4月に新生活が始まって、その後間もなくゴールデンウィークに入り、レジャーや外食などが続き、出費の多さを実感する今の時期。収支を合わせるためにも、財布の紐を締めたいところだ。そこで今回は、ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんに、主婦が簡単に実践できる賢い節約術をアドバイスしてもらった。

ファイナンシャルプランナーの横山光昭さん

横山さんによると、節約のコツは“賢い選択”をすること。安いものばかりに目を奪われて、安いからと言ってあれもこれもと購入してしまうのは、まさに“安物買いの銭失い”になってしまう危険性がある。そこで大事なのは「自分や自分のライフスタイルにとって本当に必要なものなのか?」という視点を持つこと。そして、取捨選択をした上で、さらにその内容や品質についても投資した金額に見合うだけの対価が自分自身にとって相当なのかを見直し、最適なものを選択するというのが重要だ。

特に、1回きりの初期費用でなく、“ランニングコスト”とも言うこともできる、毎日、あるいは毎月々といった定期的に消費したり、管理のための費用は、単価は安いように見えても、年間にすると結構な金額になる。逆に言えば、単価あたりの差額は小さくても、“ちりも積もれば”の状態で、年間では大きな貯金になることがある。そこで、その一例として、横山さんオススメの“賢い選択”をすべき3品目を以下に挙げてもらった。

■通信費

特に影響が大きいのが携帯電話。現在、大手携帯キャリア3社の標準的な“通話かけ放題+データ通信(5GB)+インターネット接続サービス”の月額料金(定期契約の場合。各種割引適用前)は、それぞれ2,700円+5,000円+300円=8,000円だ。年間では9万6,000円の出費となる。

ところが、昨今では“格安SIM”と呼ばれるSIMカードを利用して、通話もデータ通信も大手携帯キャリアより格段に安い料金で利用できるサービスが続々登場している。例えばY!mobleの場合だと、データ通信1GBまでが2,980円、3GBまで2,980円、7GBまででも5,980円で提供している。格安SIMと呼ばれるサービスは他にもたくさんあり、競争も激しくなってきているので、個人の都合や利用状況に応じて条件のいいものが選べる。

ただし、格安SIMは“SIMロックフリー”と呼ばれる端末を利用する必要がある。従来は携帯会社で購入した端末は、この縛りがあるため、購入したキャリアのSIMしか利用できなかったのだが、総務省は2015年10月末にキャリアに対してSIMロックを解除することを義務化。これに応じるかたちで、キャリアは2016年5月以降はSIMロックを解除した端末の販売を始めている。とはいえ、現段階では各社一定の条件を課した上での対応なので、本格的なSIMロックフリー化はもう少し先。しかし、今から乗り換えを検討するか、機種を問わなければ、Googleが販売しているNexusシリーズなどSIMロックフリーの端末は手に入る。今すぐにでも通信費を下げたい人は、端末代の初期費用は必要だが、変更を実践しよう。

■自動車

マイカーというのも、初期費用のみならず、ランニングコストのかかるものとして挙げることができる代表格。家族構成や住居環境、ライフスタイルなどによっては必要不可欠であることは確かな反面、今の時代、家庭で所有しなくても、それに代わるサービスや交通手段は多くある。一度見直しをして、ライフスタイルによっては他の手段を選択することで、大きな節約になる。特に東京をはじめ、大都市では利用頻度が低い場合は、タクシーやレンタカーを利用したほうが、マイカーよりも断然安い。

例えば、200万円程度のマイカーを所有している場合、5年で償却すると仮定すると、保険・税金などを含めて月々約4万円の固定費がかかっている計算になる。年間で48万円だ。毎日乗るのであれば、そのぶんの価値はあるが、あまり乗らない場合は費用対効果は悪い。 さらに、週末の外出に月2回程度、1回6時間程度利用する場合、これらを近年、サービス会社や拠点が増えている、カーシェアリングで代用すれば、1回あたり4,000円程度。月額8,000円程度と、別途入会金が必要とはいえども、1/5に抑えられる。年間にすれば40万円近い節約になる。駐車場も借りていればもっと高額だ。また目的や気分によって好きな車に乗れることも魅力だ。例えば子どもが小さい時はマイカーはあると便利だが、成長してふだんはあまり乗らなくなってしまったが、そのまま所有しているというような場合は、思い切って手放すことも検討してみよう。

■コーヒー

勤務中に飲むコーヒー代。缶コーヒーだと1本100円~120円程度。1杯あたりは大した金額ではなくても、毎日や1日何杯も飲む人は、年間にすると決してバカにはできない金額だ。これを自宅で淹れるコーヒーに置き換えると、1杯はだいたい20円程度。1日2杯飲んだとして年間1万4,600円。缶コーヒーの場合はこの5倍から6倍の計算となる。

例えばネスカフェの「レギュラーソリュブルコーヒー(RSC)」の場合、プロが一流レストランで採用するほど高品質であることを謳っている。このような本格的なコーヒーが家庭でも楽しめ、コーヒーマシン“ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ”を使えばカフェラテやカプチーノなどのカフェで味わうようなメニューも作ることができる。しかも1杯わずか20円程度。これも節約のための“賢い選択”方法といえるだろう。

多くの人が実践している節約方法の中には、例えばクレジットカード払いによってポイントを貯めるといった方法もある。しかし、横山さんによると、確かに節約にはなるが、3万円で付くポイントは140円程度と、ないよりもマシだが、努力や労力に対する効果は意外に小さいとのこと。これに対して、今回紹介してくれた3つの方法は、無理なく簡単にできる上に、即効性があるもの。日ごろあまり考えずに出費しているものを見直し、無駄をなくすというのが基本だ。春から出費が続いて倹約したい人は、明日からでもぜひ実践してみてほしい。