ネットワークに軸足を置いた数々のソリューションをはじめ、仮想化やクラウド、モバイルデバイス活用など、顧客の業務効率や生産性向上に寄与する事業を推進しているネットワンシステムズ。同社では「働き方革命」というテーマの下、仮想デスクトップやユニファイドコラボレーション、BYODなどの導入によるワークスタイル変革を積極的に進めている。

今回、同社が「働き方革命」に取り組むにあたって行ったIT活用と人事制度の改革について、話を聞いた。ここでは、前編として、IT活用について、紹介しよう。

本社移転を機に、ワークスタイル変革の取り組みを強化

ネットワンシステムズのワークスタイル変革の大きな目的は、1つが社員の生産性を高めること、そしてもう1つはワークライフ・バランスの実現だ。特にワークライフ・バランスについては、女性社員の活躍や育児介護といったニーズが大きい。そのため、いつでも・どこでも・誰でも、そしてどんな端末でも働けるツールとネットワークが求められたのである。

同社は、2013年5月に本社移転を実施したが、これを機に以前から取り組んでいたワークスタイル変革を大きく前進させた。それまでに蓄積したノウハウを集約した「Innovative Office」を全面導入することで、仕事が場所に依存する従来の物理的なオフィスから解放し、場所や時間の制約を受けない仮想オフィスを目指したのである。そこで活用されているのが、仮想デスクトップ、プレゼンス、チャット、画面共有、電話、ビデオ会議、Web会議といったツール/ソリューション群だ。

"いつでも/どこでも/誰でも/どんな端末でも"を実現するネットワンシステムズのワークスタイル

社員はそれぞれ自分のビデオ会議の番号を持ち、手元のどのデバイスからでも、社内社外を問わずにすぐにコミュニケーションが取れるようになっている。デバイスはノートPC、スマートフォン、タブレット、Wi-Fiのすべてについて、会社貸与あるいはBYODから選択が可能だ。また、BYODの導入にあたって必ず問題となるのが情報漏洩だが、ネットワンシステムズでは全社員を対象に仮想デスクトップを導入しているため、デバイス側に業務用のデータは一切残らない仕組みとなっている。

柔軟に仕事ができる環境とセキュリティをいかに両立させるか

ネットワンシステムズがワークスタイル変革の取り組みを本格的に開始したのは、2011年にさかのぼる。同年、テレワーク(在宅勤務)制度やフレックス制度を導入するとともに、仮想デスクトップ、それにビデオ会議、Web会議、チャットなどのユニファイドコラボレーションの環境を整えた。その後、シフト勤務制度を取り入れて社員が働く時間帯についても工夫できるようにするとともに、前述のように時間と場所にとらわれずに働ける環境を全社員約3000ユーザーへと拡大したのである。

ツール/ソリューションの導入をリードした、ビジネス推進本部 第2応用技術部 EUCチームのマネージャー、玉井真氏は次のように語る。

ネットワンシステムズ ビジネス推進本部 第2応用技術部 EUCチームのマネージャー 玉井真氏

「自分たちが活用した製品をお客さまにもお届けできるよう、ユーザーとしての視点からIT部門と連携して進めました。すべての社員に柔軟な働き方ができる環境を提供したいと思う一方で、セキュリティの確保が何よりも重要となります。よって、この2つをどう両立させればいいのか、IT部門と綿密な打ち合わせを繰り返しました」

「これまでの自社での導入経験から得た利活用・運用ノウハウを生かし、ワークライフバランスを実現する“ワークスタイル変革”というものを自信を持ってお客さまに提案できるようになりました。これは、当社にとって大きな強みだと自負しています」(玉井氏)

ビデオ会議端末も一気に増やしており、共有スペースにも置かれている。そのため、社員はいつでも自由にビデオ会議を行うことができる。現在、ビデオ会議は月に3000時間ほど利用されているが、これは1人当たり月平均1時間以上の利用ということになる。

「出張中のホテルからノートPCで、または、外出先からiPadで社内の会議に参加するといったことも今では当たり前になっています。取引先やパートナー、時にはお客さまとWeb会議を行う機会も増えていますね」と玉井氏。

とりわけ日頃から海外を飛び回っている役員にとって、もはやビデオ会議/Web会議は欠かせない存在になっているという。

こうしてワークスタイル変革を大きく進めているネットワンシステムズだが、ITの運用コストや出張コストもまた劇的に下げることに成功。次に目指すのは、ビジネスへの目覚ましい貢献である。そのために、すでにワーキンググループによる新たなICT活用方法の検討が始まっている。

「タブレットやスマートフォンで使えるアプリケーションをもっと増やして、モバイルデバイスを使った新しいワークスタイルを確立していきたいですね」と、玉井氏は抱負を述べる。

ネットワンシステムズのワークスタイル変革の取り組みを支えているのは、ICTだけではない。「テレワーク」、「フレックスタイム」、「シフト勤務」といった3つの人事制度もまた肝となっている。そこで後編として、これらの人事制度をいかにして構築・導入したのかについて、人事部門の声をお届けする。

「Innovative Office」の見学エリア