どこかへ行く際に、必ずやることといえば「地図アプリを使って目的地までの最短ルートを調べる」ことではないだろうか? ビジネスもそれと同じで、目標にたどり着くまでの"マップ"と"ナビ"が必要ということは、あまり意識されていないかもしれない。

OpenForumが「戦略ロードマップを使って長期的目標を達成する(原題:Using a Strategic Road Map to Help Achieve Long-Term Goals)」という記事で、戦略ロードマップの考え方と作り方をアドバイスしている。

紙に思いを書き出そう

戦略ロードマップとは、長期的な目標達成のために必要なアクション(行動目標)をビジュアル化したもの。個々のタスクや小さな目標を点とすれば、点と点を結んで線にして最終的に目指す方向性を示したり、どのように動けばいいのか最終的な目標から辿って見ていくのも良いだろう。

記事では「きちんと作成された戦略ロードマップは、企業をナビゲーションしてくれるGPSのようなものだ」と説明している。目的地とそこへたどる道筋をきちんと定めることで、あいまいさや不透明さがなくなる。スタッフにしてみれば、自分の任務や短期的なゴールが「どのように企業やチームのビジョンや将来像につながっているのか」がわかりやすくなり、より目的意識が高まることだろう。

戦略ロードマップの目的や役割がわかったところで、どのように設計すれば良いのか見てみよう。必要なのものは紙とペンだ。

ステップ1:ビジョン

最初にやることは、「紙にビジョンを書く」。わかりやすく、明確に書こう。

ステップ2:価値観

ビジョンの下に、「顧客中心」や「事業拡大」「有機的な成長」など、自社の価値観や方針を示そう。

自社が差別化や特徴としたいところをここに記入し、ステップ1のビジョンと連携させることが重要だ。もし連携していないのなら、見直すいい機会と捉えよう。

ステップ3:重要な目標

ステップ1のビジョンを現実のものにするために、具体的な目標を挙げることが大切だ。

「売り上げ高を前年比10%増加させる」といった全社的な目標かもしれないし、「ソーシャルメディアを通じた顧客関係強化」など部門別の目標かもしれない。

ステップ4:戦略

次は戦略。ステップ3の目標を達成するための戦略、行動プランを練る。バランススコアカードで有名なRobert Kaplan氏とDavid Norton氏の考え方を利用すれば、「財務」と「顧客」「社内プロセス」「学習と成長」の4つの視点がある。

財務と顧客は達成したい成果を、社内プロセスや学習と成長は、成果を出すためにどうするかに焦点を合わせたものだ。この4つの視点は、それぞれがきちんと結びつくことが大切で、ステップ3の目標に到達するために深く考えよう。

どのような財務戦略が必要か、財務目標に到達するために顧客戦略はどうあるべきか、顧客戦略を支援するためには社内プロセスをどう変える必要があるのか、顧客サービスの改善、財務目標を到達するにはどのような学習と成長プロセスがあれば良いのか、といった具合だ。

ステップ5:戦術

戦略ロードマップの肝はここ。ステップ4の各戦略の下にそのための行動プランを作っていこう。「新しい顧客を獲得する」という戦略の下に具体的なキャンペーン計画を書き出したり、「販路拡大」なら営業チーム内に新規開拓部隊を作るなどのことが例に挙げられる。

ビジョンの具現化で最も重要な部分であることから、しっかりと時間をかけたい。実行可能な行動リストを作成し、誰が・いつ・どのように担当するのかまで決めよう。記事によると、この部分に抜かりがあると戦略が失敗する可能性が高くなるとのことだ。

ステップ6:リスク対策

潜在的な課題や障害を想定できる範囲で書き出しておこう。それに対するアクションプランも忘れずに。

ステップ7:マイルストーン

戦略ロードマップができたら、最終目標に向かうマイルストーンとなる部分にマークを入れておこう。これによりチームは見通しが立てやすくなる。

アプリ開発であれば、ベータ版の提供が一つのマイルストーンと考えられる。長期的なビジョンに向かう時は、短期的な達成感がないと目標を見失いやすいもの。マイルストーンを設定することが重要といえよう。