ASUS JAPANは13日、東京・日本橋で同社製PCの2015年春モデル新製品発表会を行った。発表会には台湾ASUSTeK Computer 会長のジョニー・シー氏が登壇し、日本市場の攻略にかける熱い意気込みを語った。

今日の発表会のメインは「2015 International CES」(CES 2015)でも発表された2in1ノートPC「TransBook Chi」シリーズだ

日本経済の始点・日本橋から全国へ発信

台湾ASUSTeK Computer 会長のジョニー・シー氏。いつもと変わらず軽妙な口調で製品を紹介していく

登壇したシー氏は、会場となった日本橋は日本経済発展の始点であり、ASUSの製品やサービスを日本全国へ発信するのに相応しい場であると紹介した後、早速新モデルを発表した。まず最初に登場したのが、ディスプレイとキーボードが分離する2in1タイプのノートPC「TransBook Chi」シリーズだ。

ASUSはSIMロックフリーのスマートフォン「ZenFone」やノートPC「ZenBook」の「Zen」(禅)のように、アジア的な単語をあえて採用している。アップルに代表される欧米メーカーのPCと比べると、没個性で安いだけという印象の残るアジア圏のPCに、あえて高級感とオリエンタル趣味をかきたてるイメージを付加しようということだろう。

TransBook Chiシリーズは12.5型でCore Mプロセッサを搭載した「TransBook T300 Chi」と、ATOMプロセッサを搭載した10.1型の「同T100 Chi」、8.9型の「同T90 Chi」の3モデルが販売される。T300 ChiにはフルHD(1920×1080)モデルとWQHD(2560×1440)モデルが用意される。WQHDモデルは画面解像度が235ppiに達する高精細モデルとなる。いずれもキーボードは磁力で接続してノート型になるタイプで、キーボードとの接続はBluetoothで行う。

ちなみに「Chi」とは日本語でいう「気(氣)」のことで、無線充電規格「Qi」(チー)も言葉としては同じものを指している(中国語のアルファベット表記の方法で記述が異なる)

シー氏は「Chi(氣)は目に見えないエネルギーだが、Air(空)より強いものだ」と前置きして、「ChiはAirより薄いのだ」と、薄型ノートPCの代名詞であるAppleのMacBook Airよりも薄型であることを強力にアピール。

薄さの比較ではMacBook Airよりも0.05mm薄くなったことを紹介。形状の違いもあり、手に持ったときの感覚は数値以上に異なる

タブレットモードではWindowsタブレットとして世界最薄となる厚さ7.6mmと、鉛筆とほぼ同じ厚みであることをアピール。ちなみにiPad Airは7.5mm、iPad Air 2は6.1mmとさらに薄いためか、ここでは比較に登場しなかった

このほかにもTransBookのスペックを紹介する際に、MacBook Airを盛んに比較対象に出しており、直接の競合製品として強く意識しているようだった。

Core Mプロセッサを搭載するT300 Chiの強力なCPUパワーをアップルの「Air」と比較……と、よく見るとiPad Airで、確かにタブレット同士ではあるが、ARM系CPUのApple A7とCore Mを比較するのはいささか疑問だ

現行のMacBook Airを大きく超えるWQHDモデルも用意。235ppiとRetinaクラスの解像度を実現している

ASUS製品らしく価格は抑えてありながら、デザイン面では安っぽさがなく、意欲的な製品だと感じられた。TransBook T300 ChiとT100 Chiがそれぞれ2月20日から、T90 Chiが3月上旬からの発売になる。

Chiは薄型・軽量による携帯性の高さ、デザインの美しさ、エンターテインメント用途に耐える高精細・広視野角ディスプレイとステレオスピーカー、生産性を兼ね備えた理想的な1台であると宣言した

フラッグシップノートPCも登場

今回は春モデルとして全部で22機種もの新製品が発表されたが、壇上では前述したTransBook Chiに続き、同社製ノートPCのフラッグシップモデルとして「ZenBook UX305」を発表した。CPUにCore Mプロセッサを採用するほか、13.3型フルHDのIPS液晶ディスプレイを採用する。こちらもMacBook Airと競合する薄型ノートPCだが、Officeがバンドルされて約12万円と、コストパフォーマンスが高く競争力を持ったモデルだ。

ケースのエッジ処理にTransBook Chiとも共通する「ダイヤモンドカット」処理を施しており、工芸的な精度の高さと美しさを兼ね備えている

Core Mの特徴でもあるファンレス設計により、動作音0dbを実現。喫茶店などでファン音を鳴り響かせずに済みそうだ

シー氏は最後に、日本市場で「2in1ノートPC」「タブレット」「SIMフリースマートフォン」「マザーボード」「ビデオカード」の5つのジャンルでNo.1を目指すと宣言した。

同社はPCパーツで高いシェアを誇り、またSIMフリースマートフォンでもMVNO系キャリアを中心に昨年発売した「ZenFone 5」が人気を集めているが、5つすべてのジャンルでNo.1を獲得するのは容易なことではない。それでもこのような宣言が発せられた以上、今年はさらに強力な製品の投入やプロモーションが行われることを伺わせた。

ASUSはかねてから日本市場を重視しているが、2015年春は一度に22製品を投入するなど、本気の「攻め」が感じられる発表となった