2014年に注目されたマーケティング手法の1つとして、「コンテンツマーケティング」がある。ユーザーが必要とする情報をコンテンツとして適切に提供することにより、アクションにつながる活動を引き起こすことが目的だ。

その多くは、記事や動画としてブログやオウンドメディアといったチャネルを通じて提供される。しかし、楽天の楽天マーケティングジャパン事業 RMJマーケティング部にて部長を務める向谷和男氏は、ペイドメディアを活用することも可能だと説明する。 

「【前編】ペイドメディアで行うコンテンツマーケティング - その意義とは」は、こちら

前編では、ペイドメディアでコンテンツマーケティングを行う意義についてお伝えしましたが、今回は効果的に行うためのポイントについてお話します。そのポイントとは、「データを活用してコンテンツを最適化すること」と「継続的にユーザーとコミュニケーションをとること」だと考えています。

データ活用で、コンテンツを最適化する

それではまず、ペイドメディアの優位性を振り返ってみましょう。

情報ポータルサイトなどのペイドメディアは、ユーザー群が「いつ / どんなコンテンツを / どのくらいの時間閲覧したのか」といった行動データを保有しています。最近では、個人を特定しないことを前提に、このデータを活用した広告配信・展開が盛んに行われているため、メディアは、大量のデータを整備し保有するケースが多く見受けられます。

ペイドメディアでコンテンツマーケティングを行う際も、同データを活用し、コンテンツの内容を最適化することで、より効果を高めることができるのではと考えます。

ただ、データの活用といっても、そのユーザー群が女性か男性かといった「属性情報」や、お水買ったかお茶を買ったかといった「消費行動」など直接的に関係性の強いデータを活用しコンテンツを配信するだけではなく、「データを活用してユーザー群の嗜好性や行動特性などを推測する」ことが重要です。

「データでユーザーの嗜好性を推測する」ということは、例えば、データとデータの関連性などを模索し、紐付けていくといった作業です。我々の分析では、保有する車とワインの購買に相関関係があることがわかっています。同じ輸入車を保有する消費者であっても、保有車種によってシャンパンやスパークリングワインなど最近人気の「泡もの」と呼ばれるジャンルを好むユーザー群と、単価の高い高級ワインを好むユーザー群に分かれたりします。

こういったことが分かると、ユーザーの背後にある文脈(ストーリー)が推測でき、それに合わせたコンテンツを作成することができます。先程の車種とワインの例ですと、「輸入車とユーザー」の枠を超えて、「高級ワインを好むようなユーザーに自社の車が好まれているようだ」とすると、「ラグジュアリーな世界観を好むような人々にニーズがあるのではないか?」これを前提とした場合、訴求内容として「そんな人はどんなコンテンツを好むのだろうか?」――といった流れでコンテンツ内容を最適化することが可能となります。

ユーザーと持続的なコミュニケーションを実現する

そして、もう1つの大切なポイントは、ユーザーとの「継続性を担保すること」です。

昨今、ユーザーが接触する情報量は増え続け、企業は、販売促進や需要喚起を行う際、初期接触だけでユーザーの気持ちを的確に捉え、最適なコミュニケーションを実現するのは極めて困難でしょう。そこで、ユーザーと継続的な関係を構築し、最適化しながらマーケティングすることが重要となってきます。

弊社で行った、とあるキャンペーンの運用事例では、申込などのアクションをコンバージョン(CV)とした際、初期接触時にアクションしなかったユーザーに対して2度目の接触を行うと、約30%程度申込が増加したという結果がでています。

ペイドメディアは日頃から、ユーザーとの接点を継続的に保持すること(再訪率や回遊率の向上)に努めています。企業は、これらメディアを活用することで、ペイドメディア上ではありますが、ユーザーとのコミュニケーションを継続させることも有効な手段の1つではないでしょうか。


さて、前編後編と2回にわたり「ペイドメディアで行うコンテンツマーケティング」について解説してまいりました。

ユーザーが必要とする情報をコンテンツとして適切に提供することに重点を置く「コンテンツマーケティング」ですが、同手法を実践するにあたり、ユーザーを集めるだけでなく、ユーザーが集まっている場所に自ら行くことも、コミュニケーション手段の1つです。

新たな視点でメディアの活用方法を考えてみてはいかがでしょうか。

執筆者紹介

楽天マーケティングジャパン事業 向谷和男

1995年より在阪の広告会社にてインターネット広告事業に従事。その後入社したLycos Japanの楽天によるM&Aを経て、2003年より楽天株式会社に入社する。求人情報サービス事業責任者や楽天WOMAN編集部部長を勤めたのち、楽天グループのサービス・プラットフォームなどを活用した企画立案プロジェクトを統括。現在は、楽天マーケティングジャパン事業のマーケティング関連事業の推進と新たなスキーム・サービス開発を支援する。