【レポート】

COMPUTEX TAIPEI 2015 - USB 3.1/Type-C普及の鍵は「ケーブル」にあり?

 

盛況だったUSB関連の展示

USB 3.1やUSB Type-Cコネクタ、さらにはUSB-PD(Power Delivery)といった新規格の普及に加え、Thunderbolt 3がUSB 3.1/Type-Cとコネクタ/ケーブルを共用することを発表するなど、いろいろ追い風が吹いているUSB周り。COMPUTEXにおいてもUSB関連ブースがまとめて展示され、各社さまざまな製品を展示していた。

USB関連ではおなじみGenesys Logicは、まずUSB 3.1に対応したMemory Card Reader/NFC Bridge/Dual SD 3.0 Memory Card Controller/e-MMC Bridge(JBODサポート)などの幅広い製品(Photo01左側)と、Power DeliveryのDocking Stationのソリューション(Photo01右)、別の構成となるPower Delivery対応Docking Station(Photo02)やDongle Station(Photo03,04)、あるいはUSB 3.1対応Hubソリューション(Photo05)などが展示されていた。

Photo01:左は主要なコントローラがいずれも2つのコネクタを持つのがポイント。右のDocking Stationでは、PDの制御そのものはRoHMのPD 2.0コントローラが利用されていた

Photo02:こちらはPDの制御がEtron TechnologyのEJ898だった。更にDisplayLinkのコントローラも搭載されている

Photo03:こちらもPDの制御はRoHMのコントローラが採用されていた

Photo04:USB Hubの機能を持ったり、HDMI出力を搭載したりと多機能化に余念の無い構成

Photo05:何れもGL3523SあるいはGL3520を使った構成

MicrochipはCOMPUTEX期間に合わせて発表された新しいUSB 3.0対応SmartHubを実演していた(Photo06,07)。MicrochipそのものはUSB関連製品を山と持っているが、今回はポイントを絞っての展示になったようだ。同様にRenesas ElectronicsもUSB PDにソリューションを絞って動作デモを行っていた(Photo08)。

Photo06:ちょっと判りにくいが2系統のUSB 3.0出力が用意され、それぞれの供給電圧が表示される仕組み

Photo07:内部はちょっとわかり難いが、DEMO-USB5734という型番で、2つのBattery Charging Portと2つのOLED Display、それとHost向けのコネクタを搭載したPower Delivery用の評価ボードである

Photo08:見慣れない型番だが、コントローラそのものはμPD720250が搭載され、後は用途に応じて構成を変えた形で作成されたリファレンスボードのものではないかと思う

逆にこれでもか、とばかりに製品を多数展示していたのがEtron Technologyで、USB 3.1のType-A/Cの拡張カード(Photo09)やDiplayPortのAltModeに対応したコントローラ(Photo10)、USB/VGAの出力アダプタ(Photo11,12)、謎のDual Head USB Type-C Flash Drive(Photo13)、Docking Station(Photo14)、e-Markerd Cable Solution(Photo15)などが示されていた。

Photo09:拡張カードのメーカーがばっちり入ってるのだが、いいのだろうか?まぁ秘密にするようなものでもないのかもしれないが

Photo07:内部はちょっとわかり難いが、DEMO-USB5734という型番で、2つのBattery Charging Portと2つのOLED Display、それとHost向けのコネクタを搭載したPower Delivery用の評価ボードである

Photo11:このアングルだと本当にVGA出力なのかちょっと疑わしい

Photo12:このアングルだと間違いなくVGAなのだが。ちなみに中国DigiPro Tech社の製品の模様

Photo13:なんでDual Portが必要なのかがよく判らない。2台のホストを繋いで共有できるのだろうか?

Photo14:EJ898CとEJ179Sを組み合わせたというDocking StationのReference

Photo15:これはVIA LabのVL150互換のチップなのだろうか?

同様に台湾ということもあり、VIA Labもいろいろな製品を展示していた(Photo16~19)。

Photo16:展示一覧。E-Marked Cableの話は後述

Photo17:USB 3.1 Gen2のHost Card。Gen2というのは同社の中で第2世代のコントローラに相当するから

Photo18:こちらは4ポートのUSB 3.0コントローラ

Photo19:USB 3.1のGen 1 4ポートHub

同じ台湾ながら、逆にほとんど何も展示していなかったのがVIA Labと因縁の深いASMediaである。同社は2013年末にVIAからUSB関連の特許侵害の訴えを起こされており、少なくとも2015年3月の時点ではまだ決着がついていない。そのASMediaは、AKiTiOのUSB 3.1対応Storageの試作品(Photo20)を接続し、ホストコントローラの性能を示しただけのデモを行っていた(Photo21)。

Photo20:AKiTiOは現時点ではUSB 3.1に対応した製品は公式には発表しておらず、これは試作品と思われる。ケースそのものもNeutrino Thunderbolt Editionの流用っぽい

Photo21:Sequentialだと最大750MB/sec以上の転送速度が出ており、USB 3.0の500MB/secを上回る性能が出ていることが示されている

逆に、USB PD「だけ」のデモを行っていたのがRichtek Technologyで、USB-PDを使った60WのACアダプタ(Photo22,23)やシステム組み込み用の電源ソリューションが展示されていた。

Photo22:ACアダプタを模したケースに入った60W出力のUSB-PD対応電源

Photo23:供給状態をホストから監視できるが、運悪く撮影時には何も繋がっていなかった

Photo24:こちらは逆にPCなどの内部に納められ、外部に供給する側。ステップダウンコンバータが23V/3A出力のRT8296Aなあたり、こちらも60W出力と思われる

またケーブルメーカーとしてElka Internationalが出展しており(Photo25,26)、さまざまなケーブルが提供可能なことをアピールしていた。

Photo25:単にケーブルだけでなく、ケーブル+Hubとかケーブル+Adapter類なども用意されている

Photo26:コネクタ部がどう見てもアルミ削り出しといった風情の、USB 3.1対応Active Optical Cable。ちなみにコンセプトモデルだそうだ

USB Type-CやUSB 3.1の鍵を握るのはケーブル?

というわけで割に盛況であったのだが、たまたま会場に居たUSB-IF関係者はやや浮かない顔であった。何が問題かというとケーブルである。以前にちょっと書いたが、USB 3.0やUSB 3.1のCableに関しては一切Certificationがない。この結果、例えばUSB 3.1のコントローラにつないだとしても、Cableが3.1の10Gbpsはおろか3.0の5Gbpsですら耐える保証が得られない。

これに輪をかけて問題なのがUSB PDで、こちらもケーブルのCertificationがないから、例えば100Wを掛けると最悪燃える可能性すら除外できない。一番問題なのは、粗悪なケーブルがUSB-PD 100W対応とかUSB 3.1対応とラベルをつけて売られても、外からそれを判断する方法が一切ないことだ。

先ほどEtron Techのところで、E-Marked Cableなるものを紹介したが、実はこれもこの話に関係している。VIA Lasは2015年3月12日に、USB Type-Cケーブル向けにVL150という"Electronics Marker"チップを発表した

このチップはPhoto15の様にコネクタ内部に収められるサイズのもので、電子的な「マーク」を提供する。このマークは、「このチップが入ったケーブルは、所定の電気的特性を満たしている」ことをホストに対してレポートする仕組みである。

USB PDにおいては、どれだけの電流を流せる仕様なのかをホストにレポートするので、過電流で発熱とかを避けられるというものだ。これはUSB Type-C Release 1.1で定義された公式な仕様(Photo27)である。先の"E-Marked Cable"というのは「このチップが入って電子的にケーブルの仕様が明確になっている」という意味である。

Photo27:これはUSB Type-C Release 1.1のSpecificationより。これは片側にMarkerが入った状態だが、ケーブルの両端に入るケースも想定されている

ただしこの仕様はあまり強制力がない。Specificationの当該部分を抜き出すと

"4.9 Electronically Marked Cables All USB Full-Featured Type-C cables shall be electronically marked. USB 2.0 Type-C cables may be electronically marked."

となっている。USB Type-Cは本来通信速度とは無関係なコネクタ規格なので、USB 2.0を通す場合もあり、その時には「E-Markerdの方がいいねぇ」となる。USB 3.0/3.1/PDに関しても「E-Markedが好ましい」レベルで、全然強制されていないことが分かる。また、実際にE-Markedを導入しようとするとコストが上がるのは明白なので、普及には相当時間が掛かりそうだ。

この問題はThunderbolt 3でさらにややこしくなる。Thunderbolt 3はPassiveモードの場合、既存のUSB 3.1 Type-Cのケーブルを流用する(から、本来はThunderbolt 3のPassiveケーブルは存在しない)のだが、ここでもし10Gbpsが出ないとどうなるか? というと、Thunderbolt 3では5Gbpsで接続するモードが無いので、結局USB 3.0での接続になると思われる(断言できないのは、Alpine Ridgeがこうしたケースでどう動くのかがまだ公開されていないためである)。

Deviceの側もUSB 3.0に対応していればそれでも一応つながることはつながるだろうし、Thunderbolt 3のDaisy Chain接続も、もしAlpine RidgeがUSB 3.0動作時には2つのポートをHubでつなぐ形の実装がされていればそのままいけるかもしれないが、なんにせよThunderbolt 3としては動作しないことになる。

さすがに「この状況はそろそろまずい」と上述の関係者も理解しており、何らかの動きがUSB-IFの方で起きるかもしれないのだが、何も起きない可能性もある。

もし、何も起きないとすると……ということでこれは筆者の予想だが、恐らく"Thunderbolt 3 Passive Cable"が発売されることになるだろう。これはIntelの意向とかではなく、Thunderboltを扱っている周辺機器ベンダーの意向である。

要するにUSB 3.1 Type-Cケーブルが信用できないという状況では、周辺機器ベンダーが「確実にThunderbolt 3 Passive Modeで動作する」というケーブルをリリースするのは間違い無い。

その際に、例えば"Thunderbolt 3 Passive Mode Certified"といったロゴやメッセージでもいいが、それを入れてあればユーザーにも判断しやすい。皮肉な話だが、USB 3.1のType-C機器を使う場合も、この"Thunderbolt 3 Passive Mode Certified"ケーブルを購入するのが確実という状況になるかもしれない。なんというか、もう少しこのあたりがどうにかなると良いのだが。

Raspberry Pi向けのshieldを展示する企業も

会場で1社、LyCOM Technology Inc.だけ、なぜかRaspberry Piのshieldをいくつか展示していた(Photo28~33)。Makerとかだとこの手のshieldを見ることは珍しくないが、COMPUTEXにまで進出してきたかという感じである。もっともあんまり注目度は高くなかったが。

Photo28:CFカードをUSB経由で接続できるshield

Photo29:USB to SATAブリッジが載ったshield。ドライバはどうなってるんだろう?

Photo30:mSATAにも対応。ブリッジが載ってるのは同じ

Photo31:UARTと追加のUSBポートを提供してくれるshield。案外便利かも

Photo32:USB HubにRaspberry Piを載せてもいいのでは?という気もするが、まぁ組込みには便利かもしれない

Photo33:ZigBee/BLE対応shield。「技適なんぞ知らん」とのことであった

このほか会場で見つけた変なもの

筆者のCOMPUTEXレポートの最後を飾るのは、「Best of 意味がわからないSSD」である。Apacerはほかにもいろいろと変なSSDを展示していたらしいが、このApacerのAS730は、SATA 3とUSB 3.1 Type-CのDual I/Fである。

転送速度はReadが最大520MB/sec、Writeが450MB/secで、120GBと240GBの容量が用意される。そこまではいいのだが、それとは別に、内部にBluetoothモジュールを搭載しており、Smartphoneからコマンドを送ることで発色を変更できるのだそうだ(Photo34)。

Photo34:これは白っぽい青であるが、フルカラーLEDを搭載しており、自由に色を変えたり、フラッシュさせたり、とまぁ自由に発色が選べるそうである

Photo35:外装の交換は出来ないそうで。まぁそんな気はする

実際、説明してくれたお兄さんはドヤ顔でスマートフォンから色を変えるデモを見せてくれた。外装も3種類選べる(Photo35)とかで、好きな外装と色を設定できると力説されたが、それだけである。明らかに力の入れ所が間違っているというか、SSD光らせてどうするんだ? という素朴な疑問は、相手があまりにも自信満々すぎてついに最後まで聞くことができなかった。

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