『アイドルマスター SideM』のCD「THE IDOLM@STER SideM ST@RTING LINE 0102」発売記念イベントが5月2日、都内で行われ、ユニット「DRAMATIC STARS」から天道輝役の仲村宗悟、桜庭薫役の内田雄馬、柏木翼役の八代拓が登場。スペシャルゲストの伊集院北斗役・神原大地と共にトークと、『SideM』では初となるミニライブを行った。今回は夜の部の模様をレポートする。

今回会場となったのは都内の地下にあるライブハウス。ステージと客席が触れ合えそうに近く、二階の関係者席も「屋根裏部屋」という単語が浮かぶほどぎゅっと凝縮した空間だ。そして客席の9割は占めようかという女性プロデューサーたちの期待に満ちた熱気。開演前は本当にここはアイマスのイベント会場なのかと思ったほどだ。

オープニングはDRAMATIC STARSの仲村、内田、八代が歌う「STARLIGHT CELEBRATE!」のライブステージからスタート。手を伸ばせば届きそうな距離で踊り出した3人の印象はまさにアイドルそのものだ。そう感じさせたのは実際のアイドルを前にしたファンたちと寸分違わない、いやそれ以上のテンションの客席が作り出す空気感だろう。センターで汗だくになりながらニカッと笑う仲村の笑顔と、くいっと腰を入れてキメる内田の決めポーズがなんともサマになる。ステップして体をひねったり、泳ぐようなムーブを交えながらぐいっとステージの前に出たり。そういったアクションのひとつひとつがダイナミックで存在感があり、彼らが演じているのが男性アイドルであることを実感させる。「遥かな高い空へ!」のフレーズに合わせて3人が手を重ね、天にかざす振りで客席から悲鳴のような歓声が上がる空気が、もうどうしようもなくアイドルしていた。

「(315プロにちなんで)最高でしたか?」「さいこー!」「気持ちいい!」などのやりとりを経て、ここからはトークコーナーに。歌う三人のアイドル純度に圧倒されていただけに、トークに入った3人が自己紹介も緊張で噛みがちな、等身大の若手声優だったのには少し安心してしまった。ここでステージにはスペシャルゲストの伊集院北斗役の神原大地が登場。「エンジェルちゃん!」「まつげ長いね!」と客席を煽って場をさらう神原。会場とのやりとりの中で、いちばん遠方から来たファンが北斗ファンと判明して3人が嫉妬する一幕もあった。

発売された「THE IDOLM@STER SideM ST@RTING LINE -01 Jupiter」と「THE IDOLM@STER SideM ST@RTING LINE -02 DRAMATIC STARS」にまつわるトークでは、神原は「BRAND NEW FIELD」を聴いた瞬間に早く歌いたくなったそう。また、「Planet scape」にはジュピターそれぞれの想いが込められていると表現していた。さらに神原は収録中、カッコよく歌おうとするとアイマスらしくなくなると言われたエピソードを明かした。一方のドラスタは、仕事が終わると一緒にカラオケに行ったり、メンバーの家に泊まりに行ったりする仲の良さを強調。神原が思わずCDの話はとツッコむと、内田は「DRAMATIC NONFICTION」を、理由ありのメンバーが新しく広がる世界に向かう決意が込められた曲と表現し、「何かに挑戦するときに聴くと勇気がでる曲です」と語っていた。

トークコーナーでは各出演者が自身が演じるキャラクターの小学生時代を描いたり(あざとい翼のイラストを描いた八代が圧勝!)、腕相撲対決を行ったりでも盛り上がった。実は昼の部の腕相撲勝負は仲村が圧倒的な腕力で3人抜きを見せたということで、夜の部は対決している以外のメンバーが仲村をくすぐったり、ちょっかいをかけて妨害しても良い3対1のハンディキャップマッチに。初戦は仲村が妨害を物ともせず内田の右腕を破壊(もちろん冗談)。二回戦は内田が体ごとぶつかって妨害してバランスを崩した仲村だったが、なんと腕の力だけで八代に勝ってしまった。これはまた三連勝か……? と思われたが、二回戦までの間に仲村がお腹を触られるのに弱いことを見ぬいた内田と八代が、最終戦では仲村を攻略。この隙に神原が勝利を収めて勝利の「チャオ!」を決め、先輩としての意地を見せた。コーナーを通してドラスタのメンバーの仲の良さが強く印象に残った。

バラエティパートが終わると、ステージでは「SideMのポーズ」の指導が行われた。これは右手の甲を見せて、親指を隠し、人差し指、中指と薬指のクロス、小指の3本に分けて、横向きに見せるというもの。「M」を横向きにしているから「SideM」というわけだ。さらにニコニコ生放送「アイドルマスター SideM ~理由あって! ニコ生! 第2回~」が5月16日21時より配信されることが明かされると、会場は歓声に包まれていた。このニコ生では初出しの新情報が明かされるとのことだ。

後半のミニライブパートは、ドラスタ3人による「DRAMATIC NONFICTION」からスタート。後ろを向いていた3人が順番にターンを決めて振り返ったり、リズムに合わせて細かく上下動することで高鳴る鼓動を表現したりと、ダンスの見せ方も「STARLIGHT CELEBRATE!」とはかなり違う。歌詞の中にある衣服やコーディネートを描いた詞のパートではジャケットプレイを効果的に入れていたのが印象的だった。最後は回転しながらジャンブして、しゃがんで決め……がばっちり決まっていたのだが、実はステージ上で八代の後ろに仲村が並ぶ形になる時にいつも後ろから仲村がちょっかいを出していたことを八代が暴露し、苦笑いの仲村だった。

ここでステージに再登場した神原が「これ、やりますか?」と見せたのは、先ほど練習したSideMポーズ。「SideM」のフレーズが重要な意味を持つ曲と言えば、もちろんJupiterとDRAMATIC STARSが共に歌っている共通曲の「DRIVE A LIVE」だ。今回は神原を加えた4人バージョンということで、DRAMATIC STARSバージョンをベースに、輝のソロパートを仲村と神原が一緒に歌ったりするスペシャルバージョン。北斗と輝のデュオというのは、他ではちょっと実現しそうにない組み合わせだ。この曲では、DRAMATIC STARS組がポジションチェンジ。たまたま八代が自分の正面に来たのだが、実は八代が客席の一人ひとりに可能な限り視線を送りながら笑顔を届けていたことがはっきりと見えるようになった。フロアの高さにいれば、観客は全員が八代に見つめられていると感じたのではないかと思うほどだ。曲の中で何度か入る「315!」のフレーズの時、一瞬照明が背後から照らすシンプルな逆光にかわり、4人のシルエットが浮かび上がるのはとても美しい光景だった。

憧れのアイドルを目にしているような客席の反応と、それに応えるような「DRAMATIC STARS」の3人の輝きを見ていると、『アイドルマスター』に関わる中で何人もの役者が口にしていた"お客さんの、プロデューサーさんの前でだけはアイドルになれる"という言葉を思い出した。締めのコメントでは、いつかここにいないJupiterのメンバーや、他の多くのアイドルたちと一緒にステージに立ちたいという夢、そしてここがはじまりのスタートラインであることが4人から共通して語られた。そして最後に仲村が音頭を取ったライブ締めの言葉は、『アイドルマスター』の全ての作品で受け継がれてきた「これからもアイマスですよ! アイマス!」のフレーズだった。仲間たちと、プロデューサーたちと一緒のステージの心地よさに立ち去りがたく、いつまでもステージに残っていた4人の姿や、会場の外で憧れの人たちに会えた嬉しさで泣いているプロデューサーたちの姿を目にして、この若者たちと『SideM』というコンテンツは、とてつもなく飛躍する可能性と熱量を秘めているように感じたステージだった。