シャープは5月14日、2017年度を最終年度とする中期経営計画を発表した。同社・高橋興三社長は、「弱体化した経営体質を改善し、再生と成長を実現するため、今日の発表を契機とし、復活に向けた再スタートを切りたい」「私が不退転の覚悟で先頭に立ち、社員一丸となって、中期経営計画の達成に取り組む」と述べた。中期経営計画の最終年度となる2017年度は、売上高で3兆円、営業利益1,200億円を目指す。

シャープ 代表取締役社長 高橋興三氏

その一方で、「経営がまちがっていなければこうなる(2,223億円もの赤字に転落する)はずはない。これまでの市場環境のもとでは黒字を出せる体質にあったが、2014年度下期のように環境が変化した状況においては、耐えられない体質であることが発覚した。ガバナンス、経営管理が外部の環境変化に弱かった」と2014年度を振り返った。

また、「今回の中期経営計画は私が中心となって策定したものであり、これを遂行することが私の経営責任。身を引くのもひとつのやり方だが、途中で投げ出すわけにはいかない」と引責辞任ついては否定。「途中で失敗したらどうするのかということを考えたらスタートラインには立てない。絶対にやりきるという意志を持たなくてはならない。社員とどう向き合っていけるか、社員とどう心をあわせていけるかという点は、今日から始まる私の大きな課題である」とも語った。

2014年度の連結業績、2,223億円の大幅赤字に

シャープが発表した2014年度(2014年4月~2015年3月)の連結業績は、売上高は前年比4.8%減の2兆7,862億円、営業損益は前年の1,085億円の黒字から、480億円の赤字に転落。経常損益は前年の532億円の黒字から965億円の赤字に、当期純損失は前年の115億円の黒字から、2,223億円の大幅に赤字になった。

シャープの2014年度連結業績。当期純利益はマイナス2,223億円

「2014年度後半から厳しさを増し、ご心配をおかけすることになり、申し訳なく思っている。2014年度決算は2年ぶりの赤字となった。価格下落を上回るコストダウンを行ったものの、液晶エンジニアリング事業による一過性収益の減少、売り上げ減少、モデルミックスの悪化などの影響もあり、利益は前年の約4割まで減少。さらに、太陽電池に使用するポリシリコン長期契約に伴う単価差引き当て、液晶在庫評価減により、マイナス480億円の営業赤字になった」(高橋社長、以下同)。

営業利益下振れの要因を示すスライド

「デジタル情報家電、液晶では期初予想に比べて、営業利益でそれぞれ200億円を超える差が出ており、これが急激な業績悪化の主因となっている。第4四半期に亀山、三重の液晶パネル工場、堺の太陽電池工場、福山および三原の電子デバイス工場の減損などで995億円、海外液晶テレビ事業構造改革費用などで65億円の特別損失を計上した」と大幅な赤字の要因について説明した。

2015年度の通期連結業績見通しは。売上高が前年比0.5%増の2億8000億円、営業利益は800億円の黒字化を目指す。「2015年度は、中期経営計画達成の試金石となる。体質改善費用の減少、エネルギーソリューションや液晶の構造改革、人員適正化効果で、営業利益800億円の利益に達する。各事業のモデルミックスや採算改善の効果は折り込んでおらず、蓋然性は高い」と自信をみせた。だが、経常利益、当期純利益は目標値を公表しなかった。「2015年度は引き続き構造改革を進めていくことから、当期純利益については、構造改革方針が具体化した段階で公表する」という。

なお、新たな中期経営計画では、中間期である2016年度には売上高2兆9000億円、営業利益は1,000億円とし、当期純利益については黒字化することを目指す。