【レポート】

マイクロソフトがSurface 3で「LTE重視」にした理由 - 西田宗千佳の家電ニュース「四景八景」

1 日本で数を出すためには……

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直近のニュース記事をピックアップして、「家電的な意味で」もうちょい深掘りしながら楽しい情報や役に立つ情報を付け加えていこう……という趣向で進めている当連載。今回の題材とするニュースはこれだ。

Surface 3は、マイクロソフトが3月31日にアメリカで発表済みであり、製品の販売も、日本では発表前の5月5日からスタートしていた。だが、海外で販売されたのはWi-Fi版だけであり、LTE内蔵モデルは「近日発売」とされていた。今回、日本国内では、日本マイクロソフトがソフトバンクと戦略的なパートナーシップに基づき、世界で最初にLTE版を発売することになった。海外ではLTE版の販売予定はまだ公開されておらず、当面「日本独自」となる。一方で、日本ではWi-Fi版は企業向け市場のみに提供され、個人が買うのは難しい状況が続きそうだ。

「Surface 3」。日本マイクロソフトの発表会にて

「通信バンドルのほうが日本では数が出る」

ちょっとわかりにくいところがあるので、ここで整理しておこう。

今回、日本で個人向けにSurface 3を販売するのは、主にソフトバンク傘下のワイモバイルになる。家電量販店でも、PC売り場よりワイモバイルのカウンターで売られる場合が多くなり、当然、同社の通信プランとセットでの販売形態が準備される。

だが、一般的な携帯電話などとは異なり、契約しないとSurface 3を買えない、というわけではない。「SIMを契約せず、本体だけを一括で買う」こともできるし、家電量販店やマイクロソフトのウェブ通販からは、本体だけを普通に購入できる。Wi-Fi版は当面日本市場に投入しないで、LTE版だけを扱い、LTE版+SIMカードのセットをワイモバイルが中心となって販売する、という形である。

日本マイクロソフトの樋口泰行社長によれば、LTE版を中心に販売することになったのは、次のような作戦があったからであるようだ。

「タブレットにおいて、日本では通信をバンドルしたものの売り上げが多い。だとすれば、フォーカスしないと台数を広げていくのは難しいので、決断した。マイクロソフトはチャレンジャー。あまねくチャネルを広げて売るよりも、同じ気持ちでブレイクに向かってやってくれるパートナーがいれば、そこにフォーカスをあてる方がいい戦略、と思っている。商品計画を立てたのち、ワイモバイルに話をした結果、パートナーシップを組むことになった」

すなわち、「タブレット」という観点で見ると、通信事業者が音頭をとる形で販売したほうが数が伸びるであろう……、という分析からとられた戦略であることがわかる。

日本マイクロソフトの樋口泰行社長。Surface 3の発表会にて

Surface 3は安い製品ではない。キーボードとペンまで含めてフルセットで買うと10万円を超える場合もある。少しでも安く……と思う消費者心理としては、Wi-Fi版が欲しいとも感じる。一方で、マイクロソフトとしては、1ドル=120円という円安の状況で、相対的に高く見えるSurface 3について、モバイルのパートナーを見つけ、セット販売での割引きや割賦販売を併用することでハードルを下げようとしたのでは、とも予想できる。ワイモバイルのエリック・ガン社長も「命を賭けて売っていく」と強い意気込みを見せている。それはもちろん、彼らにとって顧客獲得の大チャンスとなるからだ。

とはいえそこで、SIMロックをかけてしまうとさすがに顧客が狭くなるし、良い印象も与えない。LTE版にはSIMロックはなく、他社のSIMカードも使える。ただし、LTEの通信に利用する帯域としては、ワイモバイルが使っている2.1GHz(Band1) / 1.7GHz(Band3) / 900MHz(Band8)だけが公式サポートされる。機器としては、技術基準適合証明 (通称・技適)はこのバンドでだけ申請されており、他のバンドは「海外での利用時向け」とされている。だから、他社のSIMを挿して通信をすることもできるだろうが、日本国内では電波法違反となる可能性がある。実質的に国内では「ワイモバイル向け」のLTEとしており、なんとも歯切れが悪い。

Surface 3の販売チャネル

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目次
(1) 日本で数を出すためには……
(2) Surface 3で狙うは「iPadとの直接対決」
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