影響を受けたのはあの名女優

斉藤の出演ドラマで印象的な役柄を挙げていこう。『野球狂の詩』女性プロ野球選手・水原勇気、『スケバン刑事』特殊ヨーヨーで戦う女子高生・麻宮サキ、『はね駒』朝ドラ主演の橘りん、『はいすくーる落書』不良相手の教師・諏訪いづみ、『LUCKY・天使、都へ行く』アライグマを連れて上京した山内真理、『まったナシ!』相撲部屋の女将・直井さくら、『お・ばんざい!』借金返済のために食堂を開く未亡人・花園くるみ、『同窓会~ラブ・アゲイン症候群』夫と愛人の子を育てる西川陽子、『遺留捜査』芯の強いシングルマザー刑事課長など、実に幅広い役柄をこなしているのがわかる。斉藤に好きな作品を尋ねてみると、意外な2本を挙げた。

「1992年に出演した『終の夏かは』というドキュメンタリードラマです。原発性の腫瘍で亡くなる女性の役で、連ドラではなく2時間ドラマでしたが、私にとってとても大きな作品でした。今でも心の中で『ああ、あれを見たいな』と思うときがあります」

同ドラマの原作者・古越富美恵さんは、12歳のときに悪性腫瘍で右足を切断。それでも障害者のためにソーシャルワーカーとして働いたが、26歳で乳がんが発覚する。その後、転移や再発にも負けずに、力強く生きる様子が描かれた。

2作目に挙げられたのは、1988年に出演した『とっておきの青春』。斉藤はさらに穏やかな表情になり、しみじみと話しはじめた。

「緒形拳さんと親子役をやらせていただいたドラマで、すごく大切にしている作品です。朝ドラ(『はね駒』)のあとだったんですけど、緒形さんと交流を持てたことも、芝居の面白さをたくさん教えてもらえたことも、思い出に残っていますね」

斉藤の役は、家で父と祖父のために料理を作り続ける娘。何気ない父娘のやり取りが絶妙で、当時「実の親子に見える」と話題になっていた。さらに、影響を受けた人を尋ねると、斉藤が挙げた名前は、樹木希林。『はね駒』で母親役を演じていたのだが、当時10代だった斉藤は、心底驚かされたようだ。

「とにかく女優として、演技がとんでもなく良かったんですよ。まだ素人同然の私から見ても、『素晴らしい! すごい人だな』と感じました。セリフ1つ1つが『私、女優よ』ではなくて、『キレイに見せたい』とか『目立ちたい』とかが一切なくて、ただひたすらそこにその人として存在していたんです。そのリアリティーたるや、『さわったら切れるんじゃないか』というくらいのシャープさでした」