今年の夏のボーナスは、前年比+1.9%と2年連続で増加という見通しが発表されています(みずほ総合研究所調べ。4月10日発表)。特に製造業を中心に企業収益が好調。自分のボーナス支給額がいくらか気になるところです。この時期になると、例年、銀行や証券会社でボーナスキャンペーンが実施され、金利の上乗せや抽選でプレゼントが当たるなど、新規の顧客獲得に力が入ります。今年の夏のボーナス、どこにどう預けるのがいいのか、ご紹介しましょう。

ボーナスで「ネット銀行」デビュー

夏や冬のボーナスのタイミングで実施されるキャンペーンのほとんどが、定期預金の金利上乗せ。現在、1年もの定期預金金利は都銀で0.025%。ボーナスの振り込みが、毎月の給振口座と同じ一般的な銀行であれば、せっかくのボーナスを普通預金から定期預金に預け替えても、わずか0.025%の金利しかつきません。昨冬のボーナス時期には、三井住友銀行やみずほ銀行が地区限定で新規預け入れキャンペーンを実施し、高金利を提示していましたが、まずは普段使っている銀行で、ボーナスキャンペーンを実施しているか確認し、金利に納得できれば、預け替えをしましょう。

しかし、ボーナスを機に、新たな銀行口座を作り、貯蓄を分けておくというのも、賢い方法です。というのも、一般的にこうしたキャンペーンは、満期になると通常の店頭金利に戻されることがほとんどです。つまり、キャンペーン金利は確かに高いのですが、満期後の運用は、店頭金利が低い銀行に預けるよりも、元から高い金利の銀行に預けたほうが、手間がかからず有利に運用できるのです。

いわゆるネット銀行は、常時、定期預金金利のみならず、普通預金金利も、一般の銀行より高く設定されています。

たとえば、住信SBIネット銀行では、普通預金の金利は一般の都市銀行と同じ0.02%ですが、SBI証券と連携しているSBIハイブリッド預金では0.08%と高い金利が提示されています。定期預金も、1年で0.08%と一般の都市銀行の金利0.025%より高い金利になっています。さらに、ボーナス時期のキャンペーンではさらに上乗せされた特別金利が提示される(2015年5月20日現在未定)ので、こうした銀行を使わない手はありません。昨年の冬のキャンペーンでは1年もので0.2%でした。

このほかに、高金利の常連銀行としては、オリックス銀行(年0.20%)、大和ネクスト銀行(年0.15%)、楽天銀行(年0.12%)、じぶん銀行(年0.10%)、セブン銀行(年0.10%)などが挙げられます(いずれも2015年5月20日現在の金利)。また、ボーナスキャンペーンの常連には、イオンカード保持者向けに特別金利を提示するイオン銀行などにも注目です。

地銀のインターネット支店は常に高金利!

しかし、実は、ボーナスの時期とは関係なく、通年、金利が高い銀行があります。それが地銀のネット支店です。地銀というと、口座を開設するのはその地域在住、在勤の人が中心です。しかしインターネット支店であれば、全国どこからも口座を作ることができ、お金を預けることができるのです。なお、いつも使っている地銀があれば、インターネット支店がないか確認するといいでしょう。同じ銀行であっても、インターネット支店のほうが、金利は高めなので、店頭での定期預金ではなく、インターネット支店に口座を開設するといいでしょう。

以下、代表的な地銀のインターネット支店と定期預金の情報をご紹介しましょう(いずれも2015年5月20日現在)。中には預け入れ金額が100万円とまとまった金額が必要な銀行があります。普通預金に余らせているお金があれば、ボーナスと合わせて預け入れを検討するといいでしょう。また、募集上限金額が決まっている銀行もありますので、早目に口座開設をしておくといいでしょう。

【香川銀行 セルフうどん支店】

  • 超金利トッピング定期預金

  • 預入金額:1万円以上100万円まで

  • 金利:1年0.40%

【愛媛銀行 四国四十八カ所支店】

  • 100万円限定だんだん定期預金

  • 預入金額:100万円

  • 金利:1年0.40%

【荘内銀行 わたしの支店】

  • 「わたしの支店」専用定期預金

  • 預入金額:1口あたり100万円以上

  • 金利:1年0.40%

【トマト銀行 ももたろう支店】

  • スペシャルきびだんご定期預金

  • 預入金額:1万円以上100万円まで

  • 金利:1年0.40%

【きらやか銀行 ネットきらやかさくらんぼ支店】

  • ネット☆きらきら定期

  • 預入金額:1口30万円以上

  • 金利:1年0.38%

(※2015年9月30日まで。募集金額170億円に達した時点で終了)

入金は、各銀行と提携しているATMを利用して普通預金口座に入金(またはインターネットバンキングを通じて入金)。その後WEBサイトから自身の口座から定期預金に振り替えるという流れになります。満期後は、通常金利になりますので、その時点で通常金利で運用するか、別の銀行に預け替えるかになりますが、通常金利も、一般の銀行より高めなので、そのままでも有利に運用できるところが多いのです。

なじみのない地銀への預け入れに躊躇する人もいるかもしれませんが、元本1000万円とその利息は預金保険の対象ですので、特段心配する必要はありません。心理的に引き出しにくいと感じる地銀のインターネット支店なら、貯蓄の取り崩しも防げるので、確実に貯めたい、手をつけないでとっておきたい、という人は一考の余地があるでしょう。

<著者プロフィール>

伊藤加奈子

マネーエディター&ライター。法政大学卒。1987年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。不動産・住宅系雑誌の編集を経て、マネー誌『あるじゃん』副編集長、『あるじゃんMOOK』編集長を歴任。2003年独立後、ライフスタイル誌の創刊、マネー誌の編集アドバイザーとして活動。2013年沖縄移住を機にWEBメディアを中心にマネー記事の執筆活動をメインに行う。2級FP技能士。