説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『「コア」の数は多ければ多いほど有利?』という質問に答えます。

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iPhoneには、Appleが設計し他社に生産を委託したSoC(System On Chip)が採用されています。iPhone 4には「A4」、iPhone 4Sには「A5」とモデルチェンジにあわせて性能はアップし、現行のiPhone 6/6 Plusには「A8」が搭載されています。これらのチップは「CPU」とも呼ばれますが、SoCはCPUを軸に描画や専門的な処理を行うICを統合したものですから、基本的な演算を行うユニットという役割においては同じです。 そのCPU部分のうち、処理性能に大きく影響する部分が「コア」です。コアはいわば頭脳であり、クロック周波数(Hz)は高いほど処理性能に優れることを意味し、その性能差はアプリの実行速度や操作のキビキビ感(レスポンス)に現れます。AppleはCPUのクロック数を公表していませんが、システム情報を取得するアプリを使えば調べることができます。

コアの数にも重要な意味があります。もともとCPUは1基(1コア)でしたが、クロック周波数を高めると処理性能が向上する反面、発熱量が増大してしまいます。持てないほど発熱するようではスマートフォンとしての価値を損ねるので、Appleを含むメーカー各社は「メニーコア(複数コアを備えたCPU)」を採用する方向に転じています。

最新モデルのiPhone 6/6 Plusには、デュアルコアの「A8」が搭載されています。Android端末のなかには、すでにクアッドコア搭載機が存在しますが、OSもその上で動作するアプリも異なる両者を単純比較することはできません。

デュアルコア(2つ)、クアッドコア(4つ)とコア数は多いほうが有利な傾向はあるものの、処理速度はコア数に比例しません。各コアに巧みに処理を割り振る仕組みがソフトウェア(OS)側に必要とされるうえ、複雑な処理を行うアプリでなければ効果が現れにくいという事情もあります。バッテリーを節約するため、使わないコアを休止させる省電力機能も洗練させる必要があります。コア数だけで性能を判断するのは、あまり意味がないことといえるでしょう。

「コア数は多ければ多いほどいい」とはいえません。コア(CPU)を駆動するシステムソフトウェアの洗練度も重要です