【レポート】

出渕監督「修正部分は無意識下で情報の厚みとして感じて欲しい」-『宇宙戦艦ヤマト2199』ヤマトーク

昨年12月に公開されたアニメーション映画『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』のBlu-ray&DVD発売を記念したイベント「発売前夜(ヤ)マトーク」が26日、東京・新宿ピカデリーで開催され、出渕裕総監督、西井正典チーフメカニカルディレクター、声優の中村繪里子が登壇した。

左から中村繪里子、西井正典チーフメカニカルディレクター、出渕裕総監督

今回のイベントは、『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』Blu-ray&DVDの5月27日発売を記念して開催され、BD版の本編上映後に、トークショーが実施。観客一同が敬礼で迎える中、出渕総監督が黒の長衣に本作の分厚い絵コンテを携えて登場すると、「まるで聖書のようだ!」との声が上がった。

『宇宙戦艦ヤマト2199』シリーズには欠かせないイベントだった「ヤマトーク」だが、過去のイベントを振り返ると、『宇宙戦艦ヤマト2199』関連イベントの出演回数トップ3が、今回出演した出渕総監督、西井チーフメカニカルディレクター、中村の3人であることが明らかに。出演者を記載した表データによれば、「アニメジャパン2014」以降、特に『星巡る方舟』公開後の「ヤマトーク」や舞台あいさつには、中村がほぼ皆勤していることが判明すると、会場は好意的な笑いと歓声に包まれた。

桐生美影の演技について中村は、ラジオドラマではクールできちんとした印象だった美影が、『星巡る方舟』ではかわいらしい部分が出てきたとコメント。出渕総監督は、桐生の趣味性は作品を作りながら盛りこんでいったと語り、「劇場では語り役が必要だと思って桐生を用意したが、ここまでヒロインにするとは決めていなかった。結果としてピースがハマりましたね」と裏話を明かしていた。

また、出渕総監督はリテイクにまつわるエピソードを紹介。結城信輝氏による初期キャラクター原案の時点でリボンを着用していた桐生美影を、リボンにするか、シュシュにするかで議論が起こったため、BD版でリボンとシュシュのシーンをきっちり統一するのに苦労したという。さらに出渕総監督によれば、桐生が碑文を読んでいる会話シーンの表情など全体に細かい修正を入れているらしく、演じる中村も「気づかなかった……!」と感嘆。西井氏は「そこまで細かい話をしてわかるかな?」と苦笑していた。

出渕総監督から桐生とバーガー、沢村との関係について聞かれた中村は、「バーガーに対してはお兄ちゃん的な距離の近さがあって、今はまだそれが(沢村との)恋愛よりも心地よいのかなと思います」と分析。バーガー関連では、回想シーンに直しが入っているというが、これがまた西井氏が苦笑するほど細かい直しで、出渕総監督は「修正点は気づいてほしいのではなく、情報として無意識下で厚みを感じてほしい」とこだわりを語っていた。

メカ関連の修正の話題になると、西井氏は舷側展望室から煙が上がっているシーンなど、数多くのシーンのディテールに手を入れたようで、「撮影(効果の追加など)を中心に細かい部分まで含めると600カット、全体の半分近くに何らかの修正が入っています」と明かし、BD&DVD版制作におけるクオリティアップの執念を感じさせた。

ヤマトの音楽にまつわる話題では、出渕総監督が「今回はコンテ撮に合わせて、そのシーン用にレコーディングができたのが大きかった。転換のところでパシっと音楽がハマってくれるんです。音楽についてはとにかく太鼓にしてほしいとリクエストしていて、今作のガトランティスは太鼓の音と共に進軍してくるイメージがあったんです」と述懐。さらに最後の決戦では、「ヤマトのテーマと、ガミラスの国歌をベースにした音と、ガトランティスの音楽が三位一体で重なりあうようなイメージ」と劇伴のコンセプトを明かし、西井氏は「ガトランティスの曲は我々のDNAにこびりついているので、再現度がすごいなと思うと同時に、新しく作られたガトランティスの音楽が見事にしっくりきたのは驚きました」と語っていた。また、音楽については待望のサントラCDが5月27日に発売されるが、出渕総監督は「いつサントラCDが出るんだと庵野(秀明氏)がうるさい」と語り、会場を笑わせていた。

最後に中村は「長い年月を経た『宇宙戦艦ヤマト2199』の中で、私はイベントで皆さんの前に出てたった一年とちょっとなんですが、その間にたくさん楽しい経験をさせていただいたことを噛み締めています。またいつか皆さんにお会いできる日がくればいいなという思いを皆さんに託したいと思います」、続く西井氏も「8年は長いです! 50を越えてしまいました。長い間やり続けてきた結果、今があります。それは本当にありがたいことです。今後のことはなんとも言えませんが、またこういった機会があるならまた集まれたらうれしいです」と、今後の展開にも期待を寄せた。

そして出渕総監督は「最初の4年はどうなるかと思いながらほふく前進でした。作っている僕らだけでなく、皆さんと一緒にやってきた旅でした。これから何かあるかはわかりませんが、ここまでお付き合いいただいてありがとうございました」と語り、『宇宙戦艦ヤマト2199』の大きな区切りとなるイベントを締めくくった。

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