小さな富士山のような山の頂上に、ちょこんと座るうさぎがキュートなパン。「富士山にゆかりのある地域のパンなのかな? 」と思ったら、実は東北自動車道の安達太良SA上り線(福島県本宮市)のベーカリーショップ「あだたらのパン屋さん」のパンらしい。なぜ富士山風? なぜうさぎ?? それにはちゃんとわけがあるようだ。

「吾妻小富士メロンパン(春バージョン)」185円

「吾妻の雪うさぎ」をメロンパンで表現

このパンの名は「吾妻小富士メロンパン」。そう、あの富士山ではなく、福島・山形の県境にまたがる吾妻小富士がモデルになっている。そしてその正体は名前にある通りメロンパンだ。

吾妻小富士は春になると山の残雪がうさぎの形に見えることから、「吾妻の雪うさぎ」と呼ばれている。この春の風物詩にインスピレーションを受け、雪うさぎのクッキーを頂上に座らせたそう。さらにその上には粉砂糖が振りかけられており、山の残雪を風流に表現している。

安達太良SA上り線のベーカリーコーナーで吾妻小富士メロンパンを開発した、日の丸サンズの吉田清マネージャーによると、ベーカリースタッフとともにアイデアを出し合い、試行錯誤した結果、この姿になったそうだ。しかし、「もうメロンパンの面影はないじゃないか! 」と突っ込んでみたくなるのだが……。

「当店のメロンパンは、常時7種類ほどバリエーションも豊富で人気商品となっています。メロンパンを目当てにいらっしゃるお客さまも多いので、どうしてもメロンパン生地を使用してメロンパンの名前をつけたかったのです」(吉田マネージャー)とのこと。山の形なのにメロンパンなのは、ちゃんとした"メロンパン押し"の理由があってのことのようだ。

「吾妻小富士メロンパン(夏バージョン)」185円

季節によって山もパンも衣替え

斬新なのは形やコンセプトだけではない。本物の吾妻小富士が季節ごとに山景色を衣替えするように、この吾妻小富士メロンパンもその季節に合わせて姿が変わる。その季節は、春・夏・秋冬の3種類。春バージョンは抹茶味の緑生地のメロンパンにチョコをかけ、夏バージョンはメロンパンにチョコをかけ、秋冬バージョンは黒生地のチョコメロンパンにチョコをかけている。

「吾妻小富士メロンパン(秋冬バージョン)」185円

吉田マネージャーによると、特に若い女性客から「うさぎのクッキーがかわいい」と好評で、「吾妻の雪うさぎ」というネーミングを知っている人などは「なるほど! 」と納得しながら購入していくそう。珍しいながらも親しみやすいルックスと、そのてっぺんの雪うさぎを目にすれば、誰もが思わず引きつけられてしまうはず。そして、雪うさぎを最初に食べるか取っておいて最後に食べるかは、あなた次第だ。

※記事中の情報・価格は2015年4月取材時のもの。価格は税込