最近のスマートフォン関連のニュースに対して「ガッカリ感」を表明するブログなどが少なくない。たしかに期待を持たせるプロモーションなのに出てきたものは、あまり特徴がなかった「VAIOスマホ」など、「ガッカリ感」があっても仕方がない結果ともいえるだろう。また、4月20日に発表されたXperia Z4についても、「ガッカリ感」があるという人もいる。

この2つの機種は、どちらも「ソニー繋がり」だし、似ているようだが、ずいぶんと違いがある。スペックだけを見ると、どちらも、以前の延長上にしかなく、「驚き」がないため、「ガッカリ」したという結論を出すのもわからないわけではない。

ただ、VAIOスマホの場合、ソニーから分離したVAIO株式会社が関わるとのことで期待があったのだろうと思われる。しかし、パソコンを作っているからといって、スマートフォンが簡単に作れるということはありえないし、通信事業者だからといって、スマートフォンを簡単に作ることが可能ということもありえない。つまり、論理的に考えると、第三者に設計、製造を委託する以外、VAIOスマホを作ることは不可能だったのである。

VAIOフォン。箱を先に見せ、VAIOというキーワードで盛り上げたのはプロモーションとしては成功だったが、肝心の中身が、そのプロモーションとは不釣り合いだった

1980年台後半にソニーは、携帯電話事業に参入した。しかし、無線回路に関するノウハウの蓄積もなく、また、海外展開で戦略の誤りなどがあり、ビジネスが行き詰まった、その立て直しの結果に産まれたのが、端末ビジネスを切り離したがっていたエリクソンとの合弁事業である「ソニー・エリクソンモバイルコミュニケーションズ」である。

日本を代表するソニーにしても、年々高度化していく端末の開発技術をゼロから習得するのは困難であり、開発ノウハウを持つ海外企業との合弁事業として、技術を習得する必要があった。エリクソンは、総合通信機器メーカーであり、当時、ノキアが端末分野で急成長し、端末ビジネスが困難になってきたため、これを分社し、切り離したいという事情があった。携帯電話向けのネットワーク側のシステムで大きなビジネスを行っていたため、無理にコンスーマー向け製品である携帯端末ビジネスを継続する必要がなかったからだといわれている。

ソニーという大企業でさえ、苦労して端末開発の技術を取得しているのである。しかも、当時はいまでいう2Gの世代、現在の3G、4Gから見れば、技術的なハードルも低かったにもかかわらず、ゼロからの立ち上げが困難だったのである。

いくら元ソニーだからといって、VAIO株式会社がいきなり端末をフルスクラッチで開発するのは非常に困難だし、短期間でできるはずもない。製造メーカーでもない日本通信にしても同様である。そうだとすると、VAIOフォンを作る唯一の方法は、すでに実績のあるODMメーカーなどに設計、製造を委託することだ。