といったメディアを共有する機能も有する。ビデオ会議は最大64人まで画面上に表示できるほか、HD高画質にも対応し、22種類のビデオモードが選択できる。iOSやAndroid OSのモバイル端末も標準サポートしているので、外出先からもビデオ会議に参加することも可能。また、会議中であっても「DirectCloud-BOX」に格納されているデータにアクセス/共有できるので、「参加者どうしがリアルタイムで資料を共有しながら会議を進める」といったこともできる。 もちろん、ビデオ会議だけでなく、オフィスの受付システムや店舗の遠隔監視、リモート拠点の研修など、その活用範囲は幅広い。

もう1つ、ビジネスユーザーに注目されているのが、「DirectCloud-TALK」だ(※ 2015年8月1日より発売開始予定 )。無償のIM(Instant Messaging)アプリは、セキュリティ機能が十分でないなど、ビジネスで利用するには情報漏洩のリスクが伴う。こうしたリスクを回避すべく、DirectCloud-TALKの送受信はすべて「SSL-256暗号化方式」で行われる。また、サーバーにデータを保存する際には、「AES-256暗号化方式」で実行される。さらに、ログイン、チャット、ファイル転送など、すべての操作ログはサーバー側で記録されている。これにより、内部統制の強化と同時に、情報漏洩リスクも低減できるというわけだ。

VideoOfficeの画面イメージ

LINEライクなTALKの画面イメージ

マイナンバー制度対策にも最適なDirectCloud-BOX

またブース内では、DirectCloud-BOXを活用した、マイナンバー制度に伴う情報漏洩対策のミニセミナーも開催された。

2016年1月から施行されるマイナンバー制度は、特定個人情報の管理が義務づけられる事業者対して厳格な管理が求められる。恣意的に漏洩させた場合には、個人 / 企業の両方に罰則が科せられる。特に今回のマイナンバー制度は、すべての事業者が対象であることから、「厳格に情報管理するためには何をすればよいのか」と、頭を抱えている中堅小規模企業は多い。ミニセミナーではDirectCloud-BOXとオプション機能を組み合わせ、よりセキュアに情報を管理するノウハウが披露された。

DirectCloudサービス群

オプション機能の中でも注目したいのは、「DirectCloud-GATE」である。ジランソフトはDirectCloud-BOXとDirectCloud-GATEとを併用することで、「厳格な情報管理を実現したセキュアな運用と、リモートアクセスによる生産性向上が可能になる」と訴求する。

同製品は、社内にあるFTP/SAMBA/NASといったサーバーに格納されているデータを、セキュアにクラウド化し、モバイルデバイスなど、外部ネットワークからの安全なアクセスを支援するものだ。データの暗号化送信だけでなく、管理者権限による柔軟なアクセス制御で、ファイルの機密レベルやセキュリティポリシーに則ったデータ管理が実現できる。(※ 2015年8月1日より発売開始予定)

例えば、ユーザーごとのアクセス権やデータの拡張子ごとの制御をはじめ、共有フォルダの閲覧をグループごとに制限したり、アップロード/ダウンロード権限を設定したりできる。また、管理者によるユーザー管理やログ管理、セキュリティポリシー設定なども可能。さらに、企業向けオンラインストレージ「GIGAPOD」を導入すれば、社内にプライベートクラウド環境を構築できる。

もう1つ、「データ資産を安全に管理する」という観点から注目されているのが、2015年10月より提供が予定されている「DirectCloud-BACKUP」だ。これは、NASに保存されたデータをクラウドにバックアップするものであり、自然災害や停電といった物理的な災害に備えたい企業に最適なサービスである。クラウドへのデータ転送はSSL-256暗号化方式で行われ、ウイルス/マルウエア対策には「Cyren Anti-Virus」が導入されている。 ( 2015年11月以降発売開始予定)

こうした機能は、実際に活用してはじめてその利便性が実感できるものだろう。ジランソフトではビジネスユーザーを対象にした「DirectCloud-BOX」の30日無料トライアル版を用意している。ミニセミナーに参加した人も、当日足を運べなかった人も、ぜひ試用してほしい。その利便性が実感できるはずだ。