ヤマハのユニファイドコミュニケーションマイクスピーカーシステム「YVC-1000」は、設置が非常に簡単であることと、収集音能力が長けており、音質も良いことが多くのユーザーに評価されている。そこでこれを利用して、セミナーの遠隔中継に取り組んでみた。数分で設置してのインスタントな遠隔中継がどのようなものだったのかをご紹介しよう。

「YVC-1000」2台とノートPCでお手軽に中継

実験の会場となったのは、2月13日に開催されたマイナビニュースが主催するセミナー「マイナビニュース スペシャルセミナー 第1回 本音をぶっちゃけ! 帰ってきたセキュリティ三銃士座談会」(東京都千代田区)だ。

送信側で用意したのは、ノートPCに接続した「YVC-1000」とWebカメラだけだ。セミナーの最後列に全てを設置し、登壇者を撮影しながら「YVC-1000」のマイクで収集音。映像と音声をSkypeを使って送ることにした。

準備は非常に簡単で、普段利用しているノートPCに「YVC-1000」とWebカメラをUSBケーブルで接続すると、すぐに利用可能になった。「YVC-1000」は、初回接続時にはドライバのダウンロード等が行われるから、有線LAN環境だとより素早く利用可能な状態にできるだろう。ウィザードに従って進めるという作業すら不要で、ケーブルを接続して本体の電源を入れるだけで全てが完了した。

「YVC-1000」のスピーカーを会場側では利用しなかったが、一応スピーカーとマイクは十分に離して設置。会場では登壇者がマイクを利用しているため最後列でも音が聞こえないという心配はなかったが、実際にどういう風に聞こえるのかと少々不安になりながら、セミナーの開始を待った。

ノートPC+Webカメラに「YVC-1000」を加えただけのシンプルな中継セット。Webカメラは数千円で購入したもの。左の隅にあるのはマイクスタンドで、こちらにWebカメラを取り付けた

当日は、週末の夜ということもありセキュリティに関心を持つ人々が100名以上集まった。通常のセミナーでは1人が登壇してスピーチするというスタイルだが、このセミナーでは3人のセキュリティ専門家が座談会形式で対談するというもの。話が盛り上がれば少々早口になることもあるし、複数人の声が被さることもある。会場では時折笑い声などもあり、中継にはあまり向いていない状況だった。

夜7時からのスタートだったが100名以上の人が参加し、ときどき笑いも起こり、セミナーはにぎやかだった

セミナー中継を受信したのは、都内にある著者の事務所。受信側で用意したのも、ノートPCと「YVC-1000」だけだ。受信側はマイクを使わないため、オフにしてある。セミナー会場側ではスピーカー音量を最小にし、受信側ではマイクをオフにしたわけだが、マイクオフは「YVC-1000」のマイク中央のボタンを押すだけだ。オフになっていれば周囲が赤くなり、オンになっていると緑に光るので、うっかりオンにしてしまって会場側に声が届いてしまう心配もない。

セミナーを受信する著者事務所。受信側はノートPCに「YVC-1000」を接続しただけのシンプルな構成

予想以上に臨場感のある遠隔セミナーを体験

実際に遠隔でセミナーを視聴したのは2名だ。セミナー内容に興味はあるが、仕事の都合で会場へは向かえないという状況で、自社オフィスから参加してもらった。機材のセッティングも「YVC-1000」を初めて触る2人にやってもらったが、戸惑うことはなかったという。

セミナー中継を行った第一印象は、簡素な設備でも「受信は全く問題がない」というものだ。Skypeを使っているため映像的には多少粗く、登壇者の表情まで読み取れるというほどではなかったが、これは会場で参加していても最後列にいる場合同じようなものだろう。音声は登壇者の3人の声が入り乱れ、参加者の笑い声が入っているような場面でも聞き取りづらいということはなく、会場の臨場感が伝わってきた。

受信側多少Skypeの映像は粗いが十分会場の雰囲気は感じ取れる

受信側では、メモを取りながらゆっくりセミナーに参加することができた

音声的にも映像的にも、会場の最後列に座って参加しているという雰囲気はたっぷりで、小さなノートPCに「YVC-1000」を繋いだだけだが、予想以上に参加している実感の得られる遠隔セミナーとなった。もし次の機会があるならば、カメラを登壇者の近くに設置するなどすればより臨場感に溢れる遠隔セミナーにすることができるだろう。

ノートPCと「YVC-1000」だけで十分な遠隔中継が実現できる

またこの方式での中継は、後片付けが楽だというのも大きなメリットだった。会場側でも受信側でも、中継終了のために必要なのはSkypeの通話切断ボタンを押すことだけだ。その後ゆっくりと片付ければよいわけだが、片付けるものといえばノートPCと「YVC-1000」だけ。

「YVC-1000」は複雑な接続がないため、本体となるスピーカー部につながる電源ケーブルと、PCとの接続に利用しているUSBケーブル、マイクを接続しているマイクケーブルという3つのケーブルを外すだけで片付けられる。本体もマイクも軽く、簡単に片手で移動させられるから持ち運びも楽だ。

今回、「YVC-1000」を利用すれば十分な遠隔セミナーが行えることがわかった。もちろん、もっと高性能なカメラを利用したり、Ustreamなどを利用すればさらに大規模な配信も可能になる。「YVC-1000」はPCに接続した時、ヘッドセット等を繋いだのと全く同じ表示になる。特別なソフトウェアも手順も必要なく利用できるだけに、多くのシーンでの活用が可能になるだろう。