「女は感情的」「論理的な話ができない」という二元論が大好きな皆さん、こんにちは! ぱぷりこです。

こういう、ホールのショートケーキを薙刀でたたき切るみたいなアバウトな話には「精神の解像度がGIFなの? 」としか思いませんが、「彼氏との話し合いが進まない」「君はすぐ感情的になるから論理的に話し合おうって言われるけど何を言ったらいいかわからない」と真剣に悩んでいる女性たちは思いのほか多いようです。

15~30秒程度の短いプレゼン、いわゆるエレベーターピッチを作ればいんじゃね? ……だともうコラムが終わってしまいますので、今回は「女はすぐ感情的になる」「まともな話し合いにならない」という男性陣のお好みに従って、論理的に話し合いを進めてみましょう!

愛のガントチャートつくろっ☆

「ねえ、年が明けたら籍を入れるって言ってた話、結局どうなったの? もう3月だよ。前回『酔っぱらってるから酔いが覚めた後で話すー』とか言ってそれっきりじゃん! 」

彼「ごめん、ちゃんと考えてたよ。君のことは好きだよ。一緒にいたい。でも、いま独立を考えてるからすぐ一緒に住むとか、ちょっと考えられないんだ」

「そんな……私ずっと待ってたのに、ひどいよ」

彼「感情的に話したってどうなるもんでもないだろ。将来がかかってるんだ」

「そっか、じゃあ『いま独立を考えてるからすぐには籍を入れられない』の具体的な意味を教えて? まず独立の定義。あと、論理飛躍があると思うのね。独立のどの要素が『一緒に住めない』という結論に結びつくの? 物理的制約? 精神的制約? 」

彼「……。友人と会社を起こす、起業って意味。独立まではすごく忙しくなるからあまり時間を取れなくなる。俺はひとつのことにしか集中できないし、いまこのチャンスを逃したくないんだ。精神的制約はないよ。結婚したいと思ってる。でも今じゃない」

「言いたいことは理解したけど、まずは基本に立ち返りましょう。『時間が取れない=一緒に住むまでのタスクを処理できない』という前提は正しいの? この命題は真という前提で話を進めてるけど、まずその仮説を検証する必要があると思うのね。あなたが持ってるタスクの大きさと粒度を見積もりたいから、独立までのガントチャートを見せてくれる? 籍を入れるまでのタスクと照らし合わせて、実行可能なマイルストーンを設定してみない? 」

彼「いやなんかそういう話じゃないんだけど」

「物理的な制約だってさっき言ったよね? 物理的な制約は、タスクの棚卸しと障害の原因追及、スケジュールの見直しで整理できる、それが仕事だっていつも言ってたじゃない。それとも、これまで上がっていること以外にも何か問題があるの? 」

論理的に詰められた男性陣が示す三大反応

はいっ! ……キナくさくなってきましたね。文字に起こすと破壊力ありますが、でも、落ち着いて考えてみて? 「独立したい」だから「今は籍を入れることは考えられない」にどんな相関関係があるでしょうか? ないよね、そうだよね!

さて、上記のように安直な逃げ口上を論理的に詰められた時の男性が示す三大反応がこちらっ!!

1.「そういう言い方は好きじゃない」「なんでそういう言い方すんの」
2.「信頼されている気がしない」「信頼してくれていると思っていたのに」
3.「女としてどうかと思うよwww」

1.「そういう言い方は好きじゃない」「なんでそういう言い方すんの」
議題の中身ではなく言い方に論点をずらす、典型的なすり替え論法です。「このまんじゅうの中身はあんこ? それともクリーム? 」って聞いてんのに「皮が好きじゃない」と返してるようなもんです。いちおう返事っぽいフリはしていますが、投げかけられた問いや議題に対してなにひとつ答えを返していません。いまどき、週末に性欲がうずいてとまらない妻botの方が高度な自然言語処理できますよ。「話す内容」と「話し方」はレイヤーが違います。論理的じゃないですね☆

2.「信頼されている気がしない」「信頼してくれていると思っていたのに」
上記のすり替え論法の亜種です。質問への返答を避け、「信頼」という誰もがへへーと拝みたくなるキラキラ精神世界を持ち出し、「そんなことを聞くなんて、いままでの信頼関係が崩れるよ? それでもいいの? 」と圧力をかけてきます。

そもそもまともに話し合いをしようとしない態度が信頼関係を損ね、そのために質問を受けているという前提をすっ飛ばし、唐突に「信頼」という人の心を揺さぶる言葉を使って動揺を誘うのは洗脳の基本戦術。彼らのいう信頼とは「自分に文句を言わず、好き勝手させてくれる」状態のことであり、お互いを尊重して譲り合う対等な信頼関係とはまったくの別ものです。論理派をきどっていながらいきなり定義の曖昧な「信頼」というゆるふわワードを出してくるなんて、論理的じゃないですね☆

3.「女としてどうかと思うよwww」
上記2つよりさらにレベルの低い反応です。これは主に詰められた当人ではなく、グチられた周囲の男友達がよく使います。こんな癒されない女性より癒される女性の方に惹かれてもしょうがない。うん、俺は悪くない! という性欲岩盤浴なヒーリング効果があります。

議論の中身でも言い方でもなく、議論とは1ミリも関係ない性別や年齢、居住地、国籍など、相手の「属性」への批判は、論理的じゃないどころか論理放棄そのもの。「このまんじゅうの中身はあんこ? それともクリーム? 」という問いに「千葉県在住!!!!! 」と返しているようなものです。

これは最終手段で、いわば負けを認めてうんこを投げつけているようなものですが、投げられた方は「うんこ投げられた……」とショックを受け、多くの場合は適切な反応を返せません。残念ながら、うんこ投手は逃げるチャンスを見逃しません。その隙に強引に話を終わらせ、後で言おうとしても「蒸し返さないでくれる? 」と拒否することが多いです。論理もへったくれもないですね☆

感情的な話がキライな男性は、論理的な話もキライ

これらの反応は全部「責められるのやだ」「めんどくさい」「逃げたい」の吹き替えです。残念ながら多くの場合、「感情的な話は嫌い」という男性は、別に論理的な話も好きではありません。それどころか論理的に詰めてみれば、上記のような非論理的な反応をすることが多い。

「男は責められたくない生き物」とかいう恋愛ハウツーが流布していますが、そんなの言い訳ですよ。責められるのがイヤで逃げ出したいなら、日本は社畜大国なんかになってません。結局のところ、彼らにとって「感情的」か「論理的」かなんて関係ないのです。話し合いのテーブルにつきたくないだけ。面倒ごとから逃げたいだけ。自分に非や負い目がある場合、負け戦に臨みたくないだけ。

「俺を追い詰めないで! やることに文句いわないで! 好き勝手させて! 」という自分勝手な要求をそのまま通したいだけなのに、さも女性側が悪いかのように責任転嫁して非難してくるところが悪質です。

単純攻撃が、女性にはけっこう効いてしまう

ところがこういう単純な攻撃は、女性にとって意外と効果を発揮してしまいます。「人に不快な思いをさせてはいけない」という教育を受けている女性ほど「私が悪いことをしてしまった」と自分を責めがち。

それに、好きな人に「嫌われるかもしれない」って思ったら怖くて、それ以上は突っ込みにくくなりますよね。そして、言いたいことが言えなくなっていく負のスパイラルにはまります。

相手の好意を逆手にとった言論統制モラハラ

人間関係はさまざまな摩擦が起こり、よほどのことがない限り衝突は不可避です。ふたりの人間がいれば2通りの望みがあるわけで、ズレるふたつの思いをすり合わせて「折り合い」をつけるのがパートナーシップというもの。

お互いの話に耳を傾けるのは、基本中の基本です。それを「感情的なのはイヤ」などと言ってろくに話し合いの席につかないのは、相手の言いたいことを封じ込めるモラハラにすぎません。

こういう言論統制タイプの男性は、自分が女性よりも有利な立場に立って主導権をにぎっていたいタイプ。自分が有利なように話し合いを進め、相手の心に寄り添おうとはしません。

もっといえば、「自分にとって居心地のいい関係を続けてくれる限りは好き」なだけ。相手との相互理解を求める気持ちがあったら、たとえ衝突があったとしても、いずれはふたりの間の障害を取り除く方向へ向かうはずです。

お互いの話を聞いて折り合いをつけるのが、パートナーシップ

もし相手がお互いの不安や不満を取り除く方向ではなく、「自分が不愉快になりたくない」という姿勢をくずさない人なら、残念ながら長期的な関係を築くことは難しいでしょう。

自分の話を聞いてくれない人と一緒にいると、どんどん自尊心が摩耗し、言いたいことが言えなくなっていきますので、どんどん丸め込まれる前にきっぱりノーを突きつけましょう。私たちはカッパでもカンピョウでもなく、自我と尊厳を持つ人間です。ぱぷりこでした。

※画像は本文と関係ありません


<著者プロフィール>
ぱぷりこ
ブログ「妖怪男ウォッチ」の中の人。ラブ魔窟でエンカウントした妖怪男女と自意識の供養に全力を注いでいる。恋愛相談は最終的にすべて「うん、哲学しよ? 」に持っていく思考原理主義。女子会では、占い師呼ばわりされて終身恋愛顧問になるか、二度と呼ばれないかの二択。
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Twitter: @papupapuriko