3月14日、4時間程度かかっていた東京~金沢駅が、「北陸新幹線」によって最速2時間28分で結ばれるようになる。今まで飛行機を使っていた人も、この機会に新幹線へ乗り換えるという人もいるだろう。一方、航空会社も北陸新幹線に対抗すべく、割引運賃やサービスなどを充実させている。そこで今回、両者のメリットを専門家にうかがってみた。

北陸新幹線金沢駅に停車中のW7系(2月5日の試乗会にて撮影)

まずは北陸新幹線のメリットから。鉄道ライターの杉山淳一さんは、主な利点を「駅が都市に直結」「保安検査がない」「予約なしでも自由席に乗れる」「景色が良い」「豊富な割引きっぷ」と定義している。

到着地が都市に直結

新幹線vs航空機でもっとも比較される部分が「駅が都市に直結」という点だ。工業団地など訪問先によっては空港の方が近い場合もあるが、大抵は市内の中心駅付近が目的地だろう。北陸の場合、小松空港から金沢駅まで、待ち時間を含めてバスで約50分かかる。富山空港から富山駅はバスで約20分。富山は空港と駅が近いが、金沢は空港と駅がやや遠い。

駅に着いたらすぐ乗車

新幹線は「手荷物検査・ボディチェックがない」という点も挙げられるだろう。つまり、駅に到着したらすぐに列車に乗れる。飛行機は国内線なら出発の15分前までに搭乗口へ行けばいいが、保安検査場が混雑するとなかなか時間が読めない。空港と都市までのアクセス時間に加えて、保安検査場での時間の見極めが必要だ。一方、新幹線には保安検査はないが、駆け込み乗車は危険なため、ゆとりを持って出かけたい。

予約なしでも自由席に乗れる

飛行機は完全に定員制で予約が必要。当日に空港へ行っても、空席がないと乗れない。北陸新幹線も速達タイプの「かがやき」は全車指定席だが、停車タイプの「はくたか」は自由席がある。急用の場合や指定席が取れなかった場合は、取りあえず自由席車両に乗れば座れなくても目的地に向かえる。また、指定席を予約した列車に乗り遅れたとしても、後続列車の自由席に乗れる規則だ。

立山連峰や白山も望める

2月に実施された報道関係者向けの試乗会で実際に乗った際、意外と景色を楽しめるという印象を受けた。一般的に新幹線はトンネルと防音壁ばかりで、景色を十分に楽しめないと言われている。確かに北陸新幹線も長野~金沢駅間の約4割がトンネルだ。しかし、残り6割は景色を楽しめる。

長野駅から糸魚川駅までは山里と妙高山系を間近に望み、糸魚川駅付近では日本海の地平線。運が良ければ蜃気楼を見られるかも。黒部宇奈月温泉駅から富山・新高岡駅までは立山連峰が見えて、金沢駅到着前は白山などの稜線(りょうせん)を望めるのだ。

北陸新幹線金沢~長野駅間の沿線風景(2月5日の試乗会にて撮影)

割引きっぷで10~15%引きに

北陸新幹線の運賃・特急料金(大人・普通車指定席・通常期)は、東京~富山駅で1万2,730円、東京~金沢駅で1万4,120円。普通運賃で比較すると、飛行機より北陸新幹線の方が安い。しかし、一般的に飛行機は事前予約型の割引メニューが豊富なため、早めに購入すれば新幹線よりも安くなることもある。

これに対して、新幹線には会員制のWeb予約「えきねっとトクだ値」「e5489」「モバイルSuica特急券」などがあり、定価の10~15%割引で購入できる。今のところ、北陸新幹線開業時にはフリーきっぷ付きの企画乗車券などはないが、開業から半年くらいたてばおトクな企画乗車券も充実するだろう。

このほか、「揺れが少ない」「窮屈なシートベルトがない」「全席にコンセントと大型テーブルがあり、ノートPCで作業したりモバイル機器を充電したりできる」「車いす対応の座席やトイレがある」「授乳に使える多目的室がある」など、新幹線ならではの魅力は多いと杉山さんは語る。

そんな北陸新幹線に対して、北陸行き飛行機のメリットはここから詳しく解説する。