何ともキュートな革命児だ。8歳でモデルとして芸能界デビューしたというだけあって、その資質は折り紙付き。可憐Girl's、さくら学院を経て2013年にソロプロジェクトをスタート。精力的なライブ活動を重ね、2014年4月23日にアルバム『永遠と瞬間』でメジャーデビューを果たした。リスペクトする80'sアイドルポップスのテイストと21世紀の現在進行形サウンドを融合させた音楽性と、デビューアイテムがアルバムというアイドルとしては異例のシーン登場が大きな話題を呼んだ。8月にはアイドルながら"ROCK IN JAPAN FES 2014"に参戦するなど唯一無比の個性を放っている。そんな彼女が2月25日に2ndアルバム『I-POP』をリリース。1stアルバムで掲げた新しさと懐かしさが共存する"NEWTRO‐POP"から"I‐POP"へ。ネクストステージに突入した武藤彩未の変化と進化とは?

武藤彩未(むとう あやみ)
1996年4月29日生まれ。茨城県出身

――改めて振り返るとデビュー作がアルバム、というのはアイドルとしては画期的でしたね。

ライブを重ねていくうちにオリジナル曲がどんどん増えていって。どの曲も思い入れが深い大切な曲に育っていったので、デビューにあたって1曲に絞れなかったんです。なので、まとめて聴いていただこう、と

――1曲では語り尽くせない彩未ちゃんの幅広い魅力を見せられたデビューでしたよ。この2ndアルバムにもライブですでに披露していた曲がたくさん収録されています。

1曲目の「パラレルワールド」は12月のライブで初披露して人気が高かった曲だし、6曲目の「交信曲第1番変ロ長調」はコール&レスポンスを取り入れたりしてライブでみんなと"交信"するために作っていただいた曲なんです。それをさらにライブを重ねながらみんなで一緒に練り上げていく、というか。ライブで気になるところがあったら、次のライブではアレンジを変えたり。ある意味、CDはその楽曲の一つの完成形なんです。たとえば3曲目の「Doki Doki」はライブで初披露したヴァージョンからメロディーを少し変えたんですよ。5曲目の「風のしっぽ」もライブで歌っていたヴァージョンよりもサウンドをシンプルにして歌をもっと聴かせるようにしたり

――レコーディングに入る前にはどんなアルバムを作ろう、と?

テーマは"キャッチー"でした。1stアルバムが聴かせる曲が多かったんですが、ワンフレーズ聴いただけで口ずさめるような曲を集めよう、と。たとえば「Doki Doki」だったら"ドキドキ~"というリフレインがずっと耳に残るような。サウンドも前作はバンドサウンド中心でしたが、今回はEDMやシンセポップ、ロックなど幅広い要素を取り入れてさらに幅を広げられたんじゃないか、と。新たな挑戦をたくさんできて楽しかったです(笑)

――詞は前向きなものが多いですね。2曲目の「Daydreamin'」や8曲目の「OWARI WA HAJIMARI」みたいに失恋も明日の元気に変えちゃうのは彩未ちゃんならでは。

そういうポジティブさって、同じ女のコにも共感してもらえると思うんです。私自身もポジティブで切り替えが早いので「OWARI WA HAJIMARI」はいままでの楽曲の中で一番等身大かもしれません。アクティブでオフの日には家にいないタイプ、という意味では遊園地をテーマにした4曲目の「ミラクリエイション」も私自身が反映されているし……

2nd アルバム『I-POP』
2015年2月25日リリース

――高校卒業を控えた彩未ちゃんにとっては7曲目の卒業ソング「未来へのSign」も大切な1曲になったのでは?

はい! 自分で聴いていてもグッとくるし、これからの卒業シーズンにたくさん聴いてほしいです。一方で、5曲目の「風のしっぽ」の中で語りかけている"君"は孤独な痛みを抱えていて。"少しでも力になれたらいいな"とこの曲は聴いてくださる一人一人に向けて歌いました。自分自身の歌を通して励ましたい、元気づけたい、という思いでアイドルとして活動させていただいているので。それが叶ったときが一番うれしい瞬間なんです」

――そんな彩未ちゃんの思いが詰まった本作、タイトルの『I‐POP』にはどんな意味が?

"I(=アイ)"にはいろんな意味を込めました。皆さんから"愛"されるようにとか、アイドル(=Idol)の"I"とか。いろんな音楽の要素を自分なりに取り入れてできた武藤彩未の音楽のアイデンティティ(=Identity)を表していたり、私の目標の一つがポップ・アイコン(=Icon)になることだったり……。これから聴いていただく皆さんなりの新しい"I"を発見していただけたらうれしいです!

――本作を引っ提げて4月29日に渋谷公会堂でワンマンライブを行うことも決定しました。

4月29日は10代最後の誕生日でもあるんです。そういう自分にとって思い入れの強い日に憧れの渋谷公会堂でライブができるなんて幸せ。ニューアルバムはライブ向きの曲が多いので、早くライブで歌いたくてうずうずしているんですよ(笑)。もちろん、渋公に向けて自分に足りないものも自覚していて。2階席まで届くように歌もパフォーマンスも最大限の準備をして臨みます。タイトルも"BIRTH"ということで、ここをまた新しいスタートにしたいですね。次の目標は武道館!

――何年後に実現させますか?

10代のうちには実現させたいですね。目標は大きく(笑)

――目標に向かって頑張っている彩未ちゃんを見ているとこちらも元気になりますよ。この季節、卒業や進学、就職を控えている方もたくさんいます。彩未ちゃんも3月に高校を卒業するんですよね。新しいステージに向かう人たちにメッセージをお願いします。

"こうなりたい"という目標を見つけたら、そのために何が必要か自分で見つけること。その努力や練習は絶対に裏切らないと思うんです。私が歌手になりたい、と思ったのはアニメ番組から生まれた可憐Girl'sというユニットに参加したのがきっかけ。そのアニメのイベントでさいたまスーパーアリーナに立ったんです。"また同じ光景を見たいな"とそれからは歌一本。ピアノや音楽を習っていたわけでもないし、人間いつ何が起こるか分からない(笑)。それからは毎日欠かさず歌ったり、ボイトレをしています。夢や目標に向かっている方々と一緒に私も頑張りますよ!

――頼もしいですね。最後に高校生活でやり残したことは?

制服ディズニー! 卒業したら制服はコスプレになっちゃうんで(笑)。仲のいい友達と高校最後の思い出に実現したいなぁ。私、勉強嫌いじゃなくて日本史が得意だったんです。好きな時代は幕末。坂本龍馬さんや新撰組の沖田総司さん、土方歳三さん、近藤勇さん…

――"歴女"ですね(笑)。いまのアイドルシーンはよく"戦国時代"と言われますが、幕末にも似ていると思います。メジャーシーンだけじゃなくてインディーズアイドルとかご当地アイドルとかいろんな活動の仕方があって、投稿動画サイトやSNSを駆使していろんな発信の仕方があったり。一人一人の個性が強くて、シーンを変えようとしてるところが。

「あ、いいですね! 私もほかの誰にもない個性を持ったアイドルを目指しているので」

――もし、幕末の志士になれるとしたら誰?

「う~ん…やっぱり坂本龍馬さん。アイドルシーンの革命児になります!」