2014年、社会現象を巻き起こした大ヒット映画『アナと雪の女王』が、WOWOWシネマでは5月2日(土)21時からテレビ初放送となる。今回はその放送を記念し、1937年の『白雪姫』から2014年の『アナと雪の女王』に至るまで、ディズニーの長編アニメーションにおけるヒロイン像が、時代と共にどう変化してきたのかを振り返る。さらにマイナビニュース会員に向けて“ありのままの自分”をキーワードにしたアンケート調査を実施! その結果を検証していこう。

ディズニーアニメに見るヒロイン像の変遷

『アナと雪の女王』は、アンデルセン童話の「雪の女王」をモチーフに、触れたものを凍らせる不思議な能力をもつ姉エルサと、彼女を救おうとする妹アナが繰り広げる冒険を描いたファンタジー。254億8000万円の興行収入を記録し、2014年の興収ランキングにおいて、洋画、邦画問わず、最もヒットした作品となった。

さらに、登場人物たちの半年後を描いた続編『エルサのサプライズ』が、公開中のディズニー映画『シンデレラ』と同時併映されるなど、“アナ雪”ブームはとどまることを知らない。

なぜここまで本作がブームとなったのか? その要因のひとつは『アナ雪』で描かれる“自立したヒロイン像”が、子どもはもちろん、現代を生きる悩み多き大人たちに勇気を与えてくれるからだ。

初期のディズニーアニメ、たとえば『白雪姫』『シンデレラ』『美女と野獣』ベル『アラジン』ジャスミン『眠れる森の美女』のオーロラなどは、“白馬の王子様との幸せを夢見るお姫様”として描かれてきた。これは当時「ステキな男性が現われるのを待ち、彼との愛を実らせることこそが女性の幸せ!」と思っていた女性たちの恋愛観、結婚観が投影されたものと言えるだろう。

(※画像はイメージです)

だが2010年、ディズニーアニメの記念すべき50作目となった『塔の上のラプンツェル』でそれまでの受け身なヒロイン像は一変。生まれてからずっと塔に閉じ込められていたラプンツェルが、塔に逃げ込んできた泥棒との出会いをきっかけに、外の世界に飛び出していくというストーリー。彼女の冒険活劇を通して“待っているだけでは幸せをつかむことはできない”というメッセージが伝わってくる。

その後、‘12年のディズニー&ピクサーのタッグとなった『メリダとおそろしの森』では、ヒロインの性格はさらにポジティブに。お姫様であるにもかかわらず髪はボサボサでドレスも着ない。伝統を重んじる母親に反抗し、自分の意思で行動を起こしていくメリダ。そんな彼女が現実と理想の狭間でもがく姿は、仕事をとるか結婚をとるか、または仕事と家庭の両立など、人生の中で様々な選択を迫られながら生きる現代女性の姿そのものだ。

こうして時代の価値観に合わせて変化してきたディズニーアニメのヒロイン像は、ディズニー初のWヒロインものとなった『アナと雪の女王』でさらなる進化を遂げる。かつて白雪姫が王子様のキスでピンチを救われたように、幸せの定義は男女の愛だったのに対し、『アナ雪』のテーマはずばり“姉妹愛”。複雑な事情と孤独な自分を受け入れようとするエルサと、男性に頼ることなくみずからの手で姉を救い、運命を切り開いていくアナの姿に、大人たちは「これは自分の物語だ!」と涙腺を大いに刺激されるのだ。

映像と共に甦る珠玉のミュージカルナンバー

公開時にリピーターが続出した理由のひとつは、全編を彩る魅力的なミュージカルナンバーだ。ディズニーアニメとしては初めてのオリコントップを記録するなどサウンドトラックも大ヒット。“レリゴー”も流行語となり、映画を観ながら登場人物と一緒に歌うという観客参加型企画も全国各地で行われた。

載冠式の朝、これから待ち受ける新しい出会いにアナが胸を高ぶらせる「生まれてはじめて」や幼いエルサとアナの思い出の曲「雪だるまつくろう」。王子ハンスとアナのデュエット「とびら開けて」は、ファンによる口パク動画や替え歌がYouTube上で話題となるなど、意外な広がりを見せている。

だがやはり最大の見どころは、物語の中盤、ありのままの自分を肯定するエルサが歌う「レット・イット・ゴー」。トニー賞の受賞経験もあるロバート・ロペス&クリスティン・アンダーソン=ロペス(作曲)、ブロードウェイ女優のイディナ・メンゼル(歌)がタッグを組み、ディズニーとしては’99年の『ターザン』以来8年ぶりとなるアカデミー賞歌曲賞をもたらしたこの曲。抑圧から解放されたエルサの心情変化を表した歌詞と、次々と魔法を使って氷の宮殿を築き上げ、扉を開けて飛び出していくビジュアルが融合したシーンは圧巻。家に帰っても曲を聴いただけで名シーンが甦り、「もう一度見たい!」という気持ちを喚起させてくれる。

日本語吹き替えを担当したアナ役の神田沙也加、エルサ役の松たか子の歌唱力も話題となり、YouTubeにアップされた松が歌う「レット・イット・ゴー~ありのままで~ 日本語歌詞付Ver.」は、4月27日現在、96,252,144とすさまじい再生回数を記録。日本における歴史的なミュージカルブームの火付け役となった。