カプセルホテルと言えば、終電に乗り遅れたから利用するといったような、限定的かつ消極的な利用がなされる施設であった。快適な滞在ということならば、個室のあるビジネスホテルに分があるだろう。しかし、最近のカプセルホテルの進化はちょっとすごい。そこで今回は、「豪華カプセルホテル 安心お宿」を紹介しよう。

"カプセルホテル"に"豪華"さを追求したら「 安心お宿」になる!?

各店とも駅から徒歩2分以内

そもそもカプセルホテルでは大浴場やサウナなどは定番施設。しかし今日では、清潔感のある充実した施設にリニューアルしたり、洗面台には男性用化粧品まで並ぶような充実のアメニティーをそろえたりと、古いビジネスホテルの料金を上回るような豪華なカプセルホテルも登場している。

"豪華カプセルホテル"と名の付く「安心お宿」だが、そもそも"カプセルホテル"と"豪華"は相いれないワードと感じる人も多いだろう。しかし実際出向いてみると、まさしく"豪華"を実現したカプセルホテルで度肝を抜かれる。

「安心お宿」は現在、新橋・秋葉原・新宿と都内で3店舗を展開している。今回訪れた秋葉原店のみならず、全店舗が駅から徒歩2分以内という立地。新橋店の駅徒歩30秒にはさすがにかなわないが、秋葉原店は電気街にも隣接した好立地である。

秋葉原店は電気街にも隣接し、秋葉原駅からも徒歩2分以内のところにある

バリ風のホテル内に人工温泉の大浴場

エントランスから一歩足を踏み入れると、バリ島がイメージされた館内に「これがカプセルホテル? 」と一瞬戸惑う。BGMもまさしくバリ風。海外リゾートという雰囲気すら漂う。安心お宿はいずれも男性専用の施設だが、女性利用も可能であればもっと評価されるべき施設になるだろう。

スタッフの説明もテキパキと的確で、初めてでも憶することなく利用できそうだ。早速着替えようと更衣室へ出向くと「消臭スプレー」や「衣類クリーナー」といった身だしなみグッズがそろっており感心させられる。

身だしなみグッズも充実

まず、地下1階の大浴場へ行ってみた。その名も「アキバの湯」。いきなり洗面台で驚く。壁一面の大きな渓流写真が目に飛び込んで来たのだ。奥行きと広がりを際だたせた壁紙の演出は、開放感と同時に見ているだけで癒やされる。インテリアセンスも抜群だ。更衣室には鍵付きロッカーやスリッパ殺菌灯も設置されており、利用者目線が貫かれている。

大浴場は「ヘルストン麦飯石」という人工温泉を使用している。カルシウム・マグネシウム・ナトリウム・カリウム・亜鉛など40種類以上の天然ミネラルが含有されているとのこと。温浴効果を高めるというだけあり、アッという間に発汗。さらにスチームサウナで汗を流せばスッキリ爽快! 電気街を歩き疲れた身体もリフレッシュできるのがうれしい。

人工温泉を備えた大浴場。スキンケアグッズも一通りそろっている

高級ホテル並みの寝具も導入

さて、肝心のカプセルスペースへ。スタイリッシュなインテリアで、無機質で暗いイメージのカプセルホテルとは全く趣が異なる。空気清浄機も設置されている。スクエア型のカプセル内部はふっくらした布団と厚いマットレスが印象的だ。なんと大手の高級ホテルでも採用されているシモンズ製の寝具を導入している。

カプセル内のテレビは、カプセルホテルではまず見かけない19インチを設置。古いカプセルホテルでは、テレビ観賞用に何の変哲もないイヤホンが置かれているが、こちらでは高性能ヘッドホンが設置されている。また、スマホなどの充電に便利なマルチ充電器も完備する、かゆいところに手が届くサービスだ。

寝具からテレビ、イヤホンや充電器まで、快適に過ごせるアイテムに抜かりはない

カプセルホテルではプライベートスペースが限定的なので、パブリックスペースの充実が快適滞在の指標になるが、こちらの施設には2階になんと個室インターネットブースがある。名作コミックコーナー、フリードリンクサービスなど、一見するとマンガ喫茶のよう。さらに、無料の高級マッサージチェアも3台完備されている。

個室インターネットブースに名作コミックコーナーも

さすが「豪華カプセルホテル」をうたうだけのことはある。カプセルホテルは一般にプライバシー性が低い施設といわれるが、これだけ個人の時間と空間を満足度高く演出されると、プライバシー性すら高まってくる印象を実感した滞在であった。

※記事中の情報は2015年2月取材時のもの

筆者プロフィール: 瀧澤 信秋(たきざわ のぶあき)

ホテル評論家、旅行作家。オールアバウト公式ホテルガイド、ホテル情報専門メディアホテラーズ編集長、日本旅行作家協会正会員。ホテル評論家として宿泊者・利用者の立場から徹底した現場取材によりホテルや旅館を評論し、ホテルや旅に関するエッセイなども多数発表。テレビやラジオへの出演や雑誌などへの寄稿・連載など多数手がけている。2014年は365日365泊、全て異なるホテルを利用するという企画も実践。著書に『365日365ホテル 上』(マガジンハウス)、『ホテルに騙されるな! プロが教える絶対失敗しない選び方』(光文社新書)などがある。

「ホテル評論家 瀧澤信秋 オフィシャルサイト」