「ドラゴンクエスト」シリーズなどの名作を生み出したエニックス(現 スクウェア・エニックス)。元社員のJUNZO氏はこのほど、人生をドラクエのような「血沸き肉躍る冒険ゲーム」にするための『人生ドラクエ化マニュアル - 覚醒せよ! 人生は命がけのドラゴンクエストだ!』(ワニブックス)を刊行した。仕事の失敗、人間関係のトラブルなどの試練を「冒険イベント」に変え、楽しく攻略するにはどうしたら良いのか。その秘けつを伺った。

「人生ドラクエ化」とは?

――JUNZOさんのこれまでの経歴を教えてください

『人生ドラクエ化マニュアル - 覚醒せよ! 人生は命がけのドラゴンクエストだ!』(JUNZO/ワニブックス/1,200円+税)

(舛添)都知事と同じ高校を卒業後、大学へ進学。大学4年時、ゲーム大好き人間だったので、ゲーム会社4社の面接を受け、エニックスに就職しました。

エニックス在任中に、人生ドラクエ化理論を思いつき、この理論を自分の身を持って実証したいと思うようになり、独立しました。独立したところ、本当に、人生がドラクエ化したんです。具体的には、独立後、ゲーム目的(実現させたかったこと)として、情報誌創刊、著書出版などを設定したのですが、理論にのっとり行動したところ、この全て楽しみながら実現させることができました。

この"人生ドラクエ化理論"に自信を深めた私は、この理論を広めて、一人でも多くの人の人生もドラクエ化させたい! と思うようになり、「人生ドラクエ化マニュアル出版」という新たなゲーム目的を設定しました。

そうしたところ、これまた面白いようにゲームが進行していき、こうして実際に、ワニブックスさんより出版されたわけです。つまり、この本の存在自体が、人生ドラクエ化理論の正しさを実証していると言っていいでしょう。

――"人生ドラクエ化"とはどのような理論ですか?

自分の人生に、ゲームの三大要素をブチ込めば、人生がドラクエのような血湧き肉躍る冒険ゲームに化けてしまう、という理論です。

これにより、目的を阻止しようとする敵との闘いが楽しくなるんです。本来、不快なもの(敵との闘い)が、楽しいものに化けるんです。不快なものが楽しいものに化けたら、そりゃあ、人生、楽しくなるに、決まってますよね? (笑)

――不快なものが楽しいものに化けるとは?

ドラクエに登場してくる敵(メタルスライム、ゴールドマン、爆弾岩など)との闘いを振り返ってみてください。相手が敵にも関わらず、プレイヤーは楽しく闘っているんです。これを現実世界に適用させます。

――"人生ドラクエ化"、思いついたきっかけを教えてください

エニックス時代の上司の次の一言でした。

「JUNZO君、ゲームとは何か? というレポートを書いて提出してよ」

この上司からのクエストをきっかけとして、私は自分なりのゲーム理論を構築していくことになりました。ただ、当時は、ゲーミフィケーションという言葉、発想すらない時代でしたし、ゲームについて哲学している参考文献も皆無でした。あったのは、従来型の「遊び」に関して哲学してある本が2冊、『ホモ・ルーデンス』(ホイジンガ著、高橋英夫訳/中央公論新社/1973)と『遊びと人間』(ロジェ=カイヨワ著、多田道太郎・塚崎幹夫訳/講談社学術文庫/1990)だけでした。私は、この2冊と、ドラクエのマニュアル、そして今までのゲーム体験を元にして、類例が全くない独自のゲーム理論を築き上げていったのです。そして、この独自のゲーム理論を元にして、人生ドラクエ化理論が出来上がったのです。

ドラクエの本質は「遊びの楽しさ」である

――ゲームが苦手な人でも楽しむことができるのでしょうか?

この本を楽しみながら読むことができるか? という意味なら、イエスです。なぜなら、この本の中で、アクションゲームをするわけではないのですから(笑)。テレビゲームをあまりやったことがない人でも、小さな頃、遊んだことがない人はいないと思います。ゲームの本質は遊びです。なので、本書を楽しみながら読むことはできます。

ゲームが苦手な人でも、人生をドラクエ化させて楽しむことができるか? という意味だとしても、答えはイエスです。ドラクエの本質は遊びの楽しさだからです。つまり、この理論にのっとり、行動すれば、人生を遊びのように楽しみながら生きることができるようになります。

――ちなみに、好きなドラクエシリーズと、その理由を教えてください

ドラクエ2です。パーティープレイが初めて採用されて新鮮だったこと、登場してくる敵が殺意を持っているように感じたことが良かったです。