「Microsoftのビジネスモデルにとって驚くような変化」

今もOfficeは年間7,000万から7,500万コピーが売れている。PC用ソフトとしての地位は盤石だが、モバイルデバイスではOfficeスイーツに対する一般的な需要は低い。それがフリーミアムモデルを採用したことで、1年足らずの間にそれまでOfficeを備えていなかったモバイルデバイスに4,000万以上のOfficeアプリがダウンロードされた。

従来のビジネスモデルは有料でソフトを使用している人数が実際のユーザー数だった。フリーミアムモデルでは「有料サービスを契約しているユーザーよりも、ずっと、ずっと多数のユーザーが存在する。それは昔ながらのMicrosoftのビジネスモデルにとって驚くような変化である」とCapossela氏は述べた。

PC時代はコンピュータがパーソナルなものになったとはいえ、コンピュータの市場は家庭に1台という規模だった。今日、人々はPCだけではなく、スマートフォン、タブレット、スマートTV、ゲーム機、アクティビティトラッカーなど様々なデバイスを使用している。スマートフォンやタブレットは新興市場も含む世界中の人々にインターネットやデジタルコンテンツ、コンピューティングを浸透させている。

パーソナル向けデジタル機器の市場規模はPC時代よりもはるかに大きくなった。巨大だからこそ、これまでOfficeに興味がなかった人たちやOfficeを必要としていなかった人たちもたくさんいる。そんな人たちにもMicrosoft製品に関心を抱いてもらうために、Microsoftはフリーミアムを採用した。シンプルでユーザーが共感しやすいサービスを無料で提供することで、誰もがMicrosoft製品に触れられる。

ただし、現時点でフリーミアムがMicrosoftにとって持続性のあるモデルであるかどうかは分からない。Capossela氏はどの程度のOfficeアプリ・ユーザーを有料ユーザーにアップグレードしようとしているのか、目標に言及しなかった。Windows 10が登場する前の、Microsoftブランドの価値が十分に引き出されていない段階では尚早ということなのだろう。

ただし、“無償”提供の効果は4,000万を超えたOfficeアプリのダウンロード数が証明している。そしてWindows 10のリリースを経て、製品やサービス間にネットワーク効果が生じるようになったら、Microsoftブランドを選んだユーザーとの結びつきが深まり、有料の製品・サービスへのアップグレード率が向上するだろう。

これはまだ青写真に過ぎない。フリーミアムモデルはエンジンをかけて助走を始めたような段階で、しっかりと離陸できるかまだまだ分からない。だが、Capossela氏は「これがわれわれのビジネスの未来である」と断言していた。

18カ月前から進めてきたMicrosoftのマーケティング改革