ピツニーボウズ・ソフトウェア(ピツニーボウズ)はこのたび、「Spatial Day in Tokyo : 位置情報を活用してビジネスを制す」と題したカンファレンスを開催した。

ピツニーボウズ・ソフトウェア 代表取締役社長 山田茂氏

同カンファレンスのテーマは、ロケーションインテリジェンス(LI)とビジネスインテリジェンス(BI)の融合。同社 代表取締役社長となる山田茂氏は、昨今企業が保有するデータの8割が何らかの位置情報と関係しており、BIと組み合わせることで、より緻密で迅速なビジネス戦略の策定が可能だと述べる。

ピツニーボウズは1920年代に創設され、顧客情報管理やロケーションインテリジェンス、顧客エンゲージメント、発送・郵便、グローバルeコマースといった5本の軸に沿って事業を展開するグローバルカンパニーだ。

創立から2015年までの約95年間に企業ロゴを2回変更しており、1度目は1971年、ハードウェア(郵便料金計器)を意識したデザインを採用し、ソリューション提供を強化するにあたって実施。2度目の変更は2015年1月14日で、「precision」と「accuracy」「impact」の三つを事業の柱に据え、何らかの波紋を顧客に与えることができる企業を目指すという意味を込めたという。

企業ロゴと新ブランドを公表した翌日となる15日には、「Spectrum Spatial for BI」を発表。同ソリューションは、顧客・施設の分布や、人口の地域的濃淡などを効率的に取り扱う「Spectrum Spatial」をベースに、BI上での高度な位置情報活用を行うためのコネクターを提供するものだ。

BIとLIの統合に向けて

企業が保有するデータにおいて、位置情報を含むデータとは、顧客・店舗などの住所やトランザクション情報、統計や行動分析データ、ユーザーの現在地などとなる。これらのデータは、「どこに潜在顧客やユーザーがいるのか」や「どのようにして店舗網をデザインするのか」などビジネス戦略の策定に活かすことが期待される。

ピツニーボウズ・ソフトウェア 「Spectrum Spatial for BI」製品担当 Heidi Geronimo氏

「しかし、このような位置情報や地理空間分析は、これまで十分に活用されていない現状がある」とピツニーボウズにて「Spectrum Spatial for BI」製品担当者を務めるHeidi Geronimo(ジェロニモ)氏は説明する。

同氏によると、データを有効・迅速に活用するために実現するべき「最適なBIとLIの融合」には、「データ」と「システム」「ユーザー」といった3分野で、条件を満たす必要があるという。

「データに要求されることとは、企業が持つ疑問を解決することでしょう。したがって、そのデータは正確性と完全性、整合性を満たすものである必要があります」(ジェロニモ氏)

解決したい疑問は何かや、それに対しどのような答えを出したいのかを明確にした上で、抽出するデータを決定し、正確に取得できるツールを用いることが重要なのだ。

また、システム面での条件としては、複雑性を最小限にとどめることを条件としてあげる。多くの企業は既存のBIツールを複数所有しており、BIとLIを融合する上で、これらのIT資産に負担をかけず「運用しやすいもの」でなくてはならないと同氏は述べる。

そして、三つ目の条件は「ユーザーにとって使いやすい」ものであること。システム部門だけでなく、分析を行う担当者にとっても必要な情報の処理が素早く実現できるツールでなければならない。

これら三つ条件(課題)を解決することで、最適なBIとLIの融合を実現し、位置情報を含む企業のデータをより有効に活用することができるのだという。

「Spectrum Spatial for BI」が提供する価値

そこで、同社が提供するソリューション「Spectrum Spatial for BI」では、位置情報のビジュアライズのほか、BIとLIの相互情報連携、人口統計やライフスタイルといった地域特性情報など外部データの利用などが可能だ。

「Spectrum Spatial for BI」の4つのメリット

連携できるBIシステムも、「SAP Business Objects XI 2.5~4」や「IBM Cognos : 8.4~10.2.1」「Oracle Hyperion 11」「Oracle Business Intelligence Enterprise Edition 11」「Microstrategy ~9.4.1」「Microsoft Excel 2003~2013(32/64ビットバージョン)」「QlikTech Qlikview 10~11.2 SR5」など多彩にわたる。

IBM Cognos内でのマップの利用イメージ

QlikViewにおけるマップの利用イメージ

BIとLIの融合によって、データはインタラクティブな意味を持つ。BIだけでは認識できなかったデータの意味を深く理解し、地理的視点からビジネスの意思決定をサポートできるだろうと同氏はまとめた。