改札を出た瞬間に発見できる「パイナップルラーメン屋さん パパパパパイン」

酢豚に入ったパイナップルについて思うところある人もいると思うが、ラーメンにパイナップルが入っていたらどうだろう。パイナップルをふんだんに使った「パイナップルラーメン」を提供しているラーメン店「パイナップルラーメン屋さん パパパパパイン」は、JR西荻窪駅南口から徒歩30秒。「あ、パイナップルだ」と一目でわかるちょうちんと看板のデザインが特徴だ。

チャーシューも玉子もパイナップルで!

こじんまりとした店舗の内装は、パイナップルカラーのイエローで統一されている。箸立てや紙ナプキンのホルダーもパイナップル型でそろえる徹底ぶりで、パイナップルに対する"本気"度が伝わってくる。

今回は、同店の看板メニュー「パイナップル塩ラーメン」(720円)をいただいた。見た目は普通の塩ラーメンだが、よく見ると中央にカットされたパイナップルが3つトッピングされている。スープも全体的に黄色みがかっているようだ。

パイナップルカラーのカウンター席

小物もパイナップル

「パイナップル塩ラーメン」(720円)

あっさりスープはパインの香り

まずはスープを一口。あっさりとした口当たりで、だしの旨みを追いかけるようにパイナップルのフレッシュな香りとほのかな甘みが広がる。これは……旨い。パイナップルの甘さや果実感は主張しすぎず、あっさりスープを下支えしているような印象だ。たっぷり入った刻みネギも、さわやかさを後押しする。

スープには動物性のだしを使わず、煮干しとコンブ、シイタケでだしをとっており、油にはネギ油を使うことであっさりとした口当たりと旨みを両立させたという。気になるパイナップル成分だが、パイナップルのストレート果汁がたっぷり入っているそうだ。その量、なんとスープ全量の1/4!

麺はストレートの細麺で、するすると食べやすくスープの味もよく絡む。ちなみに、麺にパイナップルは練りこまれていないそうだ。

麺は食べやすい細麺

豚バラ肉で作られた厚切りのチャーシューも見逃せない。煮汁に生のパイナップル果肉を入れて煮込んだというチャーシューは、脂の部分はトロトロ、肉質はほどけるような柔らかさで、甘辛いタレの味を残しながらも、やはりあっさりと仕上がっている。酵素のはたらきで「肉を柔らかくする」とも言われるパイナップル。酢豚のパイナップルが許せない人でも、このチャーシューには納得だろう。

トロトロ、ホロホロのチャーシューが絶品!

さらに! トッピングの「玉子」(100円)も注目の一品だ。同品は塩とパイナップル果汁に一晩漬け込んで作った半熟の味付け玉子で、パイナップルの味と香りが中までしっかりしみこんだ不思議な味わい。パイナップルの香りとほのかな甘みがトロトロの黄身に移り、まるでスイーツのように味わえるのだ。「パイナップルラーメン」に挑戦する際は、ぜひ一緒にお試しいただきたい。

トッピングの「玉子」(100円)はスイーツのような新感覚

「パインアップル酢」で2度楽しむ

スープにチャーシュー、トッピングの「玉子」と、パイナップルの波状攻撃と思わぬ旨さにすっかりやられてしまう「パイナップルラーメン」。ところがこのラーメン、さらなる奥の手を残しているのだ。

奥の手「パインアップル酢」

テーブルに置かれている「パインアップル酢」。こちらはかけ放題の調味料で、その名の通りパイナップルから作ったフルーツビネガーだ。650円で販売もしている。

そう、「パイナップルラーメン」は、この「パインアップル酢」によりさらにパイナップル感を増すことができるのだ! 店主いわく、「大胆に入れるのがおすすめ」とのこと。アドバイスに従い、筆者もレンゲ3杯分入れてみた。

「パインアップル酢」を入れた後にスープをすすると、まるで別物のような味の変化に驚かされた。パイナップルの酸味と香りが劇的に増したラーメンはより一層さわやかな味わいに。スープの味に慣れてきた中盤あたりで投入するのがおすすめだ。デザート代わりに具材のパイナップルを食べれば、1食でフルコースを食べたような満足感を味わえる。

パイナップルの"フルコース"を楽しめる

原点は「他にないものを作ろう」

ところで、強烈なインパクトと確かなおいしさを両立する「パイナップルラーメン」は、どのようにして生まれたのだろうか。

同店の店主・倉田裕彰氏は東京・高田馬場のラーメン店で3年半修行し、正統派のラーメン作りを学んだという。独立にあたり、「他店と同じことをしても仕方がない。他にないものを作ろう」と決意。「"ラーメンにフルーツ"は他にないだろう」と思い立ち、酢豚との組み合わせが有名なパイナップルをラーメンに入れるアイデアを思いついたという。

同店では「パイナップルラーメン」にやみつきになった常連客も多いが、遠方から来る客もまた多い。今回試食した「パイナップル塩ラーメン」以外にも、「パイナップル醤油ラーメン」(720円)や「パイナップル海老塩ラーメン」(770円)、各種つけ麺などバリエーションも豊富。遠方の客は2杯食べていくことも珍しくないという。

また、季節ごとに「パイナップル」とは別の変わり種メニューを提供しているのも同店の大きな特徴だ。2月1日から3月末までは、チョコレートを使ったラーメン「カカカカカカオ」を販売しているという。気になる方は今すぐ西荻窪へ!

店内には有名人のサインがびっしり貼られていた

※価格は全て税込