マウスコンピューター初のスマホはWindows Phone 8.1

スペイン・バルセロナで開催された世界最大級のモバイル関連見本市「Mobile World Congress 2015」において、マウスコンピューターが、Windows Phone 8.1端末の試作機を公開した。

マウスコンピューターによるWindows Phone 8.1端末の試作機

国内向けとしては2011年の「IS12T」以来、久しぶりのWindows Phone端末となる。また、これまでPCやタブレット製品を手がけてきたマウスコンピューターにとって、初めてのスマートフォン製品であることも興味深い点だ。

なぜ、OSにWindows Phoneを採用するのか。マウスコンピューター 製品企画部 部長の平井健裕氏は、「大きな画面から小さな画面まで、あらゆるWindowsデバイスをラインアップしたかった」と想いを語る。

マウスコンピューター 製品企画部 部長の平井健裕氏

長らくPC製品を手がけてきた同社は、2014年にはWindowsタブレットの充実に注力してきた。さらに年末年始にかけて話題となったスティック型PCでは、HDMI端子に接続することで、大画面テレビでのWindowsの利用を可能にした。そこで次に狙うデバイスが、スマートフォンというわけだ。

Windows Phone 8.1世代ではプラットフォームが広く開放され、端末メーカーが自由に参入できるようになった。マウスコンピューターが端末開発に着手したのも、まさにこのタイミングだったという。「Androidを使えば、もっと早く出すことはできた。しかし事業の意義や既存製品との親和性を考え、Windows Phoneにこだわった」(平井氏)と語る。

背面にはマウスコンピューターのロゴが。同社初のスマートフォン製品となる見込みだ

同社では、今後もWindows Phoneについては後継機の構想があるものの、Androidについては検討していないとしている。

法人利用における親和性を強調、iPhoneとの2台持ちも

マウスコンピューターはWindows Phone端末投入の狙いとして、法人利用との親和性の高さを強調する。「高度なアクセス制御など、Windows Phoneにはエンタープライズ環境で利用することを前提に作られている。この点を法人にアピールしていきたい」(平井氏)と狙いを語った。

Windows Phoneの国内展開において課題となるのが、アプリやサービスの対応だ。IS12T以降、後継機が発売されなかった国内市場では、iOSやAndroidに比べて対応アプリやサービスの数が少なく、マイクロソフトによる地図や音声認識サービスについても対応は遅れている。

一方、法人利用においてこれらのデメリットはそれほど重要ではないという。「個人ではiPhoneやAndroidを使いつつ、業務端末としてフィーチャーフォンを使っている会社もある。こういった環境に、会社支給の端末としてWindows Phoneを導入できる余地がある」(平井氏)と、2台持ちの可能性に言及する。

特に平井氏が注目するのが、Officeの存在だ。これまでWindows Phone向けのOfficeは、「Office Mobile」として標準搭載されてきた。しかしその機能は大きく制限されており、ビューアーとしての利用が中心だった。

Windows Phoneの最大の特徴でもあるOfficeは、Windows 10で大きく機能が向上する

これに対してWindows 10世代では、PCとスマートフォンの両方で動作するユニバーサルアプリに、Officeも対応する。実際にマイクロソフトはMWC2015において、高い機能を備えたExcelのワークシートやOutlookのカレンダーを披露している。

Officeが高機能化することで、「今後のWindows Phoneは、ファブレットのような大画面との相性が良くなる」と平井氏は指摘する。マイクロソフトがデモに用いたのも、5.7インチの新製品「Lumia 640 XL」だ。この大画面という特徴は、マウスコンピューターが計画しているという後継機のデザインに反映される可能性がある。

法人向け販売チャネルの開拓も検討

販売チャネルについて、まずはマウスコンピューターの既存のPC・タブレット製品のチャネルを検討しているほか、「MVNOからの問い合わせも多くいただいている。法人向けのSIMカードなどと組み合わせることができないか、検討している」(平井氏)とも話す。

背面カバーを開けることで、MicroSIMカードを容易に交換できる

試作機のスペックは、画面サイズが5インチ・HDで、プロセッサーにはミドルレンジ向けのSnapdragon 410を採用していた。日本国内のLTE通信に対応する予定。価格の詳細は非公表だが、5?6万円といったハイエンド機よりは確実に安価になるという。

具体的な発売時期も未定だが、Windows Phone 8.1端末ということもあり、2015年後半とみられるWindows 10の登場よりは先になることが期待される。国内での法人向け展開体制の構築を含め、注目の製品となりそうだ。

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