IKEA進出などで、日本でもすっかり身近になった北欧インテリア。シンプルなデザインとセンスの良い色使いにハマっているという人も多いのではないだろうか。現在、東京・六本木にあるスウェーデン大使館では、北欧のデザイナーによる和食器のテーブルコーディネート展が開催されている。初日におじゃまし、デザイナーさんたちに話を聞いてきた。

展示会「北欧デザイナーによる一汁一菜の器『DUKA ―北欧流シンプルな食卓』」開催

自由でおしゃれなデザインを楽しんで

展示会「北欧デザイナーによる一汁一菜の器『DUKA ―北欧流シンプルな食卓』」主催のスウェーデンスタイル 山本由香さんとアンドフィーカ 今泉幸子さんによると、冬が長い北欧では、家での時間を快適に過ごすためインテリアにこだわる傾向がある。テーブルコーディネートも同様で、お茶と簡単な食事などのシンプルなメニューでも食器やナプキンの組み合わせを工夫し、友人や家族との時間を楽しむという。

今回作品を出展したのは、Scandinavian Pattern Collection所属のデザイナー。それぞれが日本の焼き物「波佐見焼」の茶わん、小皿、箸置きと手ぬぐいをデザインし、作品を自由にコーディネートしている。テーマは「和食」に限定せず、デザイナーの発想に委ねられているため、茶わんに果物を盛るデザイナーもいれば、カフェオレボウルとして使う、旅先で拾った石や貝殻を飾り付けるなどの例もあった。

今回作品を出展しているデザイナーは26人。うち、展示会に合わせて来日していた4組のデザイナーに作品のエピソードなどを聞いた。

幸運のモチーフ"クローバー"をあしらった「リッカ」

フィンランドの4人組若手グラフィックデザイナー集団「Fyran(フィーラン)」。彼らはフィンランド北部のスウェーデン語圏の街を拠点としており、フィンランドの伝統デザインとスウェーデンに影響を受けた北欧デザインを得意とする。

若手グラフィックデザイナー集団「Fyran(フィーラン)」の2人

デザインのテーマは「リッカ」(スウェーデン語で「幸福」)。森の中を散歩しているときに出会ったクローバーがモチーフだという。手ぬぐいや食器にあしらわれた三つ葉の中には、1つだけ四つ葉のクローバーが。さり気なく並んでいる四つ葉を見つけたら、朝から幸せな気分になれそうだ。

コーディネートは、フィンランドでよく食べられる乾燥パンを合わせた朝食のワンシーンをイメージ。デザイナーは「茶わんのサイズは手にすっぽり収まる大きさなので、オートミールなどの北欧の朝ごはんにもぴったりだと思う」と太鼓判を押していた。

水をイメージした「湖のしずく」

プロダクトデザイナー マリールイス・ヘルグレンさんの作品「湖のしずく」は、生命の源となる「水」がモチーフ。北欧の人々にとって湖とは、冬はスケート、夏は泳ぎを楽しむ身近な存在だ。彼女自身も湖畔で時を過ごし、水の滴や波紋をゆっくりと眺めては、自然の力強いエネルギーを感じているという。

プロダクトデザイナー マリールイス・ヘルグレンさん

茶わんと箸置きには、しずくをデザイン。一滴一滴が集まって、大きな湖や海を創りだす様子が表現されている。小皿には水の波紋があしらわれており、しょう油など和食の調味料を入れても様になる。

黄色いくちばしの黒い鳥は、春を告げるスウェーデンの鳥。そのさえずりを聞くと、「長い冬が終わってようやく春が来た」と皆ウキウキするのだそう。黒が中心のコーディネートだが、自然のあたたかみや優しさが感じられる。

コーディネートの楽しみ方については、「色鮮やかなフルーツやハーブティーを入れても素敵です。水滴や波紋などの『自然が作る完璧なフォルム』を感じて欲しい」と教えてくれた。

過去と現在の融合を楽しむ「クルビッツ」

グラフィックデザイナー インガ・カールソンさんの「クルビッツ」。「クルビッツ」とは、スウェーデンのダーラナ地方を中心に昔から伝わる伝統的な花柄を指す。彼女はアンティーク家具のクルビッツにインスパイアを受け、自身の解釈でモダンにアレンジしてこの作品を作り上げた。

グラフィックデザイナー インガ・カールソンさん

コーディネートはおやつや軽食の時間をイメージしたもの。植物をモチーフにした躍動感のあるデザインが特徴だ。古いスプーンやシュガートングを合わせることで、「クルビッツ」の「モダンとアンティークの融合」を表現している。

テーブルには北欧で親しまれているローズヒップスープの用意が。茶わんに温かくて甘いスープをそそぎ、小さなアーモンドのクッキーを乗せたらスウェーデンのティータイムが始まる。

フォークを使った幾何学模様「キッチンエイド」

テキスタイル・グラフィックデザイナーのユリア・ヘウリングさんの作品は、抽象的な幾何学パターンが特徴だ。作品名は「キッチンエイド」。1930年代の「ファンクショナリズム」(機能主義)を参考に、「実用品の中に見いだされる美しさ」を、フォークを使った幾何学模様で表現している。

テキスタイル・グラフィックデザイナーのユリア・ヘウリングさん

フォークをモチーフとした理由は、「シンプルな食卓のシンボルであり、北欧の料理道具を象徴するアイテム」だから。また、形の面白さもパターンに採用した理由の一つなのだそう。茶わんや手ぬぐい、小皿もよく見ると、「フォークだ!」という発見がある。何本隠れているのかを探すのも楽しい。

コーディネートのポイントは色のコントラスト。黄、水色、ピンク、紺、白、茶と様々な色を使いながらもスッキリとまとまっている。コーディネートのアクセントとなっているピンクのキャンディーや「クネッケブレッド」(乾燥パン)は、スウェーデンの食卓のシンボル。色を上手に使った組み合わせは、ふだんの食卓でも参考にしたくなる。

展示会には他にも気取り過ぎないテーブルコーディネートがたくさん。思いもつかない茶わんの使い方や色の組み合わせは、見た人に食事を楽しむ新しいアイディアを与えてくれるだろう。

場所は東京都港区六本木1-10-3 スウェーデン大使館 ベルイマン展示ホール。会期は3月11日~24日、月~金曜日の10時~17時半開場(12時半~13時半は昼休みのため入館不可、最終日は16時半まで)。入場無料。食器の一部はロフトやネットで販売される。

14日14時からは、来日デザイナーによるパネルディスカッション「一汁一菜の器をデザインするということ」を開催。記事内で紹介したインガ・カールソンさん、マリールイス・ヘルグレンさん、ユリア・ヘウリングさんがデザインについて語る。同日16時からは、スウェーデン在住の山本さんによるトークショー「北欧流シンプルな食卓の楽しみ方」が行われる。いずれのイベントも予約不要、場所はスウェーデン大使館オディトーリアム。