NTT東西が光回線を卸売りする「光コラボレーションモデル」を採用した光回線サービスとして、NTTドコモが「ドコモ光」を、ソフトバンクが「SoftBank光」をそれぞれ3月1日より提供開始する。両社では、スマートフォン・携帯電話と光回線のセット割の提供も発表しており、すでに「auスマートバリュー」としてセット割を提供しているKDDIとあわせて、主要3キャリアのセット割が出揃うことになる。

本稿では、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社のセット割について、単身利用と家族利用のケースで比較していきたい。また、家族利用に関しては、セット割と併用可能な"学割"も考慮して、どのキャリアがもっともお得になるのかを検討してみたので、あわせて紹介しよう。

ドコモのセット割は単身者には不利?

それでは、各社のスマートフォンと光回線のセット割を単身で利用したときの割引額を確認してみよう。なお本稿では、各社が新料金プランで共通して提供している、データ通信量が月間2GB、5GB、10GBのプランの割引額を比較してみた(以下、料金は税抜)。

各社セット割を単身で利用した場合の割引額

各社とも、スマートフォンのパケット定額サービスのデータ通信量に応じて割引額が変化しているが、ドコモの「ドコモ光パック」では月間2GBのプランが毎月500円割引、5GBのプランが毎月800円割引、10GBのプランが毎月1,200円割引となっている。なお、月間5GB、10GBのプランでは利用を継続する限り割引が適用されるが、月間2GBのプランは割引期間が最大1年間となるため注意が必要だ。

また、KDDIの「auスマートバリュー」では、月間2GBのプランで毎月934円が割引されるほか、月間5GB、10GBプランは最大2年間、毎月1,410円が割引される。3年目以降は各プランとも毎月934円の割引となる。

ソフトバンクの「スマート値引き」では、月間2GBのプランが毎月463円割引、5GBプランが毎月1,410円割引、10GBプランが毎月1,852円割引となっている。なお、3年目以降は月間5GB、10GBプランともに割引額が毎月934円に変更されるが、月間2GBプランの割引額は毎月463円のまま変わらない。

単身利用での割引額を比較してみると、月間2GBプランではKDDIがもっとも割引額が大きいが、5GBプランではKDDIとソフトバンクが同額、10GBプランではソフトバンクの割引額が最大となっている。スマートフォンでデータ通信量をあまり使わない人を除くと、ソフトバンクのセット割がもっとも優位と言えるだろう。一方、ドコモは月間2GBプランの割引が最大1年間に限られるほか、5GB、10GBプランの割引額も小さく、単身者にとってはメリットが限定されそうだ。

学割が適用される家族は、ソフトバンクのセット割がもっともお得に?

次に、各社のセット割を家族で利用したときの月額料金をシミュレーションして比較してみよう。本稿では、1人あたり月間5GBのデータ通信量を利用する家族3人の合計月額料金を算出してみた。

なお、ドコモのセット割では、光回線の1回線ごとに割引が適用され、家族の人数が増えても割引額は変わらない。一方、KDDIとソフトバンクのセット割では、スマートフォン・携帯電話の1回線ごとの割引となり、家族の人数に応じて割引額が増えるのが特長だ。そのため、ドコモでは月間15GBのシェアパックを3人で分け合い、KDDIとソフトバンクでは家族3人がそれぞれ月間5GBプランに契約するケースを想定している。

家族3人で利用した場合の各社セット割のシミュレーション(1人あたり月間5GBのデータ通信量を使用) ※拡大画像はこちら

家族3人の合計月額料金を見てみると、ドコモが25,900円でもっとも高く、KDDIとソフトバンクが同額で25,470円となっている。ドコモはシェアパックを利用することで、パケット定額料を抑えているものの、世帯ごとの割引であるため割引額が小さくなっている。対して、家族1人ひとりが割引されるKDDIとソフトバンクは割引額が大きくなり、合計月額料金がドコモを下回る結果となった。

KDDIとソフトバンクの合計月額料金は同額となったが、そこで確認しておきたいのが、各社が提供している"学割"だ。ドコモを含めて3社とも2015年の学割を提供開始しているが、セット割と学割は併用可能であるため、条件を満たしていれば、さらなる割引を期待できる。

なお、各社の学割では、学生に限らず25歳以下のユーザーが対象になっているほか、対象ユーザーの家族にも割引が適用される。今回のシミュレーションのような家族3人の場合、学割の対象となる25歳以下のユーザーが含まれる可能性も高いと思われる。

各社の学割については、マイナビニュースの別稿でも解説しているが、KDDIの学割は学生、家族ともに毎月1,500円が割引され、ソフトバンクの学割では、学生、家族ともに毎月500円の割引に加えて、毎月1GB(1,000円相当)のデータ量がプレゼントされて、実質1,500円で同様となっている。

しかし、割引の適用期間を見てみると、KDDIの学割が2年間で終了するのに対し、ソフトバンクの学割は対象ユーザーが25歳以下であれば3年目以降も継続するという違いがある。そのため、家族でセット割と学割を併用した場合、3年目以降の料金のことを考えると、ソフトバンクがもっともお得になると言えそうだ。

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ドコモ、KDDI、ソフトバンクのセット割について、単身利用と家族利用のそれぞれで比較してみた。データ通信量をよく使う単身者にとっては、月間10GBプランの割引額が最大となっているソフトバンクが最も優位と言える。また、1人あたり月間5GB程度を利用する家族では、KDDIとソフトバンクが横並びだが、セット割と併用可能な学割の継続年数を考慮すれば、ソフトバンクのお得度合いがもっとも大きいようだ。単身利用や家族利用、学割の適用可否など、自身の状況に合わせて、どのキャリアのセット割がお得なのかをよく検討していただきたい。