ソニーモバイルコミュニケーションズはスペイン・バルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2015」の初日となる2日に会場内ブースで記者会見を行い、同社のモバイル事業の位置づけについて解説し、期待されていたXperiaシリーズの最新スマートフォン「Xperia Z4」が未発表に終わったことについても言及した。

記者会見には、ソニー社長の平井一夫氏が登壇し、「ソニーは今、大きく変化しようとしている。しかし、その中でひとつ変わらない部分がある。それは、モバイル分野がソニーにとってこれからも重要な事業ということだ」と語った。

ソニー社長の平井一夫氏。記者会見で、モバイルはソニーにとって変わらず重要な事業と明言

昨年、スマートフォン製品の販売不振などから、ソニーモバイルは巨額の赤字を計上。2月に行われた経営戦略説明会では平井氏が、「モバイル分野で他社との協業も選択肢の一つとして検討していく」と言及するなど、ソニーモバイルにとって逆風が吹き荒れている。

今回の平井氏の発言は、Mobile World Congressでの記者会見でのものであり、ある意味リップサービス的な意味合いも強いだろう。それでも、社長のこの発言は、ソニーとしての意思表明であり、非常に大きな意味を持つといえる。もちろん、これでソニーモバイルは安泰ということではなく、今後の戦略や事業回復をどう進めるかが強く問われることになっていくはずだ。

そういった中で発表された「Xperia M4 Aqua」は、ミドルレンジCPUを採用し、機能面もやや控えめとなっている。ソニーモバイル社長の十時裕樹氏は、Xperia M4 Aquaを"スーパーミッドレンジスマートフォン"と形容していたが、どちらかというとコストパフォーマンス重視の製品となっている。昨年まで、Xperiaスマートフォンは半年に1度フラッグシップモデルを投入するという大胆な戦略をとってきたが、ついにその戦略から大きく舵を切ってきた形だ。

ソニーモバイル社長の十時裕樹氏。Xperia M4 Aquaを"スーパーミッドレンジスマートフォン"と紹介

この理由について十時氏は、「ワールドワイドでは、フラッグシップ製品の更新は年に1回でいいという要望が強くなっている。また、機能が充実しながら価格が手ごろな、コストパフォーマンスに優れる製品に対して消費者の関心が高まっている。そういった中で、どれだけ尖ったものを作れるのかが重要になっている」と説明した。

スマートフォンは生活必需品になりつつある現状を考慮しながら、様々な機器をつなぐハブのような要素が強くなるというスマートフォンの将来像を示しつつ、今後は特定のユーザーにフォーカスするのではなく、日常品として役に立つようなものを投入していきたいという。

そのうえで、日本以外では人気になりにくくなっているフラッグシップモデルではなく、世界で最も望まれているゾーンに注力し、製品のラインナップを絞っていくとの意向を示した。