SUSHI。それは、日本が世界に誇る日本食である。世界各国には様々な寿司屋があるが、寿司と言えばアボカドやサーモンなどを巻いた「カリフォルニアロール」と答える外国人も多いようだ。そんなカリフォルニアロールの発祥の地・ロサンゼルスで、カリフォルニアロールのいまに迫ってみた。

「California Roll Factory」には、カウンター席とボックス席がある

今回訪れたのはロサンゼルスのサンタモニカに程近い、その名も「California Roll Factory(カリフォルニアロール ファクトリー)」。直訳すると"カリフォルニアロール専門店"、まさに今回の調査にうってつけの店名である。店に入ると壁一面にメニューが書かれており、カリフォルニアロールだけでも200種類以上あるそうだ。

「California Roll Factory」の壁にはメニューがずらりと並んでいる

エビのぷりっ&トビコのプチがコラボ

オススメという「Donut(ドーナツ)」(8ドル)を注文したら、運ばれてきたものにびっくり! 海苔の代わりにサーモンでまかれたすし飯の上には、マグロやエビ、アボカド、サーモン、それにトビコがこぼれんばかりにのっかっている。

一口食べてにんまり。エビのぷりっとした食感と、トビコのプチプチ感が口の中ではじける。すし飯に巻いたサーモンは厚切りで、サーモン好きにもたまらない一品だ。具とすし飯&サーモンとで、上下に分けて楽しむのもあり。付け合わせのきゅうりの飾りつけも美しい。

サーモンですし飯を包んだ「Donut(ドーナツ)」(8ドル)

カニが覆う巨大おにぎり風

次は「Vizzy(ビジー)」(6.95ドル)をチョイス。ドーンと皿の中心に置かれたものは、俵型の巨大おにぎりにも見えなくはない。海苔ではなくなにやら白い物体がかぶせられているが、実はこれ、カニなのだ! 寿司はスライスされておらず、各自が好きな大きさに箸で切って食べるのだが、オーナーはこのセルフによるカッティングを"忍者カット"と命名しているそう。

箸で簡単に切れるほど外も中もトロトロの寿司は、甘いうなぎのタレとふわふわのカニがすし飯にベストマッチ。ロールの中にはサーモンやトビコがこれでもかと詰まっていて食べ応え十分。カニとうなぎのタレという組み合わせに一瞬「え? 」と思ってしまうかもしれないが、これがアリなのだ。そして、金太郎飴のようにどこを切ってもおいしい。

俵型の巨大おにぎり風の「Vizzy(ビジー)」(6.95ドル)

中にはサーモンやトビコがぎっしり!

飛び出すロブスター天ぷら

インパクトでいえばこちらも負けていない。「Bread Monster(ブレッド モンスター)」(14ドル)からは、エビ天ぷらとロブスター天ぷらが飛び出している。天ぷらのほか、カニとキュウリも収められているなど、見た目にも華やかで豪華な一品だ。

ほかにも、ビンチョウマグロを巻いた「Love Roll(ラブ ロール)」(11.99ドル)には、スパイシーなソースとカリカリのガーリックオニオンが味に刺激を添えているなど、「これもカリフォルニアロールなの? 」と思わずにはいられないパンチが効いたメニューがいっぱいだ!

激しく飛び出した「Bread Monster(ブレッド モンスター)」(14ドル)

「Love Roll(ラブ ロール)」(11.99ドル)にはガーリックオニオンを

この「California Roll Factory」のオーナーは、日本人の木村和雄さん。東京・世田谷出身の木村さんは日本にいた時も寿司職人だったそうで、同店はオープンして17年になる。店があるサンタモニカ周辺の"カリフォルニアロールのドン"といったところだ。

最初こそメニュー数は多くなかったようだが、客の注文を受けているうちに徐々に多くなり、今では200種類を越えるまでになったそうだ。ある海苔メーカーの調査によると、この店は全米飲食店で海苔の消費量トップ5に入っているとか。日本の寿司屋ではまずお目にかかれないであろう魅惑の品々。ぜひこの衝撃的なカリフォルニアロールとの出会いをロサンゼルスで果たしていただきたい。

※記事中の情報・価格は2015年2月取材時のもの

筆者プロフィール: 佐々木 綾(ささき あや)

フリーライター。ニューヨークやパリにも居住歴あり、現在はロサンゼルスから発信している。ファッションとフード業界に精通しており、お酒好き! 実際に足を運びたくなるような取材を心掛けている。