キヤノンITソリューションズは4月16日、同社が国内総販売代理店として提供している「ESET」の法人向けセキュリティ製品 新バージョンを発表した。新バージョンv6は秋ごろに市場投入を予定している。

ESETでは、セキュリティ管理者が取り扱いやすいように、エンドポイントの管理機能向上を目的として、日本など6カ国の法人ユーザーへヒアリングを行ったという。これをもとに、クライアント管理プログラム「ESET Remote Administrator(ERA)」の刷新を行った。これは、数年間かけてセキュリティ製品のプログラムを一から見直し、新規に設計・開発を行ったものとなる。

管理者は、ログイン後に「インタラクティブなダッシュボード」(ESET CSO/CMOのイグナシオ・スバンパト氏)という運用管理上必要な作業の大半を実行できるため、「管理者の作業・運用負担が大幅に軽減される」という。新しいERAは、Webベースの管理コンソールになっているため、拡張性が高く、同時にクラウド対応も果たした。

マルチプラットフォームで同一のダッシュボードデザインに。これにより、操作性を統一できる

これまでは、社内ネットワーク上に設置する必要があったERAサーバーだが、クラウド環境に設置できるようになったため、データセンターにおける運用管理が可能となり、保守の手間が大幅に削減できることになる。6月末には、先行評価版の「クラウド対応ERA(仮称)」を無償提供する予定だ。

ただ、新バージョンでは、セキュリティ管理者の運用負担の軽減だけではなく、セキュリティ製品本来の性能向上も図っている。

  • エクスプロイト ブロッカー

  • ボットネットプロテクション

  • アドバンスド メモリスキャナー

  • バルナラビリティシールド

Windows向け製品に提供するエクスプロイト ブロッカーは、Webブラウザやメールなどのアプリケーションの脆弱性を悪用するウィルスからエンドポイントなどを守る機能。特定のアプリケーションの脆弱性を悪用する動作を監視し、疑わしい振る舞いを検出すると、ただちに動作をブロックするという。

続くボットネットプロテクションは、ESET Endpoint Securityで提供する機能。ボットによるリモート操作を防ぐもので、"パーソナルファイアウォール機能"を利用して通信を解析。リモートからのアクセスを検知してボットを検出する。これまでもフィルタリング機能は提供してきたが、さらに多重防御を行うことで不正サーバーへの不審な通信やアドレスを検知して遮断する。

また、アドバンスド メモリスキャナーでは、メモリの監視を大幅に強化。高度に難読化・暗号化されたウイルスによる不審なプロセスの振る舞いを監視して、メモリ内でウイルスを解析する。

最後のバルナラビリティシールドもESET Endpoint Securityで提供する機能。IDS(Intrusion Detection System)機能の強化で、脆弱性(バルナラビリティ)に対してネットワークレベルで機能する。これにより、既知の脆弱性やセキュリティホールを悪用したウイルスによる攻撃、ハッキングによる外部のネットワーク攻撃に対する防御力が向上したという。

バージョンv6の価格は、現行のバージョンv5と同一の見込み。なお、新製品となるクラウド対応ERA製品については、現時点で「未定」としている。

日本市場も"本気"

記者発表会には、ESET CEOのリチャード・マルコ氏とCSO/CMOのイグナシオ・スバンパト氏が来日し登場。日本市場に対する"本気度"が垣間見えた。

ESETは現在、第三者機関調べで世界5位、日本では4位のシェアを持つアンチウイルスソフトベンダーに成長している。ESETは、シグネチャベースのセキュリティ製品が主流だった10年以上前から、現在主流のウイルスの動きを見る"ふるまい検知"を行う「ヒューリスティックエンジン」を最大の強みとしてきた。

売上を順調に伸ばすだけでなく、製品自体の評価も高いESET。国内の大手企業では、販売代理店を務めるキヤノンのグループ企業のほかに、東芝やホンダ、三菱自動車が採用している

認知度では、トレンドマイクロやシマンテックに劣るものの、ここ5年は毎年二桁成長を記録しており、2010年から2014年にかけて43.3%の成長を果たした。今後もこのまま「過去に生きるのではなく、継続的に技術を成長させていく」(リチャード・マルコ氏)、「より高いところを目指せると思っている」(イグナシオ・スバンパト氏)としており、日本、世界で3位のポジションを目指すという。

4位と5位から共に3位へ

シェアが伸びている要因は「プロダクト自体の良さへの理解の深まりと、サポートへの評価」と語るのは、国内の販売代理店であるキヤノンITソリューションズの執行役員 セキュリティソリューション事業部長の近藤 伸也氏。

「本当に使いやすく、パフォーマンスや動作が軽いところが、世界で一番うるさいと言われる日本にあっていると思う。当初は『NOD32』という名前で提供されていた製品で、2003年から10年以上アライアンスを組んで、結果がでてきた。今度の製品は、発売自体は秋ごろになるが、できるだけ早く市場に投入していきたい。性能の向上だけではなく、いかに簡単に統一したセキュリティポリシーで運用できるか。それを解決した新製品だと思っている」(近藤氏)

国内シェアはこの5年で大きく伸長

大規模ユーザーだけでなく、特定業種・業界への取り組みを強化するほか、ソリューションも多様化させる。パートナープログラムも拡充することで、連携SIベンダーを増やし、利用企業のサポートを強化したい考え。なお、マイナビニュースではESET CEOのリチャード・マルコ氏の単独インタビューを近日掲載する予定だ。

パートナーサポート支援では、マルウェアの検体解析の迅速化など、法人ユーザーに直結する利便性の向上にも取り組む