グローバルBPO企業が抱えていたエンドポイント・セキュリティの課題とは?

プレステージ・インターナショナル 情報管理部部長 佐々木亘氏

1986年に創業し、海外のグローバルネットワークと国内のグループ会社ネットワークの双方を構築・拡大することにより、BPO事業を成長させ続けてきたプレステージ・インターナショナル。同社は昨年、グローバルでハイレベルなセキュリティを一律に実現することを目指し、エンドポイントのセキュリティ・ソフトウェアとして、ウェブルートの「SecureAnywhere Business エンドポイントプロテクション」を導入。今年前半には、3000台規模での適用をすべて終える予定となっている。

同社は以前、クライアント向けのセキュリティソフトウェアとして他社製品を利用していた。しかし、端末ごとの挙動が一律ではなく安定感に欠けており、それが管理者にとって安心感の欠如をもたらしていた。また、管理コンソールが使いづらいうえ、構築時にサーバやネットワークを自前で用意しなければならないなど、管理者にとって運用負荷が大きかったという。

そして、日々生じる問題を解決しようとベンダーのサポートオフィスに問い合わせてみても、担当者に日本語は通じるが、細かいニュアンスは伝わらずになかなか解決には至らないために、時間ばかりがかかってしまうケースが多かった。

プレステージ・インターナショナル 情報管理部の部長を務める佐々木亘氏はこう振り返る。「企業にとって重要なセキュリティを守る人間として、セキュリティ・ソフトウェアがそのような状況では、迅速に二次的なアクションに移ることができません。これでは、リスクが増大してしまうので、リプレースを考えたのです」

同社は国内外に拠点を展開しており、国や地域によって通信品質にも差がある。また、デバイスを利用するシチュエーションも多岐にわたっている。そうした同社ならではの環境をカバーできるような、新たなエンドポイント・セキュリティ製品が求められたのである。

製品選定とエンドポイントセキュリティの一元管理体制を短期間で確立

プレステージ・インターナショナルでは、各セキュリティベンダーに門戸を開いてコンペティションを実施。そこに参加していた一社がウェブルートだった。

「正直なところ、ウェブルートは日本での知名度がそれほど高くなかったため、最初はターゲットから外していました。しかし、いろいろと調べていくに従い、ウェブルートの製品が当社のニーズをことごとく満たしていることがわかりました。他社の製品だと、われわれの条件のいくつかはクリアしていても、何らかのネットワーク構築が必要だったり、日本でのサポートが不十分だったりと、必ずどこかが欠けてしまうという状況でした」と佐々木氏は語る。

リプレースの検討を開始してからウェブルート製品の導入を選択するまでの期間は、わずか3~4カ月しかかからなかった。その後は、ウェブルートの営業スタッフとエンジニアが訪れて、どのような形で導入するかなどのアドバイスを受ける。拠点や端末の数がいずれも多いことから、管理者が直接拠点に足を運んで管理することは非効率であると判断。「SecureAnywhere Business エンドポイントプロテクション」によるリモートでの一元管理による管理体制を確立することとなった。

リプレースは、部署ごとに一部導入してみて、問題がなければ入れ替えるといった形で進められていった。エンドポイントに関しては、最終的にすべてが「SecureAnywhere Business エンドポイントプロテクション」に入れ替わることになる。

「マルチリンガル対応なことも、ウェブルート製品を選んだポイントでした。最初に米国の拠点に導入したのですが、海外のほうがウェブルートの知名度が高く、現地のエンジニアからは、『ウェブルートなら使ったことがあるよ。これなら大丈夫だ』と言われました」(佐々木氏)

グローバルでのセキュリティレベルの底上げに向けて

今回のエンドポイント・セキュリティ・ソフトウェアのリプレースは、すでにさまざまな効果を見せているようだ。まず、管理コンソールがクラウドで提供されるので、サーバを用意したり、コンソール自体が動いているのか確認したりといった作業が不要となり、コストと手間の両面で負担が減少したという。

また、管理コンソールから各デバイスの状態を詳細に把握できるため、アラートが上がった時もリモートで対処することが可能になった。さらに、対処後にフルスキャンを実施しても、わずか1分ほどで終了するので、ユーザーにとってもスキャン時の待ち時間が大幅に減少することなった。

佐々木氏は言う。「今までは問題が起こった時は、端末で駆除を行っても、それが完了しているかどうかを現地まで確認しに行かねばなりませんでした。加えて、現地で実行するフルスキャンにも膨大な時間を要したため、時間と手間の双方において相当な負担となっていました」

海外の拠点においては、IT担当者がいない場合は管理を外注していたが、そこもリモートから一元管理を行えるようになり、セキュリティレベルの一律化を図ることができたのである。

同社は、協力会社に配布するAndroidタブレットにもウェブルートのモバイル向けセキュリティ製品「SecureAnywhere Business モバイル」を1000以上のライセンスで導入、 運用している。

最後に佐々木氏は、セキュリティ対策における今後の展開について次のように語った。「文化的な背景などもあって、国によってセキュリティに対する意識に温度差が生じてしまいがちです。しかしながら、日本企業の仕事を主に引き受けている当社の場合、世界中の拠点のセキュリティを"日本レベル"に引き上げねばなりません。グローバル全体でセキュリティレベルを底上げするという大きなテーマを実現するためにも、『SecureAnywhere Business エンドポイントプロテクション』で効果を実感した"クラウド"が、今後の運用でもキーワードとなることでしょう」