5月14日から2日間、東京国際フォーラムで開催された「富士通フォーラム 2015」。今年で22回目を迎える同フォーラムには、富士通の最先端のテクノロジーをはじめ、ビッグデータ、セキュリティ、ワークスタイル革新、ビジネスと社会のイノベーションなどにフォーカスしたソリューションや取り組みが多数展示された。

中でも富士通のクラウド戦略を紹介するセクションでは、15にもおよぶブースで、クラウドプラットフォームの運用環境を最適化する最新のソリューションが紹介されていた。その中で、ひときわ注目を集めていたのは、仮想環境での最適なストレージ運用を実現するディスクストレージシステム「FUJITSU Storage ETERNUS DX S3 series」である。

今年もおおいに賑わった富士通フォーラム2015。市場の期待感を反映してか、クラウドプラットフォーム関係ブースにも多くの人が訪れていた

富士通フォーラム 2015 レポート

「富士通フォーラム 2015」のレポートを以下にも掲載しております。併せてご覧ください。

【レポート】戦略的ICTインフラを実現する仮想化環境運用の最適化ポイントとは

「ETERNUS DX S3 series」は、仮想化プラットフォームであるヴイエムウェアの「VMware vSphere 6.0」に搭載されたストレージ管理技術「vSphere Virtual Volumes(以下、VVOL)」にいち早く対応した。VVOLとは、仮想マシン単位のストレージ管理を実現するものであり、システム管理者の負荷を大幅に軽減する技術として注目されている。今回、富士通ではVVOLに独自の機能も取り入れ、仮想化環境のさらなる運用効率化を実現した。ブースでは、「ETERNUS DX S3 series」とストレージシステム統合管理ソフトウェアである「ETERNUS SF Storage Cruiser 16」を使ったVVOLのデモが行われ、多くの人が足を止めていた。

展示されていた「ETERNUS DX S3 series」

仮想マシン単位で詳細設定が可能に――「ETERNUS DX S3 series」

多くの企業が、ICTリソースの効率化や運用コストの削減を目的に、仮想化技術を導入している。しかし、仮想マシンの増加に伴い、新たな課題も発生した。それは、運用管理に伴う管理者の負荷増大だ。富士通プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部の石浦裕一氏は、「仮想マシンごとにストレージの利用状況を把握し、適切な運用管理を行うことが困難になっています」と、仮想化環境におけるストレージ管理の課題を指摘する。

ETERNUSについて説明した富士通 プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部 石浦裕一氏

これまで、仮想サーバでストレージを使用するためには、仮想マシンの設定とは別に、事前にストレージを設計する必要があった。つまり、仮想サーバの管理とストレージの管理は、それぞれの管理ツールを使い、別々に管理しなければならなかったのである。また、従来の仮想マシンの運用では、複数の仮想マシンを同一ボリュームに格納し、ボリューム単位でバックアップ/リストア運用をしていた。このため、特定の仮想マシンをリストアする際にも、不要な領域もリストアするという"無駄"が発生していたのである。

しかし、VVOLの登場で、こうした課題は一掃された。仮想マシン単位の管理が可能になったのである。スナップショットや複製など、従来はボリューム単位でしか行えなかった作業が、仮想マシン単位で設定できるようになった。石浦氏は、「1つのストレージボリュームに、複数のVMDK(Virtual Machine Disk)を配置設計する作業は、管理者にとって大きな負担でした。それが、VVOLではボリュームとVMDKが1対1となり配置設計が大幅に簡略化されます」と説明する。

また、VVOLでは仮想サーバ管理ツールである「VMware vCenter Server(以下、vCenter)」から仮想サーバとストレージを一元的に運用設定することが可能だ。さらに、性能・データ保護・セキュリティといったストレージのサービスレベル設定も、vCenter Serverの画面から設定可能だ。

VVOLの運用ポリシー設定画面

「ETERNUS DX S3 series」/「ETERNUS SF Storage Cruiser 16」ならではのVVOLとして注目されているのは、「完全な複製取得による確実なバックアップ」である。VVOLの通常のバックアップはスナップショット機能のみだが、富士通では、これに加えて完全な複製を取得する機能を追加した。物理障害に備えた確実なデータ保全を確立している。 リストアについては、スナップショットから仮想マシンデータをファイル単位でリストアできる「シングルアイテムリストア」を富士通独自機能として実装し、システム管理者の様々なリストア要件に対応できるようにした。

もう1つが、「ETERNUS SF Storage Cruiser 16」に備わっている「QoS自動化機能」と、VVOLとの連携による自動チューニングである。QoS自動化機能は、優先業務の仮想マシンに予め目標性能を設定するだけで、ストレージを共有する仮想マシンのI/O性能のバランスを自動調整するものだ。業務の優先度に応じてI/O帯域を確保するので、複数の仮想マシンでストレージを共有する環境であっても、パフォーマンスを低下させることなく、ビジネス要件に応じた性能リソースを自動的に割り当てることができる。石浦氏は、「仮想化したものの、期待どおりのパフォーマンスが確保できないといった課題が解決できます」と説明する。

「長年、仮想システムを運用してきた管理者ほど、"ETERNUS DX S3 series+VVOL"が提供する仮想環境での最適なストレージ運用のメリットを理解していただけると思います。われわれは、運用管理のさらなる簡易化をコンセプトに、負担低減と運用コストの削減という価値を提供します」(石浦氏)