キヤノンの「EOS Kiss X8i」は、一眼レフカメラのエントリー機として人気の「EOS Kiss」シリーズの最新モデルだ。曲面を多用したボディデザインを従来製品から継承しつつ、2,420万画素センサーを新搭載。AFやファインダー、画像処理エンジンを改良するなど大幅な進化を遂げている。今回は、新しくなったライブビューやAFの使用感を実写を交えながらレポートしよう。

キヤノン「EOS Kiss X8i」。18-55レンズキットのキヤノンオンラインショップ価格は税別101,800円(5月21日時点)

EOS Kiss X8iを試用してまず気に入ったのは、ライブビュー撮影時の操作感が向上したこと。はっきりと体感できるほどライブビューAFがスピードアップしたことに好印象を受けた。

これまでのEOS KissシリーズのライブビューAFを振り返ると、2012年発売の「EOS Kiss X6i」や2013年発売の「EOS Kiss X7i」では「ハイブリッドCMOS AF」を、同じく2013年発売の「EOS Kiss X7」では「ハイブリッドCMOS AF II」を搭載。AFシステムのバージョンアップのたびに高速化していたことは確かだが、人物など動いている被写体を撮るには非力であり、軽快とはいえなかった。

タッチ操作に対応したバリアングル液晶モニターを継承。従来機から見た目はあまり変わらないが、使い勝手は大きく進化した

だが、今回のEOS Kiss X8iが新搭載した「ハイブリッドCMOS AF III」では、人物くらいの動きであればストレスなく合焦する。ライブビュー時のサーボ連写に非対応という点で、同時発売の上位モデル「EOS 8000D」とは少し差があるが、それでも既存モデルに比べるとライブビューAFは格段に快適になったことを実感できる。

下の写真は、バリアングル液晶を生かしてカメラを高い位置に構え、ライブビューで撮影したもの。歩行者がバランスよく密集した瞬間を捉え、凝縮感のある画面構成を狙った。

マニュアル(F7.1 1/1000秒) ISO200 WB:太陽光 焦点距離:160mm

次も同じくライブビューで撮影したもの。水槽の外から撮っているためシャープ感はやや不足気味だが、薄暗いシーンでの動体撮影という厳しい条件ながら、狙いどおりのピントで撮影できた。

マニュアル(F4.5 1/100秒) ISO800 WB:オート 焦点距離:35mm

撮影直後の液晶表示レスポンスが改善されたことにも注目だ。既存モデルではレリーズ直後に液晶モニターが一瞬暗転してからアフタービューが表示されるが、EOS Kiss X8iは撮影直後の液晶ブラックアウトが非常に短い。そのため、単写でも連写でも、テンポよくライブビュー撮影が行える。

この撮影後の液晶表示レスポンスという点では、上位モデル「EOS 70D」さえも上回っている。また同じAFシステムを採用したミラーレスカメラ「EOS M3」に比べてもライブビューの快適さは勝る。

下の写真は、外部ストロボ光を横から当てることで、陰影のある立体的な描写を狙ったもの。ライブビュー時のスピーディなAFは、こうしてストロボを使って植物などを接写する際にも重宝する。右手だけでカメラを支えながらAFで素早くピントを合わせられるので、左手に外部ストロボを持って光を当てる、といった動作を手持ちでスムーズに行える。

マニュアル(F16 1/400秒) ISO100 WB:太陽光 焦点距離:45mm

同じくハイアングルからライブビュー撮影したもの。上からストロボ光を当てることで、素材の質感を際立たせた。

マニュアル(F9 1/200秒) ISO400 WB:オート 焦点距離:22mm

ローアングル&ローポジションで撮影。上位モデル「EOS 8000D」とは異なり水準器機能を搭載していない点は少々残念だ。ライブビュー上のグリッド表示は可能なので、それを目安に水平をチェックするといいだろう。

絞り優先AE(F6.3 1/30秒) ISO800 WB:太陽光 焦点距離:18mm