NTTドコモが携帯電話の回線と固定回線をセットで契約すると割安になる「ドコモ光パック」を3月1日より開始する。同サービスについて、いまいち「どんな人に」「どのように」お得なサービスなのか分からない、という人も多いことだろう。そこでマイナビニュースでは、2回に分けてサービスの内容を分かりやすく解説していきたい。

「ドコモ光パック」のサービス内容を紹介するNTTドコモの加藤薰社長。ドコモ光パックは「どんな人に」「どのように」お得なサービスになっているのだろうか?

ドコモの狙い

ドコモでは「ドコモ光」の導入意義について、次の3点を挙げている。ひとつめは、料金の値下げが実現できること。ドコモの加藤薰社長は「移動・固定通信のワンストップ化、いわゆるブロードバンド環境のワンストップ提供により、お得な料金で提供できる。屋内外で通信サービスを利用していただきやすい環境を整えていく」と説明している。

携帯電話と固定回線をセットにすることで、割安料金を実現する

2つめは、家庭内のインターネット環境の質を向上できること。ドコモでは、中期ビジョンとして「スマートライフの実現」を掲げている。これはクラウドとサービスの両軸で、ユーザーの暮らしを便利にしていくという構想。「ドコモ光」を導入することで、より確かなサービスが提供できるようになる。例えばドコモでは現在、スマートフォン・タブレット・テレビなどの家電機器を連携させることで、dマーケットをはじめとするドコモのコンテンツがどこでも楽しめるようになる「スマートホーム」を推進している。これらのサービスをさらに増強していきたい考えだ。

3つめは、「ドコモ光」と新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」の相乗効果により、モバイル事業の競争力が強化できること。ドコモの提供する通話定額の新料金プランは、他社に先駆けて利用者が拡大している。これを後押しする施策として期待を寄せる。

ユーザーメリットは? キーワードは「まとめる」

では、利用者にはどのようなメリットがあるのだろうか。現在、利用者は家のインターネット使用料はフレッツ光に、携帯電話の使用料はそれぞれの通信会社に、バラバラに支払っている。これをまとめることで、月の利用料金が安くなる割引プランが提供される予定だ。家族でパケット使用量をまとめた場合、通信料がさらにお得になる施策も用意されている。なお料金などの詳細は後日、別稿で紹介していくので、そちらを参考にして欲しい。

ISP使用料、フレッツ光回線使用料、モバイル回線使用料をまとめることで、割安なサービスを実現する

また、契約時やトラブル時の煩雑な手続きが1本化できるのも大きな特長だ。例えばインターネットにつながらなくなった場合。原因が分からないと、どこに電話をかけて相談すれば良いのかも分からない。しかし窓口がドコモに集約できれば、女性やお年寄りなどインターネットのサービスに詳しくない人でも安心感が得られる。ドコモではパソコンや周辺機器に関する悩みを、専門のオペレーターが遠隔でサポートする「光リモートサポート」、ドコモの選任スタッフがユーザーの家を訪れて設定などをサポートする「光訪問サポート」などを提供していく予定だ。

パソコンや周辺機器に関する悩みをサポートする「光リモートサポート」、ドコモのスタッフがユーザーの家を訪れてサポートする「光訪問サポート」などが提供される

このほか「ドコモ光」では、家のネットを利用しても「ドコモポイント」が貯まる、下り最大1Gbpsの高速通信が全国のエリアで利用できる、「ひかり電話」とのセット契約が不要、という他社サービスにはない利点もある。ちなみに「auスマートバリュー」「SoftBank光」では最初の2年間は割引額が最大だが、それ以降は割引が減額される仕様だ。しかし「ドコモ光」では、期間限定なしのセット割引を実現した。いつまでも割引期間が続くので、家計の節約に大きく貢献することだろう。

なぜ実現できた? どんな人が利用できる?

そもそも「ドコモ光」とは、どのような仕組みなのだろうか? サービスが実現した背景と取り巻く環境について知れば、「どんな人が利用できるのか」が見えてくる。NTT東日本/西日本では、これまで光回線(フレッツ光)をユーザーに直接提供していた。しかし法改正により、2015年2月1日からは他の事業者にも提供(卸売)できるようになった。そこで、“他の事業者の中の1社”としてドコモがこれに参画。「ドコモ光パック」が実現した経緯がある。現在、携帯電話市場ではドコモやKDDI(au)の回線を借り受けたMVNO事業者が展開する”格安SIMサービス”が流行している。これをイメージすると、光回線を借り受けてドコモが展開する「ドコモ光」の構図が理解しやすいだろう。

光回線に加入していない、または他社サービス加入者のいわゆる新規はもちろんだが、ひとまず現在フレッツ光に加入している転用について見てみよう。フレッツ光の契約者数は全国で約1,900万世帯に上る。これは日本のFTTHアクセスサービス契約世帯の約70%に当たる。一方、説明するまでもないがドコモは携帯電話の最大手キャリアである。このため、「ドコモ光」が社会に与える影響は非常に大きい。では実際、同サービスで通信料金が安くなる人はどのくらいいるのだろうか。

フレッツ光の契約者数は全国で約1,900万世帯。日本のインターネット契約世帯の約70%に当たる

光回線サービス契約者数は約2,600万世帯。このうちの73%に当たる約1,900万世帯がフレッツ光利用者だ。そして、このうちの45%がドコモの回線を1回線以上利用している。つまり約855万世帯が、「ドコモ光」によって支出額合計が安くなるという試算になる。言い換えれば、家で光回線サービスを利用している人の3人に1人は「ドコモ光」により永続的に割引が利用できる計算だ。

約855万世帯が、「ドコモ光」によって支出額合計が安くなる

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本稿では「ドコモ光」のサービス内容とユーザーメリット、成立の背景、どのような人に利用できるのかを簡単に紹介してきた。家のインターネット環境に光回線を利用している人は多い。そのため「ドコモ光」によって、家計が助かりサービスの品質も向上する、という人はかなりの数に上ることだろう。消費者の生活に密接に関係する今回のドコモのサービス。知らずに過ごしてしまうのは、あまりにも勿体ない。次稿では、具体的な料金設定について紹介していく。そちらも参考にしていただきたい。

(執筆:大石はるか)