日本時間10日未明、アップルは新製品発表イベントを開催し、多数の新製品を発表した。世界が注目していたApple Watchだが、実物を手にしていない現在では付けるメリットをあまり感じられないというのが、正直なところだった。イベント内容自体は、事前予想記事と大体合っていたが、新型MacBookなどアップルのほうが一歩先を行っていたかな、という感じ。本稿では、そうしたスペシャルイベントの所感をモバイル機器を中心にお届けする。

新型MacBookは嬉しい誤算

「モバイル機器を中心に」とは言ったものの新型MacBookは外せない。事前リークのレンダリング画像とほぼ一緒ではあったが、細部のこだわりや思い切った仕様は予想を上回るもので、Macユーザーとしては嬉しい誤算だった。

階層型のバッテリーで少しでもスペースを詰めて容量をかせいだり、薄さを実現するためにクリックのない感圧式トラックパッドを採用しながら、従来通りのレスポンスを実現するためにTaptic Engine(Apple Watchに搭載された振動システム)による振動のフィードバックをつけるなど、細部にわたるこだわりぶりはさすがアップルという感じだ。

単に軽量化へのこだわりということであれば、国産の軽量ノートでも新MacBookに勝るとも劣らない、血の滲むような努力と工夫がなされているわけだが、製品として仕上がった時の見栄えや見せ方の点でアップルは断然上手い。世界一プレゼンの上手い会社を引き合いに出すのは酷かもしれないが、このあたりの見せ方は、国産メーカーもよく研究する必要があるだろう。

斜めになった空間に効率良くバッテリーを詰めるため、バッテリーを階層上に積み上げて段差を埋めるようにしてある。これによりバッテリー容量を35%も増加できたという。こういった工夫は本来、日本のメーカーのお家芸なのだが……

同時に、Core Mの採用やUSB Type-Cポートへの統合といった内容を見るに、従来のMacとは違った製品ラインへの布石ではないかという気もしている。アップルは全製品ラインに最低でもCore i5以上を採用するなど、性能に強いこだわりを見せるメーカーだったが、Core MはCore iプロセッサ未満Atom以上という位置付けのCPUで、性能的にはiPhoneやiPadが搭載するハイエンドARMと拮抗する。

新MacBookで多くのユーザーが性能に不満を持たなければ、将来自社製の「Apple A」シリーズプロセッサ(ARMベース)に置き換わっても不思議ではない。CPUの変更はアップルにとって何度も経験していることであるし、開発環境「Xcode」もかなり前からARM向けのアプリをサポートしている。CPUの移行は時間の問題だと思われるのだが、いかがだろうか。