昨年末頃から、女性誌「ar(アール)」を中心に話題となっているのが、「おフェロ顔」。おしゃれでフェロモンあふれる顔という意味で、この顔を目指す女性が増えているといいます。つやつやした肌と、内側からにじみ出るような血色チーク。そして、ぽってりとしたぷるぷるの唇が特徴的な、おフェロ顔。一部の男性たちからは、チークや口紅が濃すぎるといった不評の声も。果たして、おフェロ顔は男性にモテるのでしょうか。

"色っぽくてかわいい"「おフェロ顔」

おフェロ顔というのは、「ar」がつくった造語ですが、初めて聞く人はビックリするでしょう。先日、ボクが出演したラジオ番組で、リスナーの方からおフェロ顔に関する質問が寄せられていたようですが、放送的にきわどい言葉のため、お答えすることができませんでした。

さて、そんなおフェロ顔ですが、「ar」が目指すのは「色っぽさを残しつつカワイイ感じ」の「ご機嫌でヘルシーなエロい女子」なんだそうです。その意味で、フェロモンというのは重要なキーワードでしょう。たしかに、このメイクの表現は子どもらしいかわいさではなく、大人っぽさを強調するものです。

たとえば、アイメイクに力を入れて目を大きく見せたり、髪をもって頭部にボリュームをもたせたりするのは子どもらしいかわいさをつくりだします。ですがおフェロ顔の場合は、石原さとみさんのようにぽってりとした唇をつくるリップメイク中心のため、引き算的に力を入れないアイメイクにすることが多いようです。それが大人っぽい印象をつくりだします。

その意味では、女性を守ってあげたいというような男性、カワイイ女の子が好きな男性よりは、大人な女性が好み、対等な関係を意識するような男性にウケるかもしれません。

血色チークが過剰?

ただ、男性たちからすれば、内側からにじみ出るような血色チークが過剰と受け止められているかもしれません。チークというのは、たしかに肌の血色を補うという意味があります。

本来はチークシャドゥなのですから、頬骨に沿ってチークをいれることで顔に立体感をだすことが目的です。それに、メイクの基本として、チークは「肌に直接入れるのではなく、一度ティッシュで余計な粉を落としてから入れましょう」といわれるくらい、薄く入れるもの。だからこそ、男性たちからすれば違和感があるんです。

ですが、これは濃すぎるという違和感だけにとどまりません。おフェロ顔で画像を検索すればわかりますが、おフェロ顔のチークの入れ方は顔の中心に丸く入れられていることが多いのに気づくと思います。頬が赤らんでいる子どもを表現しているんです。つまり、「色っぽさを残しつつカワイイ感じ」が、ぽってり唇と血色チークなんです。色っぽい大人っぽさとカワイイ子どもっぽさの、どっちつかずも、男性を困惑させる原因かもしれませんね。

以前、黒髪/太眉が流行する背景として社会的な理由について紹介しました(「黒髪と太眉が流行の兆し - 社会経済との関係性を考察」)。社会経済が回復に向かっていること、女性が男性から守られる必要性がなくなりつつあることなどを紹介しました。

おフェロ顔の、大人っぽさとかわいい感じというのは大人と子どもの中間だと思うんです。ちょうど、社会経済が回復に向かっている途中だからこそ、完全な大人ではなく中間な存在を目指しているのでしょう。男性からすれば、どう接していいかわからないため、ウケはよくないかもしれません。

※写真と本文は関係ありません

著者プロフィール

平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。京都大学研究員、国際日本文化研究センター講師、チュラロンコーン大学講師などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。魅力や男女の恋ゴコロに関する心理にも詳しい。現在は、生活の拠点をバンコクに移し、日本と往復しながら、大学の講義のみならず、テレビ、雑誌、講演会などの仕事を行う。主著は『化粧にみる日本文化』『黒髪と美女の日本史』『邪推するよそおい』など。