9日(現地時間)、米国・サンフランシスコのYerba Buena Center for the Artsで開催されたAppleのスペシャルイベントでは、新しいノートブック型Macである「MacBook」が発表された。日本においても報道関係者向けのタッチ&トライイベントが開かれ、実機に触ることができたので、早速、その特徴をチェックしていこう。

新しい「MacBook」

新たに登場した「MacBook」は、薄い、軽い、カッコ良いの三拍子のノート型モデルだ。これだけで、もう魅力の半分くらいは伝えたつもりである。

ディスプレイは12インチで、厚さはMacBook Airが17mmだったのに対し、13.1mm。重量は920g。重量はなんと1Kgを切った。モバイルシーンでの利用を強く意識しているようで、イベントで並べられたものには、電源アダプターが接続されていなかった。一日中使えるバッテリーを実現するために、内部スペースを余すところなく活用する必要があったとのことだが、インターネットの閲覧で、最大9時間使用できる。バッテリーの形状、デザインを見直すことで、従来、搭載可能だったものに比べて35%も大きい容量になっている。

片手でひょいと持ち上げられるこの軽さ

ディスプレイとキーボード部をつなぐヒンジもアルミとなり、ユニボディを実現

また、内部にファンを搭載しない構造を採択しており、駆動中の音もとても静かになっている。メモリは、8GBのLPDDR3(1,600MHz)をオンボードで搭載し、ストレージはPCIeベースのフラッシュストレージ(最大512GB)を採用している。プロセッサはIntel Core M(Broadwell) 1.1GHzデュアルコア(Turbo Boost使用時最大2.4GHz)/1.2GHzデュアルコア(Turbo Boost使用時最大2.6GHz)。オプションで1.3GHzデュアルコア(Turbo Boost使用時最大2.9GHz)をチョイスできる。

シザー(パンタグラフ)構造から、バタフライ構造へと変化したキーボード

トラックパッドには新たな感圧センサーを採用

大きく変わったのはキーボードとトラックパッドだ。まず、キーボードから見ていこう。これまでのシザー(パンタグラフ)構造から、バタフライ構造へと変化した。シザー構造はキーの端がぐらつきやすく、そのため、キーを叩く位置が中心部を外れると正確に入力できないことがあった。キーボードを薄くするのに際し、キーのぐらつきを抑える必要があったという。そうしないと、キーの端を叩いた場合、入力が認識される前にキーキャップが底にぶつかる可能性があるからだ。バタフライ構造ではシザー構造より幅が広く、硬い素材で作られており、一組のパーツのみで構成されている。これにより、さらに薄いスペースにフルサイズのキーボードを収めることができ、かつ、安定したキータッチを実現できたという。使ってみた感じだと、ストロークが浅く、叩いた時に音が殆どしない。

トラックパッドは、指先が加えている圧力の強さを感知する感圧センサーが採用されている。どこを押しても同じクリックとして認識されるよう「Taptic Engine」を搭載。タッチした後に加える圧力にわずかに差をつけることで、異なった情報を送出し、多様なアプリケーションで多彩なアクションを実行できるようになる。

楽器を演奏しているかのような使用感

キーボードとトラックパッドを触ってみて、どこか楽器を思わせるところがあるなと感じた。キーのタッチはMIDIパッドコントローラーと似ているし、トラックパッドで追加された「強めのクリック」は、鍵盤を押し込むとビブラートなどがかけられるアフタータッチのようだ。繊細な操作に対し、繊細なリアクションを返してくれるといった風情である。新しいMacBookは音楽をやってる人なら、その操作感に惚れ込んでしまうことだろう。

また、ファンの音がない、キーストロークの音がしないに加え、外で使う際、周囲の人に迷惑がかからないよう配慮された機能がもうひとつある。キーボードのバックライトだ。キーボード全体に光をあてるという機構を廃し、キーの下に個別のLEDを設置した。これにより、前述のバタフライ構造と相俟って、キーキャップ周囲に漏れる光が最低限に抑えられている。

解像度は2,304×1,440ピクセル(226ppi)のRetinaディスプレイを搭載

そして、ディスプレイ。遂にRetinaディスプレイが搭載された。いや、「遂に」と言うのは間違っているか。これは「MacBook Air」ではなく、新しい「MacBook」であった。とまれ、Retinaディスプレイの解像度は2,304×1,440ピクセル(226ppi)。各ピクセルを再設計して開口部を広げた結果、従来モデルに搭載されたRetinaディスプレイより30%エネルギー効率の高いLEDバックライトを使えるようになった。より少ない電力で同じ明るさを実現するということだ。Retinaディスプレイに関しては、その美しさは相変わらずのクオリティという印象だ。

iPhone 6/6 Plus、iPad Air 2/mini 3とお揃いのカラーラインナップ

カラーは、シルバー、ゴールド、スペースグレイの3色を用意。つまり、iPhone 6/6 Plus、iPad Air 2/mini 3と同じラインナップだ。自分が使っているiOSデバイスとあわせて使いたくなる。このあたりも「外で使う」ことを強く意識させる。拡張用のポートがUSB-Cポート1つになったのも納得で、バッテリーで使おう、iOSデバイスとの同期はWi-Fi経由でしょ、という使用スタイルの提案が先にあるようなイメージだ。

Beats by Dr. Dreのヘッドフォンとあわせて展示。一緒に使ってみたくなる

時間の関係で細かいところはチェックできなかったが、実機が入手でき次第、詳細なレポートをできればと考えている。価格は148,800円(税別)ということだが、すぐにでも手に入れたくなる魅力的な製品だ。

写真提供:Mac Fan