スマートフォン・携帯電話と光ファイバーなどの固定回線をセットにして料金を割引く"セット割"が話題になっている。NTTドコモは「ドコモ光パック」、ソフトバンクは「スマート値引き」というセット割を3月1日より提供予定であり、対するKDDI(au)は、すでに2012年より「auスマートバリュー」というセット割を提供している。

さらに各社では、新生活シーズンへ向けて、2015年の"学割"の提供を開始しているが、セット割と学割は併用可能となっているため、学生がいる家族にとっては、携帯・固定の通信料金を一気に節約するチャンスでもある。

そこで本稿では、セット割と学割を併用した場合、どのキャリアの月額料金がもっともお得になるのかを検証してみたい。

ドコモ・KDDI・ソフトバンク各社のセット割の違いは?

ドコモ、KDDI、ソフトバンクの各社がそれぞれ提供するセット割では、自社のスマートフォン・携帯電話と、対象の固定通信サービスをセットで契約したときに割引が適用される。ドコモでは、同社が提供する光回線サービスの「ドコモ光」をセット割の対象としており、KDDIでは、光回線サービス「auひかり」に加えて、「J:COM」などのケーブルテレビの通信サービスもセット割の対象にしている。また、ソフトバンクでは、光回線サービスの「SoftBank光」のほか、ADSLの「ホワイトBB」などもセット割の対象だ。なお、各社ともスマートフォン・携帯電話のパケット定額サービスのプランに応じて、割引額が決まるようになっている。

各社のセット割の最大の違いは、家族複数人で利用したときの割引の仕組みだ。ドコモのセット割では、パケット定額サービスのデータ通信量を複数人で分け合うことが可能だが、固定回線ごとの割引となるため、家族の人数が増えても割引額は変わらない。一方、KDDIとソフトバンクのセット割では、家族1人ひとりに対して割引が行われるため、人数が増えるほど割引額が多くなるのが特長だ。

また、KDDIとソフトバンクのセット割は、昨年提供開始された新料金プランだけでなく、旧料金プランの「LTEプラン」「ホワイトプラン」でも利用できるのがポイント。一方、ドコモの場合、すでに旧料金プランの新規受付を終了しており、既存の契約者向けのセット割は用意されているものの、MNPまたは新規契約が適用条件である学割とは、実質的に併用が不可能となっている。

なお、各社が1月より提供開始している2015年の学割では、3社とも学割の対象を"学生"だけでなく、"25歳以下"としている点が特長だ。また、MNPまたは新規契約で加入することで学割が適用され、対象となる25歳以下のユーザーだけでなく、その家族もMNPまたは新規契約であれば割引が適用される。学割の適用期間は、2年間または対象のユーザーが26歳になるまでとなっている。

家族でセット割と学割を併用すると、KDDIの旧料金プランが最安に

それでは、まず家族3人でセット割と学割を併用した場合の月額料金をシミュレーションしてみよう。今回は、25歳以下のユーザー1人を含む家族3人がMNPで乗り換えて、全員に学割が適用されるケースを想定している。

また、1人あたり月間5GB程度のデータ通信量を利用することを想定しており、ドコモは家族全員で15GBのシェアパック、KDDIとソフトバンクは、各人が新料金プランの5GBプラン、または旧料金プランを利用した場合の合計月額料金を計算した。なお、固定通信サービスは、戸建て向けの光回線サービスを利用するものとした(以下、金額は税抜)。

家族3人ともMNP、家族で15GBを利用。固定回線を新規契約した場合の月額料金の比較 ※拡大画像はこちら

割引後の月額料金を比較してみると、KDDIの旧料金プランである「LTEプラン」が月額18,870円でもっとも安くなっている。また、次に割安なのが同社の新料金プラン「カケホとデジラ」の月額20,370円で、ドコモとソフトバンクのいずれのプランよりも安い。

なお、上記のKDDIの光インターネット料金では、3月1日より提供開始されるauひかりの新プラン「ずっとギガ得プラン」を選択している。同プランは、3年契約により月額料金が段階的に安くなる仕組みで、1年目は5,100円、2年目は5,000円、3年目以降は4,900円の月額料金で利用することができる。これに加えて、auひかりに新規契約し、同プランに加入したユーザーを対象に、開通月から最大12カ月間、月額400円を割り引く「ずっとギガ得プラン」デビュー割も実施される。これにより、新規利用者の場合、1年目は月額4,700円でauひかりを利用でき、上記の合計月額料金よりもさらに安くなる。

次に、家族4人でセット割と学割を併用した場合の月額料金をシミュレーションしてみよう。条件は家族3人のケースと同様で、25歳以下のユーザー2人を含む家族4人がMNPで乗り換えて、全員に学割が適用されるケースを想定している。また、ドコモは家族全員で20GBのシェアパック、KDDIとソフトバンクは、各人が新料金プランの5GBプラン、または旧料金プランを利用した場合の合計月額料金を計算した。

家族4人ともMNP、家族で20GBを利用。固定回線を新規契約した場合の月額料金の比較 ※拡大画像はこちら

家族4人の割引後の月額料金についても、もっとも安いのはKDDIの「LTEプラン」で、月額23,460円となった。また、同社の「カケホとデジラ」は、ドコモの新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」と僅差ながら、月額25,460円で2番目に安かった。なお、ソフトバンクについては、新料金プラン「スマ放題」はセット割が手厚いものの、学割が少なくなり、反対に旧料金プランの「ホワイトプラン」では、学割は手厚いものの、セット割が少なくなっており、合計月額料金は3社でもっとも多くなっている。

また、中学や高校への入学を機に、子どもに初めてスマートフォンを持たせようと考えている家庭も多いだろう。そこで、両親がすでに契約しているキャリアに、子どもが新規契約で加入した場合の月額料金をシミュレーションしてみた。このケースでは、子どものみが学割の対象になる。また、固定の光インターネット回線はもともと契約していたセット割対象の固定回線を継続利用することとする。

両親が契約するキャリアに、子どもが新規契約で加入、家族で15GB利用する場合の月額料金 ※拡大画像はこちら

家族3人で、1人あたり月間5GB程度のデータ通信量を利用することを想定しているが、こちらのケースでも、合計月額料金がもっとも安いのはKDDIの「LTEプラン」で月額20,738円だった。また、同社の「カケホとデジラ」が月額23,370円で2番目に安く、ドコモ、ソフトバンクを下回った。このように、家族3人または4人でセット割と学割を併用した場合、いずれのケースでも各社の新旧プランのうちKDDIの「LTEプラン」が最安となった。

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ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社が提供する携帯・固定のセット割と、学割について、家族で併用した場合の月額料金を検証してきた。

ドコモのセット割は、パケット定額サービスのデータ通信量を家族でシェアできることが特徴だが、世帯単位の割引となるため、家族1人ひとりの料金が割引されるKDDIやソフトバンクと比べると、メリットが小さいと言える。また、KDDIとソフトバンクでは、旧料金プランでもセット割と学割を併用できることがポイントとなっている。

家族3人または4人のケースでシミュレーションした結果、いずれのケースでも月額料金がもっとも安いのは、KDDIの「LTEプラン」となった。旧料金プランであるLTEプランは見落とされがちだが、通話する機会が少ない人にとっては、音声通話定額の新料金プランよりもお得であり、乗り換えなどの際には、ぜひ選択肢に入れて検討してみるとよいだろう。

自身や家族の契約や利用の状況、家族の人数などを踏まえて、どのキャリアのセット割や学割がお得になるのかをチェックしてみてはいかがだろうか。