ネットアップは1月28日、同社のプライベートイベント「NetApp Innovation 2015」を、東京・恵比寿のホテル開催。基調講演では、米NetApp 製品オペレーション担当 エグゼクティブ バイス プレジデント George Kurian氏が登壇し、「5年先、10年先のクラウドを見据えたネットアップの自在なデータ管理の道標」と題して講演を行った。

なお、同イベントは今後、福岡、名古屋、大阪で順次開催される。

すべての環境でONTAPが利用できるようになり、データファブリックが実現可能に

米NetApp 製品オペレーション担当 エグゼクティブ バイス プレジデント George Kurian氏

同氏は冒頭、現在のIT環境について、「クラウドは特定のユースケースには魅力だが、すべての事例には当てはまらない。セキュリティやパフォーマンスについてはオンプレミスの方が優れている場合がある。そのため、今後はハイブリッドクラウドが中心になるだろう。ハイブリドクラウドは今後10年間の変革のチャンスだ。ハイブリッドクラウドは、クラウド、オンプレミス、Microsoft AzureやSoftLayerなどのハイパースケールクラウドの組み合わせになる。ただ、ハイブリッドクラウドでは、これまでデータという見解が抜けていた。データはハイブリッドクラウドの中心に来るものだ。現在はそれぞれのデータが分離され、データがサイロ化されている。そのためコストもかかっている。データも移行できない状況で、クラウドプロバイダがデータを管理しており、彼らのデータになってしまっている。これを解決するには、共通のデータファブリックが必要で、シームレスにデータが移行できる統合環境が必要だ。これにより、みなさんのクラウド、みなさんのデータになる」と語り、今後、ハイブリッドクラウドがITの中心になり、データ管理が重要だと訴えた。

George Kurian氏はハイブリッドクラウドの中心はデータだと訴えた

同氏が現在のハイブリッドクラウド環境における課題として挙げたのが、「管理方法が違う」、「一貫性のないデータフォーマット」、「一貫性のないツール」というの3つ。これらを解決することで、顧客に選択肢を与えることができると指摘した。

そして、「我々はこういった課題を解決するためのデータファブリックを提供している。我々はこれまでの10年間で、Data ONTAPによってストレージの仮想化やストレージシステムの仮想化を提供してきた。2014年以降はクラウドインフラの仮想化に移り、昨年の11月から提供しているclustered Data ONTAP 8.3よって実現し、一貫性を持った管理性を提供している。マイクロソフトの環境からVMwareの環境への移行も数秒でできる。これによって、275社を超えるサービスプロバイダや400を超えるクラウドサービスを利用できるようになった。さらに、昨年の11月にはパブリッククラウド向けに、Cloud ONTAPも提供した。これにより、すべての環境でONTAPの機能を利用できるようになった」と、ハイブリッドクラウドのデータファブリックを実現する同社の環境が整ったことをアピールした。

George Kurian氏はCluster Data Ontap 8.3によってクラウドインフラの仮想化をサポートできるようになったとした

すべての環境でONTAPの機能を利用できるようになり、多くのクラウドサービスが利用可能に

同氏は、最後に「ハイブリッドクラウドがITに必要な環境を提供する唯一の方法だ。ネットアップがそれをお手伝いする」と述べ、講演を締めくくった。

フラッシュはパフォーマンスと容量のバランスを実現することが重要

米NetApp 製品オペレーション担当 バイス プレジデント Ty McConney氏

基調講演では、米NetApp 製品オペレーション担当 バイス プレジデント Ty McConney氏も「オールフラッシュ新製品"FlashRay"の正体」と題して講演を行った。

同氏は、フラッシュを採用する際のポイントを「パフォーマンス、SATAとの容量違い、電力とスペース、摩耗寿命などを考えていかなくてはならない」と指摘し、その回答を「適切なアプローチでパフォーマンスと容量のバランスを実現することが重要だ」と述べた。

考慮すべきフラッシュの重要な要素

また、フラッシュのメリットとして、パフォーマンスとともに、レイテンシも重要だと指摘。「世の中には金融機関の株式投資のように、サービスの遅延により何百万ドルのロスを発生することがある。こういったケースでは、オールフラッシュにより予測可能な低レイテンシに抑えることが必要だ」と語った。

同氏はネットアップのフラッシュ戦略としては、パフォーマンスニーズを満たすための「オールフラッシュ アレイ」、容量ニーズを満たす「ハイブリッド アレイ」、それと「ソリッドステートメディア」の3つを挙げた。

ネットアップのフラッシュ戦略

オールフラッシュアレイは新しいパフォーマンスの基準になるもので、さらに活用できるようにコアプラットフォームを強化していくという。また、新しいアーキテクチャを開発していくことも表明し、それがFlashRayに搭載する新しいMars OSだという。なお、同氏はFlashRayの一般提供は年内に開始される予定だと従来のどおりの予想を示した。

FlashRayに搭載する新しいMars OS

同氏によれば、Mars OSは特徴は可変長ブロックへの対応で、4Kや8Kの固定ブロック対応製品では、32Kや64Kのデータを4Kや8K単位に分割する必要があるが、Mars OSでは、そのまま格納できるという。これにより、フラッシュの摩耗削減、リード/ライト回数の削減、パフォーマンス向上というメリットが得られるという。

可変長ブロックのメリット

そして、「ハイブリッド アレイ」では、階層化のアプローチを最適化し、ソリッドステートメディアでは自社開発せず、他のメーカーの新製品を利用し、新しいテクノロジの市場投入時間を短縮していくという。