セブン銀行は3月、セブン銀行ATMでの海外発行カードサービスに関する関係者懇親会を開催した。

(左から)セブン銀行 代表取締役社長の二子石謙輔氏、観光庁審議官の蛯名邦晴氏、ビザ・ワールドワイド・ジャパン 取締役次席代表の松田典久氏

セブン銀行では、訪日外国人旅行者が海外で発行されたキャッシュカードやクレジットカードなどを利用して、ATMで日本円を引出すことができるサービスを2007年から提供。現在では、2万1,000台を超える全ATMで海外発行カードが利用できる。2014年度の海外発行カード利用件数は400万件を突破、訪日外国人の急増とともに利用が拡大している。

海外発行カード利用件数の推移

また、これまではATM画面、明細票、ATM音声を4言語(英語・韓国語・中国語(簡体字)・ポルトガル語)に対応してきたが、2015年12月頃よりこれに新たに8言語(中国語(繁体字)、タイ語、マレーシア語、インドネシア語、ベトナム語、フランス語、ドイツ語、日本語)を追加し、訪日外国人旅行者の利便性をさらに向上させることを発表した。

セブン銀行では、2015年12月頃よりATMを12言語対応にする予定だ

二子石社長「スタート当時は手探り、ここに来て非常に盛り上がり」

代表取締役社長の二子石謙輔氏は、「サービスを開始して約8年になるが、ここにきてようやくサービスの認知が広がってきた。東京オリンピック・パラリンピックの開催も決まり、訪日外国人のますますの増加が期待される中で、ぜひ当社ATMで海外発行カードが利用できるという特長を多くの方に知っていただきたい」と述べ、訪日観光客による同社ATMの一層の利用拡大に向け意欲を示した。

セブン銀行 代表取締役社長の二子石謙輔氏

関係者懇親会で二子石氏は、サービス開始当初について、「スタートしたものの、これを誰にどうやって、どこでどう宣伝していけばいいのかよくわからず、手探り状態だった」と述懐。そのときに日本観光協会に相談したところ、国土交通省の「ビジット・ジャパン・キャンペーン」との連携を提案されたという。

その際、国土交通省でも、「これからもっともっと訪日外国人旅行者を増やしたいが、海外発行カードが使えないという日本の現状を何とかしたい」という思いがあり、「セブン-イレブンにさえ行けば円が下せるということになれば旅行者にとって大変いいことなので精いっぱい努力する」との話しがあったという。さらに、成田空港へのセブン銀行ATM設置についても後押ししていただいたと述べた。

その後、なかなか認知度を上げることができず苦労したということだが、ここに来て、安倍内閣の成長戦略の中で観光立国という戦略が明確に打ち出され、「非常に盛り上がってきた」(二子石氏)。

二子石氏は、「この機をとらえて、しっかりと皆さんに海外発行カードサービスを告知していきたい。」と述べ、利用拡大への意欲を示した。

海外カードでの引出金額が2014年度は2000億円を突破、空港への設置も拡大

続いて、セブン銀行 業務推進部次長の三原卓哉氏が具体的なプロモーション活動などについて報告した。三原氏によると、セブン銀行ATMでの海外発行カードの利用件数は、2007年のサービス開始から着実に増え、2014年度においては400万件を突破した。これは前年度比で約170%となっている。また、海外カードでATMから引き出された金額も2014年度は2000億円を突破している。

三原氏は、地域と連携した事例として、札幌の雪まつりを紹介。例年札幌市とビザが取り組んでいるプロモーションにセブン銀行も参加し、札幌市が発行する公式パンフレットに協賛しているほか、セブン-イレブンで利用できる商品無料引換券を海外の方に配布し、引換のために来店された際ATMの利用やお買物をしていただいている。

札幌の雪まつりとの連携事例

海外でのプロモーションに関しては、訪日外国人の多い5つのエリア(韓国、中国、タイ、台湾、香港)を中心に実施。また、国内でのATMの設置の事例としては、全国で17空港、47台のATMを設置していることを紹介。成田空港、羽田空港、関西国際空港など、主要な空港においては、海外カードの利用件数は急増しているという。

海外でのプロモーション

さらに三原氏は、観光庁の訪日観光に関する海外市場向けキャッチフレーズ・ロゴをATM画面と海外カード利用時の明細票に表示することも発表。今後も訪日国人旅行者が多く訪れる商業施設、空港・駅、観光地などへ積極的にセブン銀行ATMを設置し、日本政府の推進するビジット・ジャパン事業に貢献していきたいと話していた。

観光庁の訪日観光に関する海外市場向けキャッチフレーズ・ロゴをATM画面などに表示

観光庁審議官の蛯名邦晴氏、「地方への観光客誘致へセブン銀行ATM活用を」

乾杯、歓談の後は、観光庁審議官の蛯名邦晴氏が挨拶。「これからの課題は、ゴールデンルートと言われる東京から富士山、京都、そして大阪というルートから、より地方へ行っていだくということ。安倍内閣の大きな課題でもある『地方創生』とも大きく関連する」と述べた。

「これを実現していくためにも、地方に行って、キャッシングができて、買物ができるということが、免税店の展開にも欠くべからざる環境整備」とした上で、「セブン銀行ATMが、空港、駅などだけではなく、セブン-イレブンでの展開をさらに拡大していただくことが、ゴールデンルート以外で外国人の方を受け入れる何よりの手段となる」とエールを送った。

また、ビザ・ワールドワイド・ジャパン 取締役次席代表の松田典久氏も、「日本を訪れる外国人観光客は、セブン-イレブンに行けば確実に現金が得られるというのが常識になりつつあり、そのことが日本の観光政策に大きく貢献している」と述べ、セブン銀行ATMのさらなる拡大に期待を示していた。