5月28日、スカパーJSAT(以下スカパー!)の東京メディアセンターで、4K放送に関するメディアセッションが開催された。

スカパー!東京メディアセンター

スカパー!は2015年3月に4Kの実用放送「スカパー!4K総合チャンネル」と「スカパー!4K映画チャンネル」をスタート。4K総合チャンネルは無料放送で、4K映画チャンネルは有料放送だ。4K映画チャンネルでは6月よりハリウッドの映画作品を放送。今回のメディアセッションでは、4K放送の現状と今後の展開、4Kで放送されるコンテンツなどについての解説が行われた。

東京メディアセンターのスタジオと制作現場

4K放送のスタートから今後の展開

4K放送をめぐる動きが活発さを増している。われわれ一般ユーザーが4K放送を受信ことが可能となったのは、2014年6月、次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)が4K試験放送「Channel 4K」をスタートした時点だ。

スカパー!の代表取締役執行役員社長 高田真治氏は、現在の状況を「4K時代の到来」とまとめている。

スカパー!代表取締役執行役員社長 高田真治氏

2014年9月に総務省より「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合 中間報告」が公表されている。中間報告では、2013年6月に出されたロードマップに比べて、スケジュールが前倒しされており、2015年にCS、ケーブルテレビ、IPTVでの4K実用放送を開始、2016年にはBSで4K/8Kの試験放送を開始、2018年にはBSでの4K/8Kの実用放送を開始するとしている。

スカパー!は、2012年にJリーグのパブリックビューイングで4K中継を実施し、技術的な面での4K放送の実現性を実証した。さらに、1996年からMPEG-2ベースでの放送サービスを提供していたが、2014年に18年間続いたサービスを終了。4K放送に使用できる帯域も確保した。

高田氏によると、スカパー!では、次の衛星の調達にも取り掛かっているという。次の衛星では現在の右旋回だけでなく左旋回のトランスポーターも搭載する予定だ。これが実現すれば、より多くのチャンネルで4Kの放送を行うことが可能となる。ただし、左旋回のトランスポーターを使用するには受信側のアンテナの更新が必要であり、それが整うまでは、右旋回トランスポーターでのサイマル放送が行われる予定だ。

高田氏は、「今は4K/8Kは衛星やIPでの伝送がメインだが、地上波も4K/8K化に進む。各放送局やスタジオはそのための設備投資が必要だ」と、放送局やコンテンツ制作サイドの4K/8K体制への早期の移行の必要性を訴えた。

4K放送の注目コンテンツ

4Kでの最大の注目コンテンツはスポーツや音楽などのライブ中継だ。スカパー!の執行役員常務 放送事業本部長 小牧次郎氏は、「スカパー!はこれまで以上に4Kコンテンツの充実に努めていく」と、コンテンツ充実を目指す姿勢を表した。

スカパー!執行役員常務 放送事業本部長 小牧次郎氏

現在、スカパー!4K総合チャンネルでは、9:00~25:00のスケジュールで4K放送を行っている。6月~7月は注目のコンテンツがめじろ押しだ。

注目コンテンツが続々登場

6月4日には「Mr.Children TOUR 2015 REFLECTION」ツアーファイナルを、4K総合とBSスカパー!で放送する。このコンサートでは埼玉スーパーアリーナに35台の4Kカメラを持ち込み、過去最大規模の中継を行う(そのうち28台がスカパー!が使用する4Kカメラ)。

さらに、6月6日にベルリンで行われる「UEFAチャンピオンズリーグ決勝」を6月14日に放送する。この試合が生中継でないのは、欧州の4K規格が50pであるのに対して、日本での4K放送が60pであり、その変換に時間がかかるためとのことだ。

7月11日には、4月28日に開催されたポール・マッカートニーの武道館ライブをスカパー!4K総合とBSスカパーで同時放送。7月26日には長淵剛の「MTV Unplugged」をスカパー!4K総合とNTVで同時放送する。

7月26日には1959年(昭和36年)に行われた皇太子殿下と美智子妃殿下のご成婚パレードを放送。この放送は35mmフィルムから4Kにコンバートしたものだ。小牧氏によると、35mmフィルムには2K以上の情報量があり、過去の映画なども含めて、今後4K化を進めていきたいとのことだ。

50年以上前の映像が4Kでよみがえる

また、スカパー!4K映画チャンネルでは、6月5日に『スタートレック』、6月6日に『フォレスト・ガンプ一期一会』、6月7日に『G.I.ジョー バック2リベンジ』、7月27日に『アメイジング・スパイダーマン』、7月28日に『アメイジング・スパイダーマン2』などを放送する予定だ。

映画チャンネルはPPD(ペー・パー・デイ)方式を採用しており、料金を支払った日のみ視聴できる。また、オリジナルの画質に非常に近いため、録画は不可能とする。