iPhone 6はこれまでのiPhoneシリーズとは異なり、側面が湾曲した独自の形状を採用している。このため、ディスプレイの保護フィルム選びに悩んでいる―― という人は多い。見た目はもちろん、ディスプレイの保護という観点でも、この湾曲部分にうまくフィットする製品がiPhone 6の最適な保護フィルムと言えるだろう。
そんな中、ゴリラガラスを削って加工した、iPhone 6にフィットする液晶保護フィルム「クリスタルアーマー True RoundEdge 3D」が登場した。製造元のアピロスに同製品の特徴について聞いてきたので紹介しよう。
保護フィルム1枚につき1時間かけて削る!?
今回話を聞いたのは、アピロス 代表取締役の政岡健太郎氏。同氏によると、「クリスタルアーマー True RoundEdge 3D」は、iPhone 6のディスプレイにぴったりと密着するように、米国コーニング社製のゴリラガラスをダイヤモンドツールで切削・研磨加工しているという。「1枚につき1時間もの時間をかけて、丁寧に削っています」と政岡氏。0.8mmのゴリラガラスを0.48mmまで削り、曲面ガラスに加工しているのだとか。ちなみに、この切削工法は世界初とのことだ(2015年3月時点同社調べ)。
「iPhone 6は、側面が曲面になっています。そのため、市販の保護フィルムはディスプレイの平面部分だけを覆う仕様になっています。弊社の初期製品もそうでした。ただ、それだと手触りが悪く、スワイプなどの操作もしづらい。なにより、持ったときに違和感があるんですね」と政岡氏は語る。
そこでアピロスでは製品に改良を重ね、フレームも含めて前面をすべてカバーできる第2世代の保護フィルムを開発した。しかし、ここで別の課題が持ち上がる。政岡氏は「糊を厚くするなどの工夫を施しました。でも側面はどうしても浮いてしまうので、ここに指が引っかかったり、ホコリが溜まったりしてしまう。バンパーや、ケースと干渉する可能性もありました」と解説する。
木片から木のお椀をつくるように
当初、熱成形で制作する簡単な工法も選択肢の中に入れていた。しかし、アピロスではその工法を選ばなかったという。「ガラスは熱で溶けます。ガラスのコップは熱成形で制作していますね。iPhone 6の保護フィルムに使用するガラスも、熱成形できれば楽なんです。実際、海外の競合メーカーでは熱で成形したiPhone 6向け保護ガラスを8,000円前後で販売しています。我々も、初めは熱成形で試作しました。でも、熱成形では意図しない部分まで曲がってしまったり、ひずみが出たり、反ってしまったりという不具合が生じるんです。他社では、それを”強粘着”で押さえ込むというやり方で矯正しています」と政岡氏。では、アピロスではどのように切削・研磨加工しているのだろうか。「弊社では製品のクオリティを高めるために、ガラスを削って曲面にする方法を選びました。木のお椀をつくるときに木片を削り続けていく、そのようなイメージで切削・研磨加工しています」。
さらに政岡氏は「具体的には、平らな板状のガラスをiPhone 6の大きさに切ってから、1枚1枚をダイヤモンドツールで削り出して研磨していきます。湾曲している部分を研磨しなければならず、技術的にも困難がともないます。でも量産の態勢が整えば、熱成形よりもコストを下げられる見込みです」と続ける。
この工法には、別のメリットも存在するという。「熱成形では、ガラスメーカーの提供するガラスの厚みでしか製品化できません。でも今回の工法なら、厚みを自由に調整できます。つまり厚みにバリエーションを出せるわけです。例えば、さらに薄いゴリラガラスの保護フィルムが欲しい、という要望にも応えていけるわけです」。思わず、ここで耳寄りな情報が得られた。将来的には薄型化のほかに、”様々な形状にも対応していける”との話なのだ。いま話題の、あのウェアラブル時計向けの保護フィルムも提供されるかもしれない。
政岡氏は「クリスタルアーマー True RoundEdge 3D」について、「1枚1枚、人の目で検品していますので、品質の高さに自信があります」と胸を張る。同社は、もともと半導体の装置を製造してきたメーカー。装置の開発技術者がこだわってつくった保護フィルムということで、クオリティの高さはお墨付きだ。
「9H硬度」による最高レベルの耐擦傷性のほかに、アピロス社独自のガラスコーティング「Fussode COAT」による最高レベルの滑り性と指紋防止効果、飛散防止加工なども施されている。iPhone 6のカラバリに合わせ、ブラックとホワイトの2色から選択可能だ。価格は6,480円(税込)で、発売日は2015年4月中旬を予定。増産体制が整うまではアピロスの直販ECサイトなどで限定販売をし、その後に全国の家電量販店、スマートフォンアクセサリーショップなどで販売を開始する予定となっている。
筆者も実際に「クリスタルアーマー True RoundEdge 3D」を使用してみた。貼る際は、ディスプレイ上部の近接センサーやサブカメラ、下部のホームボタンに位置を合わせて上から保護フィルムを乗せるだけ。自然に吸着していくので、綺麗に貼ることができた。iPhone 6の手触りは貼る前と変わらず、見た目にも違和感がない。これなら長く使っていけそうだ。転ばぬ先の杖ならぬ、割らぬ先の保護フィルム。割れてからショップに修理に出すよりもはるかに安く、手間ひまもかからない安心の「クリスタルアーマー True RoundEdge 3D」を多くの人にオススメしたい。