【インタビュー】

EC SaaSベンダーとAzure MVPがタッグ - PaaSモデルでEC産業の新たなエコ・システムを築く

1 なぜ、PaaS型を選択したのか

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このたび、EC(電子商取引)業務に特化した新タイプのクラウド・サービスが登場した。PaaS(Platform as a Service)モデルを採用した「Commerable EC PaaS」がそれだ。ECのシステムに、高い生産性とカスタマイズ性、拡張性、そしてコスト・パフォーマンスをもたらす仕組みとして注目を集めつつある。

SaaSの俊敏性と手組の自由度をミックス

EC業務特化型PasS「Commerble EC PaaS」――開発・提供元となるcommerbleは、同社CEOの橋本圭一氏が代表取締役を務めるシグマコンサルティングと、EC支援のクラウドサービスを展開するクロスワープの共同出資で2014年9月に設立された。

橋本氏は、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」のMVP(Most Valuable Professional)に、日本で初めて選出された経歴を持つ「クラウドシステムのエキスパート」。これまで、規模を問わず、Azureを用いたさまざまなSI案件を手がけてきた。

Commerable 代表取締役CEO 橋本圭一氏

同氏が、「PaaSモデルでECシステムの開発・運用の革新を加速させる」というクロスワープ 代表取締役社長 山崎真吾氏の考えに賛同。両氏は、Commerble EC PaaSの開発と新会社の設立へと一気に動いたという。

クロスワープではこれまで、ECサイト構築支援のクラウド・サービスとして、SaaS(Software as a Service)型の「MODD SaaS」シリーズを提供し、実績を積み上げてきた。同シリーズのユーザー層には、在京キー局やアニメ企画制作会社アニプレックス、大手フィットネス・クラブのコナミスポーツ&ライフ、大手コンピューターゲームメーカー、芸能事務所など多彩な企業が名を連ねている。
そんな同社がなぜ、PaaSのビジネスに乗り出したのか――。

「SaaSモデルの優位性は、目的のシステムが手早く入手できることと、プラットフォームの拡張性に優れていること、そして、IT設備への投資が不要で、初期費用がかからず、投資にも無駄がないことです。ただし、SaaSは基本的に、ソフトウェアパッケージをサービスとして提供し、ユーザーに共用してもらうモデル。このモデルでは機能の汎用性を追求しなければならず、どうしてもユーザー個々の細かなカスタマイズ要求に対応しづらいというネックがあります。そうした課題を、PaaSモデルで解決しようと考えたのです」(山崎氏)

山崎氏によれば、BtoCのECシステムはライフサイクルが短く、完成後も機能追加・機能変更が頻繁に発生するのが常であるという。それゆえに、ソフトウェアパッケージ(あるいは手組)によってオンプレミス上に構築されたECシステムが、立ち上げからわずか3~4年で完全に陳腐化し、新システムへの全面的な切り換えを余儀なくされるケースも珍しくない。

クロスワープ 代表取締役社長 山崎真吾氏

結果として、購入・開発したソフトウェア資産や、場合によってはシステムを稼働させていたハードウェア資産がすべて無駄になってしまうと、山崎氏は指摘する。

もちろん、SaaSならば、ソフトウェアやハードウェアを資産として持つ必要がなく、システムが陳腐化し破棄に追い込まれても、大きな投資の無駄は発生しない。とはいえ、山崎氏が言うように、SaaSは基本的に「汎用性を持った出来合いのアプリケーション」だ。個別的な要件をサービスに反映させるには、どうしても時間がかかり、お金もかかる。また、そもそも「個別的なカスタマイズ要求への対応」はSaaSの本道ではない。

一方で、IaaS(Infrastructure as a Service)を用い、ECシステムをほぼ一から手組で構築し、カスタマイズの自由度も高めるという選択肢もある。だが、顧客ニーズの変化や時流に的確に対応していくためには、ECサイトの立ち上げや刷新のスピードを極限まで高めなければならない。そうしたスピード感を手組での開発に求めるのには無理があり、その意味で、手組開発には「商機を逸するリスク」がつきまとうことになる。

こうした考え方から、山崎氏は、PaaSモデルの採用が最適との結論を導き出した。要するに、PaaSモデルによって、アプリケーションパッケージの利便性と手組開発の自由度、そしてクラウドの拡張性・俊敏性をバランス良く融合させようと考えたのである。

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目次
(1) なぜ、PaaS型を選択したのか
(2) クラウドサービス理想型は、Win-Winなエコ・システム


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