2013年11月のIPOを境に、投資家を中心として市場のTwitterを見る目が変わった。大きな原因はユーザー数増加の鈍化傾向にあり、これが同社に対する厳しい見方へと繋がっている。

そんなTwitterを率いるCEOであるDick Costolo氏は、どのようにして外部のプレッシャーや騒音に負けることなく業務をこなしているのか。Incが「TwitterのCEO、逆風の中でフォーカスを見失わない方法(原題:Twitter's CEO: How I Stay Focused Under Fire)」としてレポートしている。

重要な事は「目的を見失わない」

2010年にCEOに就任したDick Costolo氏は現在51歳。大学時代には即興劇の俳優を目指したこともあったが、その後にFeedBurnerなどデジタルメディア分野で起業した経験を持つ。

2013年11月の同社IPO時には、公開価格を70%以上も上回る好調な出足だったが、ユーザー数が伸び悩み、収益に繋がる新しいサービスがなかなか出てこないといった課題が指摘され、その後は問題点ばかりが報じられるようになった。これにより、Costolo氏が辞任するのではないかと予想する米国メディアもあるようだ。

そんな中、当のCostolo氏は黙々と日々の業務をこなしているようだ。IPO前の追い風の中、そしてここ最近の逆風の中にあっても、Twitterにとって「重要なことは何か」「取り組むべきことは何か」を見失わない経営を心がけているようだ。

記事ではCostolo氏のポリシーや習慣にスポットを当てているが、まとめると「時間の使い方」「フォーカスを見失わない」の2つに絞ることができそうだ。

時間の使い方

1つ目の時間の使い方を見てみよう。記事によると、Costolo氏は週に12回~15回も立ったままミーティングをこなすそうだが、決してミーティングはキャンセルしないという。

確かに、キャンセルすればその分時間を作れるものの、「小さな問題が大きくなる可能性がある」という考えからだという。「それぞれの社員が取り組んでいる問題や課題の文脈を把握しておくことは重要だ」とCostolo氏は語っている。

ミーティング中にスライドショーを使用せず、個別での話し合いはなしというのもCostolo氏のポリシー。ミーティングとはコミュニケーションであり、資料は綺麗に作成したスライドショーの代わりに、テキストベースでまとめたものを用意するようになっているそうだ。

CEO就任以来、時間の有効利用を常に考えているというCostolo氏。そこで、午前と午後にそれぞれ60分~90分ほど、何も予定を入れない時間を作っているという。

午前中は重要で難しい決断を下すことに当てて、午後はオフィスを歩き、出くわした人と話をすることに時間を費やすという。一見、後者は目的のない会話に見えるものの、ミーティングで出される課題や、計画と実際の現場を比較することに役立てているようだ。

Costolo氏はこうした時間の使い方について「会社全体の生産性が上がる。社員は私が常に全速力と知っており、ミーティングではあまり見せたがらないんだ」と述べている。

フォーカスを見失わないとは

2つ目のフォーカスを見失わないという内容だが、精神的な話ではなく、意外にも体を使ったトレーニングが効いているようだ。

Costolo氏はフィットネスのCrossFitに熱心で、マウンテンバイク愛好家でもある。これらのエクササイズは一人でやるだけではなく、チーム全体のアップにも利用しているとのこと。1月にラスベガスで開催された「CES」では、朝6時にスタートするスピンバイクを使う「SoulCycleクラス」を営業チームと一緒にやっている。

Costolo氏自身は、現在のメディアや投資家の批判について、それほど気していない様子だ。

「気にならないし、影響も受けていない」と述べ、「自分がすべきことや、会社としてTwitterがやるべきことについては理解している。取締役も私と同じ見解を持っている」と続けている。社員には、心配せずに業務をこなすように語りかけているとのことだ。

実はIPOの日、Costolo氏はIPOの祝福と同時に、歓喜ムードの従業員へ「順調に物事が進んでいる時、社外の人が思っているほど上手くいっていない。逆に、社外の人が良くないと言ってる時は、それほど内部は悪くないと思うよ」と伝えたという。

あれから1年、Costolo氏は従業員に「ほら、あの時言っただろ?」と言いながら励ましているのだという。