同じ皿で同じ料理を盛りつけても、少し皿の角度が変わるだけで、その料理がぐっとおいしそうに見える。そんな興味深い研究結果が、オックスフォード大学クロスモーダル研究所が行った、1万2千人以上が参加したある実験から判明した。さらに、皿が最適な角度で提供された料理には、「もっとお金を払ってもいい」という回答結果まで出たという。

"フードスタイリング-皿編-"という名で行われたこの実験において、皿の上の料理が、食べている人の逆を指していると料理はさらにおいしく見える、という結果になった。

この研究を率いたオックスフォード大学のチャールズ・ミシェル氏は、「この研究結果は、毎日の食事を向上させる役にも立つ」と述べている。

この実験は、現在ロンドンの科学博物館で開催されている「食欲の展示会」の一環として行われ、参加した人の数は1万2千人を超えた。皿の角度によって料理がよりおいしく見えるという結果のほかにも、皿が完璧な方向を向いている料理には、「もっとお金を出してもいい」とさえ考えていることが判明した。

食の美学を研究しているミシェル氏は、ブラジル人料理家のアルベルト・ランドグラフ氏の料理を見た時に、この研究テーマを思いついたという。ランドグラフ氏の料理は、V字型に並んだオニオンピクルスで、3つのオニオンの先がすべて同じ方向を指していた。ミシェル氏は、オニオンの先が自分の反対側を指している時に、一番料理がおいしそうに見えたと振り返る。そこで、「皿の角度を変えることで料理の見た目に影響するのか」という疑問を抱いた。

同僚のアンディー・ウッド氏とチャールズ・スペンス教授と共に、チャールズ氏はインターネット上で、食べ物の配置角度に関する実験を行った。1,667人が参加したこの実験では、ランドグラフ氏のオニオンピクルスを盛った皿の最適な角度は、3.20度(時計周り)ということが判明した。

通常、シェフがお皿を置く時は直感と経験に頼るという。しかしミシェル氏は、物理的な要因が、料理を盛りつけるうえで重要な役割を果たすと考えている。実験結果でもわかったように、料理が食べる人を指している盛りつけは、あまり好まれない。そのため、レストランでは、食べる人に向かっていくような盛りつけを無意識のうちに避けているのかもしれない。この研究は「フードクオリティ・アンド・プレフェレンス」という雑誌に掲載されている。

カラパイア

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