大仏は必須でも、それだけじゃないのが鎌倉だ(写真はイメージ)

鎌倉は「鎌倉時代」と日本史に名前が付けられているように、一時は日本の中心だった都市。ほんの150年ほどの期間だったとはいえ、現在も由緒ある風格はいたるところに感じられる。無数にある歴史的な神社仏閣もそのひとつだ。しかし、「お寺や神社はイマイチピンとこない……」という人にも、"見て終わり"ではない鎌倉の社寺めぐりを紹介しよう。

トコトコ走る江ノ電に乗って鎌倉大仏へ

鎌倉駅にたどり着いたら、JR線と隣り合わせにあるローカル線・江ノ島電鉄、通称「江ノ電」に乗って少し先まで行ってみよう。民家の間をゆっくり走る江ノ電は気分までゆったりと落ち着かせてくれて、社寺めぐりにもちょうどいい。

向かうは鎌倉駅から4駅目の長谷駅。ここには鎌倉の代名詞とも言える巨大な大仏が鎮座する「鎌倉大仏殿高徳院」がある。山門をくぐり、拝観料200円を支払って石畳を歩いていくと、徐々に大仏の全貌が明らかになる。

高さ13m以上もの巨大な像が屋外にあり、しかも手を伸ばせば触れられるほど身近にあるというのは珍しい。木々に囲まれ、像の上にあるのは空だけという空間は神秘的ですらある。さらにこの仏像は内部に入ることができるのも面白いところ。それだけでもちょっとしたアトラクションのようだ。胎内拝観は20円でできるため、訪れた際には試してみたい。

まさに「極楽浄土」の風情

ここまで来たらぜひ訪れたいのが「長谷寺」だ。高徳院より徒歩5分ほどのところにあり、一年を通して咲く花や紅葉がとにかく美しい。山に沿って建てられた境内には回遊できる庭園や池などがあり、まさに「極楽浄土」の風情。高台からは海も望めるという、見たい自然を凝縮したようなお寺だ。拝観には300円が必要だが、それ以上の価値があるだろう。

これらのお寺をめぐったら、道を一本外れて路地裏を散歩してみよう。「鎌倉時代のよう」とまでは言わずとも、レトロな町並みが「遠くに来た」という気分にさせてくれるに違いない。古い建築を利用したカフェや雑貨屋などもオススメだ。

白無垢姿の花嫁にも遭遇!?

鎌倉で外せないのが、お正月のニュースに必ずと言っていいほど登場する「鶴岡八幡宮」だ。三が日は例年、250万人もの参拝客が押し寄せるという人気スポットである。

駅前から約2km続く参道の真ん中には、段葛(だんかずら)と呼ばれる桜に囲まれた小道が続いている。しかし、2016年3月まで修復工事をしているため残念ながら通ることができない。とは言え、諦めるのはまだ早い! この道の両脇には伝統的なお菓子屋やカフェ、オシャレな雑貨屋などが並んでいるので、寄り道しながら楽しんでみてはいかがだろか。

鶴岡八幡宮の本宮は長い階段の上にある。急な階段で少し怖いものの、がんばって上まで登ってみよう。街を上空から見下ろしたような眺めは爽快で、ちょっとした達成感を味わえるかも。ここでは結婚式が行われることも多く、白無垢姿の花嫁を見られる確率は意外と高い。拝観料は無料だ。

源頼朝ゆかりの泉で銭洗い

鎌倉にはメジャーながら秘境の雰囲気を漂わせる神社がある。「銭洗弁財天宇賀福神社(銭洗弁天)」だ。急勾配の山の上にあり、ちょっとしたハイキングも楽しめてしまう。

入り口は狭い洞窟のようになっていて、そこを抜けると岩や木に囲まれた中庭のような神社に出る。さらに奥の洞窟には忘れずに入っておこう。ここには源頼朝が夢のお告げにより発見したという泉が湧いていて、ここでお金を洗うと開運するという言い伝えがあるという。洞窟の重々しい雰囲気といい、建築の古さといい、肌に歴史を感じさせる神社だ。こちらも拝観料は無料。

竹林を抜けて抹茶を少々

街の喧噪から逃れたい時は、鎌倉駅から東に2kmほどのところにある「報国寺」を訪れてみよう。通称、竹寺と呼ばれるこのお寺には大きな竹林があり、奥のあずまやでは抹茶と干菓子をいただける。

一面に広がる緑の竹と、葉のさわさわという音、そそぐ木漏れ日は、それだけで気持ちを落ち着かせてくれることだろう。奥の崖には大きく掘られた穴に石のやぐらが置かれている。足利氏の墓と言われているが、それらは今や景色と一体となっており、いにしえの造形物を思わせる趣さえある。竹林の拝観料は200円、抹茶(干菓子付き)は500円だ。

都心から1時間足らずで行ける鎌倉の社寺めぐり。ここには、プラスαの楽しみがたくさんあるようだ。

※記事中の価格・情報は2015年4月のもの

筆者プロフィール: 木口 マリ

執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。旅に出る度になぜかいろいろな国の友人が増え、街を歩けばお年寄りが寄ってくる体質を持つ。現在は旅・街・いきものを中心として活動。自身のがん治療体験を時にマジメに、時にユーモラスに綴ったブログ「ハッピーな療養生活のススメ」も絶賛公開中。