オフィスのインテリアデザインを手がけるスカンジナビアン モダンは、スウェーデンの自動昇降デスク「NEAT(ニート)」を販売している。11日にはデザイナー トーマス・エリクソンさんが来日し、新商品やスウェーデンのワークスタイルについて語った。

自動昇降デスク「NEAT(ニート)」

社員の健康を重視する北欧の労働環境

「NEAT」は、電動で高さを調節できる上下昇降デスク。座って作業する高さ、立ち仕事の高さなど好きなように変えられる。スカンジナビアン モダン 代表取締役 岡部登紀子さんは昇降式のデスクについて、「そもそも身長が160センチメートルの人と180センチメートルの人が、同じ高さの机を使うというのは健康に良くない」と語る。

「北欧では、社員の健康を非常に重視します。『座り続けることは体に悪い』という調査結果も出たことから、スウェーデンには『オフィスで座りっぱなしではいけない』というガイドラインがあるくらいです。今では健康的な姿勢で仕事ができるとあって、オフィス用のデスクでは昇降機能がついたものが主流になっています」(岡部さん)

北欧で主流となった昇降式デスクは、アメリカでも「健康的である」と高評価。FacebookやGoogleなどの有名IT企業が導入しているという。

有名デザイナーがプロジェクトに参加

デザインを担当したトーマス・エリクソンさん

昇降機能は既成の「Sit&Standデスク」にも搭載されているが、「NEAT」は、対面2人が一組になった新タイプだ。

プロジェクトのデザインを担当したのは、スウェーデン人のトーマス・エリクソンさん。スカンジナビア航空の空港ラウンジや機内インテリアなどを手がけた著名なデザイナーである。

既存タイプとの大きな違いは天板に取り付けられたデスクスクリーン(ついたて)だ。これまでは天板と共に上下する形式だったため、電動昇降デスクを複数台導入しているオフィスでは、スクリーンの高さにばらつきが生じる。ほんの小さな事だが、それだけでまとまりがない空間になってしまうという。

一方「NEAT」では、スクリーンを固定。高さが統一され凹凸がなくなり、整然とした美しいオフィス環境を実現できるようになった。また、電源を背面に全て収納し、薄い天板と黒の脚を用いたシンプルなデザインを採用。美しさと機能性を兼ね備えた製品となった。

「『NEAT』は人間工学に基づいたプロダクトです。オフィスのデスクは、デザインだけでなく、革新的であって実用的であることが重要ですから。高さを変えるときも指一本でOK。浮遊しているような滑らかさで動くようになっています」(トーマスさん)

「NEAT」の前でプレゼンテーションを行うトーマスさん

「立ち仕事」、実際どうなの?

高さを指一本で自由に変えられる自動昇降デスク。トーマスさん自身は、デスクを高めに設定し立ったまま仕事をすることがほとんどだという。

「はじめは大変ですが、習慣になってしまうとむしろ楽なくらいです。筋肉を使うので1日立って仕事をすると、マラソンと同じくらい鍛えられる気もします(笑)。オフィスで座っているのはミーティングの時ぐらいですが、いつも座って仕事をするとなると疲れてしまうんです。エコノミー症候群のようになってしまうので。腰痛持ちで座り続けるのが辛いという人にも好評です」(トーマスさん)

デスクの高さを変えることで、気分の切り替えにも繋がるというトーマスさん。集中して作業をしたい時は座った状態で、同僚とコミュニケーションを取りながら仕事をしたい時は立って仕事をするのもいいそう。

「立っている状態のほうが声をかけやすくなるため、コミュニケーションが活性化しやすいんです。動きもスムーズに取れるので、有機的に人が交わるダイナミズムが生まれます。働く環境にアクティビティを取り入れることが重要なんですよ」(トーマスさん)

「働く人の健康」と「デザイン空間への徹底したこだわり」が凝縮された、北欧ならではの同商品。一本足のコンパクトタイプもあるので、書斎などで使ってみるのもいいかもしれない。

一本足のコンパクトタイプ。ここまで高くなる(写真は代表取締役社長 岡部登紀子さん)