ダイソンは3月17日、同社初となる空気清浄機能付きファン「Dyson Pure Cool」を発表した。2009年に発売された"羽根のない扇風機"に搭載される「Air Multiplier(エアマルチプライアー)テクノロジー」を応用した製品の第3弾となる。本稿では、同日に開催された新製品発表会の様子をレポートする。

新製品発表会には、微生物学者であり、ダイソンのシニアパフォーマンスエンジニアであるトビー・サヴィル氏と、ダイソンのシニア デザインエンジニアでエアマルチプライアーテクノロジーを用いた製品開発に携わっているオラ・パピエルコゥスカ氏の2名が登壇した。

毎日吸い込んでいる空気の中には……

「PM0.1レベルの物質が体内に取り込まれることで、アレルギーなどさまざまな疾患が引き起こされる」と話すサヴィル氏

冒頭、サヴィル氏は新製品開発の背景を説明。「私たちは毎日1万リットルの空気を鼻や口、そして肺を通じて体内に取り入れている。その中には超微小粒子状物質、いわゆる"PM"が含まれている。PMは固体と液体が複雑に混ざり合ったもので、ディーゼルの排気ガスやタバコの煙、有害な有機化学合成物などもPMの一種だ。これらを体内に取り込むことで健康に大きな害をもたらす危険性がある」と述べた。

PM10より大きな物質は鼻の粘膜や繊毛がとらえ、くしゃみや咳を通じて体外に排出されるが、PM10より小さい物質は肺に取り込まれた後、気嚢(きのう)に蓄積され、そこから血流に入っていくという。物質が小さければ小さいほど体に取り込まれやすいわけだが、ダイソンでは一般的に知られているPM2.5よりさらに小さいPM0.1に着目し、このたびの新製品を開発したと説明する。

PM0.1レベルの物質は肺を通じて血流に入り込み、体全体に循環して気管支炎や喘息を引き起こすおそれがある。「もっとも影響を受けてしまうのは、免疫や呼吸器の機能が衰えている老人や、それらが未発達の子どもたちだ」とサヴィル氏は指摘する。

右の緑のボールがPM2.5とすると、左のオレンジの小さな球がPM0.1

アレルゲン粒子の大きさを表したチャート。タバコの煙やネコアレルゲンがPM1.0以下となる

日本人の多くを悩ませている花粉は比較的大きな粒子となるが、「ダイソンは常に既存の技術に疑問を投げかけている」と、既存製品の性能は完璧ではないとサヴィル氏は説明。「既存の空気清浄機は勢いよく空気をフィルターに送り込んでいるため、PM物質がフィルターを通過して部屋の中へ再放出されている。つまり、既存の空気清浄機は"ただそこに置かれている"だけだ」とした。

PM0.1を99.95%除去できるフィルターを開発せよ

サヴィル氏の説明を受けて、パピエルコゥスカ氏は「こうした既存の空気清浄機の性能にフラストレーションを覚えたジェームズ(ダイソンの創業者)は、より高性能なフィルターの開発をダイソンのエンジニアたちに命じた。そうして生まれたのがPM0.1レベルの物質を99.95%除去できる空気清浄機であるDyson Pure Coolだ」と新製品をアピールした。

「Dyson Pure Coolの開発には2年の歳月と450個のプロトタイプを要した」と話すパピエルコゥスカ氏

プリーツ状に加工された360°グラスHEPAフィルターを伸ばすと全長6.45メートルになる

PM0.1レベルの物質を99.95%除去するために開発したのが、円筒状の「360°グラスHEPAフィルター」である。1.1平方mのマイクログラスファイバーを254層のプリーツ状に加工したものを、Dyson Pure Cool本体の台座に搭載し、全方向から空気を取り込めるようにした。

「ダイソンのフィルターは密度が非常に高いのが特徴。だからこそPM0.1という超微小な物質をとらえることができる。日本国内におけるベストセラー空気清浄機TOP10のモデルと、Dyson Pure CoolのPM0.1放出率を比較した結果、Dyson Pure Coolは放出率が非常に低かった。しかし、多いものでは24%以上も放出されてしまっている」とパピエルコゥスカ氏は胸を張る。高密度なフィルターの性能に加えて、取り込む気流をあえて制御することで、PM0.1をフィルター通過させないことに成功した。

左がDyson Pure Cool搭載フィルターの拡大図で、右が一般的な空気清浄機フィルターの拡大図

PM0.1放出率の比較。一番左がDyson Pure Coolで、わずか0.015%だったという

フィルターはプラスティック製のカバーと一体になっており、使い捨てタイプだ。パピエルコゥスカ氏は「フィルター交換は60秒どころか、30秒以内で行える」とアピールしていた。フィルターの交換目安は1日12時間の使用で約1年間だ。交換用フィルターの価格は税別6,000円。なお、フィルター内部には脱臭のために顆粒状活性炭層も設けている。

フィルターの交換は、本体上部を外し、カバーと一体化したフィルターを外して取り替えるだけと簡単。写真はフィルターと本体を外したところ

Dyson Pure Coolのカットモデル